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◇N-side◇
テスト前、放課後、図書館。
三人で一緒にテスト勉強しよっか、てなって現在、二人と勉強中。
正直、死ぬ程ドキドキしてる。バレちゃわないか本気で心配だ。今までも何度もこんな状況あったけど、やっぱり何回目でも緊張しちゃうんだ。
「ねぇ」
「は、はいっ」
ゆかちゃんに呼ばれてビックリして声が裏返る。
「あはは、何ビックリしとるんよ」
「声裏切っとるし」
笑う二人。図書館だから周りのお客さんに迷惑だよ。シーッ。
「あのさ、三人でテストの点数勝負しようよ。一番合計点悪かった人は、一位と二位にアイスね」
「おー良いねソレ」
ゆかちゃんの提案に乗り気なあ〜ちゃん。絶対負ける自信の有るのっちは…どうすれば良い?
「のっちは?」
「…二人に勝てる気がせん」
どうせ平均点くらいだし、学年トップクラスの二人とは脳みその造りが違うんよ。ゲームと漫画の事しか詰まっとらんもん。
「えーやらんの?」
「つまらん子じゃねぇ」
別に良いもーんだ。だって負けるの目に見えてるし。無駄な勝負はしたくないんよ。てゆーか負けるのが嫌なだけなんだけど。


「つまらん〜、まぁ良いや、ゆかトイレ行ってくる」
そう言ってゆかちゃんは席を外した。トイレは少し離れた所にあるからちょっと面倒。
二人残されたのっちとあ〜ちゃん。
静かに香る本の匂いが、なんだか妙に緊張する。ゆかちゃんの足音が遠くに低く響いてた。
「勝負するの…嫌?」
あ〜ちゃんが静かに囁く。
「…だってどうせ負けるけぇ、意味無いもん」
「そんなんやってみんと分からんじゃろ」
いーや分かるね。のっち二人に勝った事ないし。
「じゃあ…三人じゃなくて、あ〜ちゃんと二人で勝負する?」
「え…?」
「負けた方がアイスおごる」
…金額は減ったかもしんないけど負ける事に変わりは無いし。
「アイスじゃなくて…キスとかが良いな」
思わず本音が出てしまった。あ〜ちゃんはビックリしている。
「のっちが勝ったらキスしてよ」
本当はもっと色々したいけど、ね。エッチとかエッチとかエッチとか。
「…あ〜ちゃんが勝ったら?」
「…キスする」
そう呟くと、あ〜ちゃんは小さく笑った。
「ふふ、別に良いよ」
キスくらい、って思うかもしんないけど、のっち達にはちょうど良いや。
「じゃ、約束のキスね」


静寂に身を包み、本棚に隠れた奥の勉強スペース、
こっそり隠れてキスをした。
本の香りに君の香りが混ざってく。
君の香りが勝った瞬間。
心の奥が、ざわめいた。


◇K-side◇


最悪だ。
マジで、最悪。
視界が大きく揺れた。
静寂に飲み込まれてく。
「……、なんで…?」
音も無く手からハンカチが落ちた。
なんで…のっちとあ〜ちゃんが…キスをしてるの?
余りの出来事に混乱するばかりでなく、体が今までにない反応を示す。
ゆかは、方向を出口に変えた。出来るだけ早く、この嘘みたいな世界から逃げ出したくて。
「ハァ…っ、ハァ」
外に出れば音を取り戻した。車の音、ちょうど鳴いてる烏の声。
心臓が押し潰されそうだ。
なんで?どうして?
ふざけてキス…なんて雰囲気じゃなかった。もっと気持ちがあって、愛に満ちていて…。
なんでゆかにするキスを、あ〜ちゃんにするの?二人だけの特別な物でしょ?
「も…、最悪っ…」
涙が頬を伝って地面に落ちた。
羽の様に跳ねて広がる。
最低、最悪。
のっちの…バカ。
もう戻れない気がした。
もう、今までみたいには、戻れない気がしたんだ。


◇34:End◇






最終更新:2008年10月17日 14:37