◇A-side◇
「あれ?」
のっちがベッドに座りながら、不思議そうに首をかしげた。
「ベッド…大きくなってる」
「うん、新しくセミダブルにしたんよ」
「そっか、変えたんだ」
のっちの大きなベッドが羨ましかったんだ。一人でダブルベッドとか…贅沢だと思わん?だからお父さんにお願いして新しいの買って貰った。
「良いな〜、このベッドで寝たい」
「ダメ!あげんよ」
「…ケチ」
のっちはいじけて、布団にくるまってしまった。そんな甘えるのっちが、可愛かった。
「あ〜ちゃんの真似」
とか言って、、のっちはジュニアを抱き締めて寝たフリをした。うん…なんかバカにされてるみたいでムカつく。
「のちジュニ返してよ」
「やだ、返さん」
「あ〜ちゃんの!」
「フカフカして気持ち〜」
意地悪するのっち。良い度胸してるじゃないか。
「返せー!」
のっちに乗っかりジュニアを奪取。ふふん、参ったか。
「あ〜ちゃん卑怯じゃ!」
「卑怯なんてしとらんもんねー」
「とりゃっ!」
のっちにひっくり返された。あ〜ちゃんに乗っかるのっち。
「コチョコチョ攻撃〜!」
「あは、やめてっ…のっち、あははっ」
「降参?あ〜ちゃん参ったは?」
くすぐられるのに弱いあ〜ちゃん。力が抜けて抵抗出来ない。のっちは勝ち誇った表情であ〜ちゃんの体をくすぐる。
「ひゃーダメっ、降参、降参するからぁっ」
「ヨッシャーのっちの勝ち!」
やっと手を止めたのっち。あ〜ちゃんは笑い過ぎでお腹が痛くてグッタリ。もー無理。
のっちは満足そうに笑ってガッツポーズをしてる。ムカつくなぁ。でも、なんか凄く愛しく感じた。こーゆーのも、たまには良いと思う。
「あ〜ちゃん…」
ドクン、
そっと髪を撫でるのっちの手が優しい。ギシ…とベッドが軋んで、のっちの体温を唇に感じた。
すぐに離れたかと思うと、今度は頬をそっと撫でる。目の前ののっちの瞳が揺れていた。見た事の無い目だった。のっちのこんな表情…見た事が無い。
「…好き…」
掠れた声でそう呟き、また唇にのっちのが重なった。長い、長いキス。息が持たないよ。
「は、…ん」
呼吸をしようと口を僅かに開いた時、のっちの舌が、中に入ってきた。
「え…う、ん…」
ゆっくりと歯列をなぞり、あ〜ちゃんの舌に触れた。ピチャ…と唾液の絡み合う音がして、頭が真っ白になる。息が出来ない。体が熱い。
のっちの舌が口内を掻き回す。のっちの甘い唾液が流れ込んできて、口イッパイに広がる。
「ん、ふ…う」
唇から、唾液が溢れた。顎を伝って流れてく。勿体ない。のっちの…なのに。
「ちゅ、…はぁ」
のっちはあ〜ちゃんの顎を伝う唾液を舌で舐め取り、またあ〜ちゃんの中に入ってきた。今度は零さない様に、飲み込んだ。
喉が、胸が、熱くなって苦しいよ…のっち…。
のっちの唇が離れてく。残ったのは口の中の香りと、のっちの体温。甘過ぎて胸焼けしそう。
目を開くと視界がぼやけた。のっちが見えない。揺れる影が、あ〜ちゃんの髪を撫でる。
「…はぁ、は…ぁ」
「あ〜ちゃん…」
溢れた涙を舌で舐めとるのっち。多分しょっぱいよ。あ〜ちゃんをギュッと抱き締めて、キスの雨を降らしてくれた。
「…好き」
あ〜ちゃんも、のっちが好き。大好き。
のっちの手が、髪から頬、頬から首、首から肩へと降りていく。そして鎖骨をなぞって、胸に触れた。
のっちは…あ〜ちゃんに何がしたいの?どうしたの、何が始まるの…?あ〜ちゃんは何をすれば良いんだろ…何も分からないよ。
「…あ〜ちゃん…っ」
首筋を舐めるのっちの舌が熱い。荒い息が…熱い。
のっちの手が、ワンピースの裾から中に入ってきた。あ〜ちゃんの太ももを撫でる。
待ってのっち、分からないよ。あ〜ちゃんの知らない事をしようとするのっちが、恐い。恐いよのっち。どうなるかも分からないのに、なんで…。
「…のっ…ち…」
あ〜ちゃんは、のっちの肩を掴んだ。弱い力で、押した。
「あ〜ちゃん…?」
「や…だ…」
あ〜ちゃんの蚊の鳴く様な声に、のっちは慌てて触れていた手を引っ込めた。のっちの体が離れる。
「ご、ごめんっ!」
違う…別にのっちが悪いんじゃない。悪いのは、あ〜ちゃん。
「もうしないからっ、ごめんね…っ」
のっちの声が震えてる。
「…のっちは悪くないよ」
「……嫌…だった…?」
「嫌じゃ…ない、多分…」
「でも…」
「多分、恐いの…だって、分かんないんだもん」
悔しくて、涙が溢れた。イッパイイッパイ溢れて、止まって欲しいのに止まらなくて…。
「のっちに触られて…頭が真っ白になって…っ、体が熱くなって…、どうなっちゃうのか自分でも分かんなくて…っ」
涙が見られない様に、手で隠した。
ごめんねのっち。困らせて、ごめん。ただあ〜ちゃんは…恐かっただけなの。
◇28:End◇
最終更新:2008年10月13日 18:26