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◇N-side◇
昨日、あ〜ちゃんが泣き出して、のっちは何もする事が出来ずに、ただ泣いてる姿を見つめてた。
抱き締めて優しい言葉でも掛けてあげる事が出来たら、君の不安もちょっとは和らげる事が出来たかもしれないのに。
のっちは無力だ。強くなりたい…強くなりたいよ。力が欲しい。君を守れるだけの力が。




「のっちーどうしたの」
ゆかちゃんが遊びに来てくれたって言うのに、のっちはベッドで丸くなったまま。ベッドから出たくない。何もしたくない。何も考えたくない。
ごめんね、ゆかちゃん…。こんなに弱い恋人でごめんね。
「のっち、どしたの?元気無いの?」
「うん…」
「ゆかで良かったら相談乗るよ…?」
ゆかちゃんは優しく頭を撫でてくれた。安心する。ほんっと自分が情けないよ。
「ゆかちゃん…」
「うん?」
「どんな時、エッチしたくなる…?」
「…のっち、あんたねぇ」
ひぃー殴られる。慌てて布団を頭まで被った。ごめんなさいごめんなさい。起こらないで。
「…のっちとキスしたりしたらかな」
消えそうな声で呟くゆかちゃん。のっちは恐る恐る顔を出す。


「…ほんまに?」
「うん…なんかね、体が熱くなって、もっと触って欲しくなるの」
…大胆発言だよ、ゆかちゃん…。のっちはその言葉でしたくなっちゃうよ。
あ〜ちゃんは昨日、頭が真っ白になって体が熱くなるって言ってた。それが何なのか分からないから、恐いって。
「てかさぁ、それが何に関係あるんよ」
ゆかちゃんが睨む。
もちろん、昨日あ〜ちゃんを襲ったら泣かれたなんて言える訳も無く、のっちは黙って天井を見上げた。
あ〜ちゃんを襲ったら泣かれたって説明だけだと、完璧のっちレイプ野郎じゃん。違うよ、良い雰囲気だったから襲っただけであって、別に無理矢理ヤろうとした訳では無いよ。
「のっちコラ、答えんさいや」
「…」
「広島球場に虎の服着せて放り込もうか?」
「それだけはダメっ」
想像しただけで…ブルブルガタガタ。
「あはは、冗談だよ」
そう言って、ゆかちゃんはまた頭を撫でてくれた。もう、恐い冗談はよしてよ。笑えないよ。
「ねぇ、のっちは?」
「ん?」
「のっちはどんな時、エッチしたくなる?」
しばらく考えて、のっちは呟く。
「本気で好きって思った時」
多分…その時が一番、欲情してる。




ゆかちゃんが帰ってしばらくして、あ〜ちゃんからメールが届いた。別れ話だったらどうしよう…恐る恐るメールを開く。
『今から行って良い?』
あぁ…面と向かって言われるのか…どうしよう、別れたくないよ…。でもあ〜ちゃんが別れたいんだったら無理に引き止める事なんて出来ないし…。
『良いよ』
送信、と。
早くも泣きそうだ。ありがとうあ〜ちゃん…短い間だったけど、君と恋人になれて夢みたいだったよ…。




ソファに座るあ〜ちゃん。テーブルを挟んで向かい側に正座するのっち。
「のっち、あのね…」
「…」
「昨日あれから色々考えたんじゃけど、やっぱり…」
別れるなんて聞きたくないよー!嫌だ嫌だ、聞きたくない!のっちはギュッと目を閉じて、心の耳を塞いだ。
「もっとのっちに…触って欲しかったんよ」
「……え?」
なんですと?今、なんか幻聴みたいなのが聞こえたんだけど…気のせい?
「のっち」
「は、はいっ」
「あ〜ちゃん…のっちと…したいんだと思う…」
顔を真っ赤にして、あ〜ちゃんはのっちをまっすぐ見つめて言った。
「そっ…か」
頷くあ〜ちゃんに、のっちはゴクリと唾を飲み込んだ。


◇28:End◇





最終更新:2008年10月13日 18:32