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あたしとあ〜ちゃんは砂浜でお城作り。
ゆかちゃんはなぜか海でガチ泳ぎ。
いつの間にか太陽は頭の真上にいて、あたしの腹の虫も暴れ出す。
チラッとあ〜ちゃんを見ると、すっごい笑顔で城のてっぺんに木を突き刺している。楽しそうなあ〜ちゃん、めちゃ可愛い…。
いや、いやいや、違くて。あ〜ちゃんはお腹すいてないのかな?

「のっちぃ、できたー!」

「わっしょーい!!…って、あ〜ちゃんお腹へってない?」

「…ちょっとだけ」

てへへ、とはにかみながら恥ずかしそうに答えるあ〜ちゃんが、とてつもない破壊力を持ってあたしを胸キュンさせる。
やべー…お姉ちゃん相手にこんなにドキドキするなんて。

「ゆ、ゆかちゃん呼んでくる!」

自分の気持ちを誤魔化すために、スッと立ち上がってゆかちゃんのとこまでガチ泳ぎ。
一心不乱に泳ぐあたしの姿は、さぞ海には不釣り合いだろう。それを言ったらゆかちゃんも負けないけど。

ゆかちゃんに追いついて戻って来るようにしゃべって、あたしは急いであ〜ちゃんのところに戻る。
早くしないとナンパされちゃう…!あたしが守るんじゃ!
さっきより良いタイムが出そうなクロールで水を切っていく。


「ゆか、競泳なら負けんけぇ!」

バシャバシャと水を掻き分ける二つの影は、海水浴場で注目の的だった。
周りの目も、ゆかちゃんの追い上げも、今は気にしていられない。
男の影はあ〜ちゃんのすぐ後ろまで迫っているんだから!

浅瀬を走ってあ〜ちゃんのとこまで戻ると、後ろにいた2人の男の顔が引きつる。そしてそのまま回れ右をしてどこかに消えた。
やった!あたし、あ〜ちゃんを守った!!

「のっち、途中で全力疾走はずるいけぇ!」

「のっち、ワカメっ!頭からワカメ生えてるっ!!」

「ぅへぇ!?」

後ろを見ればムッとした顔のゆかちゃんが、前を見れば涙を流して笑うあ〜ちゃんが。
あたしはなにがなんだかわからなくて、素っ頓狂な声をだしてしまった。

2人をなんとか落ち着かせて、海の家に向かう。のっち焼きそば食べよーっと。


時間の流れというものは海ではしゃぐあたしたちを置いていくほど速くて、あっという間に太陽は半分くらい海の中に沈んでいた。
それに気づいたあたしは、真っ赤に染まった海を見つめるしかなかった。

「…一気に現実に戻ったきたね」

ゆかちゃんが同じように水平線を見つめながら呟いていた。それに対してあ〜ちゃんもゆっくりと頷いて答える。

こんなに楽しい1日がもう終わってしまったのかと思うと、胸が締め付けられるように苦しくて涙があふれそうになる。
2人にこの涙がバレる前に、零れてしまう前に笑顔になろうと思ったのに。
ふわっと潮の香りがしたかと思うと、両側のほっぺから柔らかい感触がした。その感触にびっくりしたのと同時に涙の粒が零れてしまった。

「ふふっ、のっち泣いてるー」

「あんた可愛いねぇ」

左右にいるお姉ちゃんたちに茶化されて、あたしはキスされたことに気がついた。

「このほっぺの赤味は夕日のせい?日焼けのせい?」

「それともお姉ちゃん達のせいかなぁ?」

いきなりのことに動けないでいるあたしに、ゆかちゃんとあ〜ちゃんは子どもをあやすように話しかける。


「…ぅ、またそうやってのっちで遊ぶ…」

でもおかげで最高の夏の思い出ができたよ!
帰りたくなんかないけど、まだ遊んでいたいけど、これ以上思い出を作ってこんなに素敵な事を薄れさせたくない。

「ゆかちゃん!あ〜ちゃん!ありがとーーーーーぅ!!!!」

あたしはあともう少しで無くなってしまう太陽に向かって、今の思いを乗せて叫んだ。
いつでもいつまでも大好きなお姉ちゃん達と一緒にいれますように。
ずっとずっと好きでいてもらえますように。

おわり






最終更新:2008年10月13日 18:23