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◇N-side◇
テストが終わった。
結果は…まぁいつも通りって感じかな。可もなく不可もなく普通って感じ。全てだいたい平均点くらい。
「あー終わったぁ!」
解放されてウハウハなのっち。に引き換え二人は…ダルそう?
「今回全然ダメだった…」
「ゆかも…」
「嘘だー見してよ」
パラパラ…見なきゃ良かった。普通に良いじゃん。何が全然ダメなのさ、これでダメとかむしろバカでしょ。
「…のっちのせいだからね」
あ〜ちゃんが小さく呟いて睨む。なんでのっちのせいなんよ!あ…のっちのせいか。
「…ゆかも、のっちのせい」
うぇ?ゆかちゃんに何かしたっけ?何もしてないよね…?うーん…。
「のっちのバカ」
ゆ、ゆかちゃん…怒ってる…?




その夜、明日一緒に行くライブの事で、ゆかちゃんに電話した。
「じゃ明日、三時に迎えに行くね」
『うん』
「うへへ、凄く楽しみ」
ゆかちゃんが一ヶ月記念の日にプレゼントしてくれたチケット。のっちが前から好きだったバンドのライブの物。
本当に楽しみだなぁ。ライブ自体行くの久しぶりだし。
『うん、楽しみだね』


ゆかちゃんの声になんだか元気が無い。やっぱり…気になるよ。
「ゆかちゃん…えっと、のっち何かしたっけ…?」
『何が?』
「ゆかちゃんを怒らす様な事…しちゃったかな…?」
『……』
この沈黙、やっぱり。
「えっと…なんて言えば良いんだろ…その…」
『ねぇ、のっちはゆかと別れたい?』

……え?
別れたい…?別れるって、恋人じゃなくなるって事…?
そんなの、
「そんなの、…嫌に決まっとるじゃろ」
何を言ってんのさ。
『うん、ゆかも嫌』
ゆかちゃん…?
『ゆかものっちと別れたくない』
やっぱり分からないよ。前からずっと…ゆかちゃんの気持ちは分かんないよ…。
「ゆかちゃん…ゆかちゃんの気持ちが分かんないよ…、なんでそんな事聞くの…?」
声が少し震えた。
『…ゆかも、のっちの気持ち分かんないよ』
音を立てて何かが崩れ落ちていく。
ブツッと切れた電話の向こう、君はどんな顔をしていたの?
ゆかちゃん…
教えてよ…


◇K-side◇


ライブ当日午後三時、来ないと思っていたけど、のっちはちゃんと迎えに来た。
「ゆかー、彩乃ちゃん迎えに来たよー」
「うん今行くー」
ゆかは急いで玄関に向かった。


玄関を出ると、のっちは笑顔で迎えてくれた。
「行こっか!」
昨日の事、気にしてるくせに。演技が下手なんよ、不安だって顔に書いてある。
でも心配しないで。ゆかは別に怒ってる訳じゃないから。少し動揺してるだけ。
大丈夫、知らないフリくらい出来るから。
だから今まで通りでいよう。ゆかは、それが一番良い。
「のっち、手」
「あ、うん、そっか」
そっか、ってなによ。ゆかが手を差し出すと、のっちは少し戸惑いながらも手を取った。
恋人なんだから手くらい繋ぐ。恋人繋ぎもする。じゃあキスは…?キスは恋人じゃなくてもするの?
なんだか…精神的にイッパイイッパイな一日になりそう。




「わー凄い人じゃね」
ライブ会場に到着。のっちは興奮気味で落ち着かない様子。
「席は…あ、ココだ」
ステージ真正面の前の方…かなり良い席。自分でもクジ運良いなと思ったよコレには。
「超良い席だね!うひゃーステージでっかい!」
無理矢理笑ってる…訳では無さそうだ。いつもののっち。それで良い、それで良いんよ。
「ゆかちゃんトイレ!トイレ今の内に行った方が良いよ!」
トイレトイレ叫ばないでよ恥ずかしい。


とゆー訳でトイレに向かうけどイッパイの人で結局並ぶのが面倒臭くて席に戻った。
まぁのっちもゆかも、そこまでしたかった訳では無いんだけどね。
「もーすぐだねぇ」
開始五分前。もう席はほぼ埋まっている。いわゆる満席ってヤツ。なんだかドキドキしてきたぞ。
「ホントありがとね」
「ううん、ゆかが来たかっただけだから」
素直にお礼を言われたのが恥ずかしくて、照れ隠しにそう言った。
のっちの方こそ、このブレスレットありがとう。ずっと大切にする。ゆかの宝物。
「ねぇ、もうすぐ二ヶ月じゃん」
「うん」
「何か欲しい物ある?」
うーん…別にこれと言っては何も無い。前はサプライズだったのに、今回はあらかじめ聞いとくなんて少し手抜きになったんじゃない?
「欲しい物かー」
「無い?」
「のっちは何が欲しい?」
こーゆー時は質問返しに限る。
「うーん、のっちは…」
のっちが言いかけた瞬間、会場の灯が暗くなって、ステージが眩しい光に包まれた。
一気に会場は立ち上がり、歓声に包まれた。
「……が欲しい」
歓声でのっちの声がかき消されて聞き取れなかった。
のっちが欲しい物は何?
ゆかは…
ゆかはね…、嘘じゃないのっちが欲しい。


◇39:End◇






最終更新:2008年10月17日 15:45