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「……」
さっきから、ただただ見つめるばかりのあたし。
誰かこの状況をなんとかしてよ、なんて誰もいないのに(そんな事とっくに分かってるのに)呟いたりして気を紛らわす。
「…お姉ちゃん」
目の前で無防備に眠りこけるお姉ちゃんは可愛くて、今だって抱きしめたくなってしまう。…お姉ちゃんなのに。


いつからだったのか、今となってはあたしにも分からない。ただ、あっ、と思った時はもう既に手遅れで。
お姉ちゃんが好きだなんて自分でもどうかしてると思った。
もしかしたらあたしの家族愛というものが、お姉ちゃんにだけ強いものなんじゃないか。もしかしたらお姉ちゃん相手に擬似恋愛してるだけかもしれない。
そんな事を一晩中考えて、でも結局出てきた答えはどうあがいてもお姉ちゃんが好きだという事だけだった。


「ん…」
お姉ちゃんが寝返りをうつ。


頬に流れる髪が欝陶しいのか、無意識のまま指で掻き上げようとしている。
上手くいかないそれを手伝ってあげようと手をそっと伸ばした。
「…んぅ」
「っ!」
髪に触れる直前、反射的になのかお姉ちゃんに指を握られる。まるで赤ちゃんみたいに。
(び、びっくりした…)
何度も握り直して、寝てるはずなのに嬉しそうに笑った。
それがとても可愛くて。
「……」
そっと唇を近づける。
軽い音を立てて唇を額に落とした。
…どうやら起きる気配はない。
それに安堵して、前髪を優しく撫でた。

「…好きって言ったら、あたしの事嫌いになるかな…」
誰に言うでもない独り言は、虚しく空気に溶けていった。


番外編END






最終更新:2008年10月17日 14:08