◇A-side◇
「キスしよっか」
ゆかちゃんが、そう言って微笑んだ。
「え…?」
「ゆかとするの…嫌?」
別にそーゆー意味で聞き返したんじゃない。聞き間違いかと思って…。
キスって、あのキスでしょ?のっちが良くしてくれる、あれ。けどアレは…良く分からないけど、恋人同士がする物じゃないのかな?あ、でもアメリカだったら友達でもするか。
「嫌じゃない…けど」
「じゃあ、しようよ」
ゆかちゃん…?風邪で弱ってるのかもしんない、だから甘えん坊なのかも。
「…分かった」
のっち、許してね。このキスに深い意味は無いから。
ぎこちなくゆかちゃんに近付き、顔を近付けた。
「あ〜ちゃん、自分からするの初めて…?」
「え、うん…」
「そっか、可愛いね」
クスクス笑うゆかちゃんに、ドキリとした。さっきからなんでそんな事ばっかり聞くのかな。
「あ〜ちゃん目閉じて」
「う…うん…」
あ〜ちゃんはゆっくり目を閉じる。ゆかちゃんとのキスは…どんな味がするんだろ。
「ちゅ〜」
「…ちゅ?」
ゆかちゃんの指が、唇に触れてた。悪戯を成功させた子供みたく笑うゆかちゃん。
…騙された。
「あ〜ちゃんのキス顔、可愛過ぎ!」
「ちょ、ゆかちゃん騙すなんて卑怯じゃ!」
お腹を抱えて笑うゆかちゃん。あ〜ちゃんは恥ずかしくて顔真っ赤。なんでこんな間抜けな事になっとるん自分。
「いやーホンマ可愛かったよ、のっちなら襲っとったね」
「な、なんでのっちが出てくるんよっ」
のっちは関係…無いよ、多分。でももしそうだったら…なんて考えたら恥ずかしくて顔が熱くなった。
「ゆか、あ〜ちゃん好きだよ」
「あ〜ちゃんも好きだよ」
「だったら付き合っちゃおっか」
笑って言うゆかちゃん。あ〜ちゃんも釣られて笑った。
「ゆかちゃんが恋人だったら良いな〜」
「ゆかも、あ〜ちゃんみたいな恋人欲しい」
それからほんのしばらくの間、あ〜ちゃん達は妙なテンションでお互いの好きな所を言い合った。
だけどあ〜ちゃんとゆかちゃんは恋人にはならない。なれないんじゃない、絶対にならない。そーゆー関係。
久しぶりにお腹の底から笑ったかもしれない。やっぱりゆかちゃんは大切な人。
きっとゆかちゃんが居なくなったら、あ〜ちゃんは壊れちゃう。のっちも壊れて無くなる。
「ふぁ…なんだかゆか眠くなって来た」
「薬が効いたんよ、寝んさい寝んさい」
ゆかちゃんにそっと布団を被せる。
ゆかちゃん…ずっと一緒にいようね。
◇37:End◇
最終更新:2008年10月17日 15:09