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今のこの状況は、普段ならありえない。
ゆかの両手はのっちの両手に押さえられてて動かない。おまけに両足の間にも片足を差し込まれててうまく動かせない。
「のっ、ち」
「ゆかちゃんが悪いんじゃけぇね」
いつもと違う雰囲気に、どきりと鼓動が鳴る。
こんなのっち、ゆかは知らない。



きっかけはいつもの、のっちいじり。
からかったらその分だけ返ってくる反応がかわいくて、ゆかに見せてくれるのが嬉しくて。
調子に乗りすぎたせいで、それまで八の字眉だったのっちが怒り顔へと豹変した。


で、今の組み敷かれた状態になったわけだけど。
(すごい…心臓ばくばくじゃ…。のっちに聞こえとったらどうしよ…)
頭の片隅で冷静な自分と、組み敷かれてどきどきする自分がいる。

「ゆかちゃん、…そのまま、」
「え、」
でも、ゆっくり近付いてくるのっちに覚悟して、ぎゅ、と目を閉じたらもう全部どうでもよくなった。
あんなに怒った顔してたはずなのに、唇は優しくて温かくて。それだけで、なんだか泣きたくなるくらい嬉しかった。

「…ちょっとは、のっちの事見直したじゃろ?」
「うん…、じゃけぇ、もっかい…」
「…うん」
だから、たまにはこうやって主導権握られるのも悪くないと思った。

たまに、だけど。







最終更新:2008年10月10日 02:43