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データを取り戻すはずが掃除のおばちゃんという意外な伏兵に返り討ちにあい、身ぐるみを剥がされる前になんとか逃げ出すもあたしは結局会社から『取り戻せなかったから大きな損害を受けた』という理由でクビになった。
「これからどうしよう…」
ゆかちゃんには説明した。ばかな事してからに…なんて言われたけど、のっちだけクビなんておかしいしそんな会社辞めて正解だとも言われた。
おまけに。
「ゆかが働いて稼ぐ」
と言われた。
嬉しいけど、いつまでも奥さんに頼っていられない。だってあたしは旦那さんだからね。
「…よし、職探しするか」
意気込んだあたしの耳に電話が鳴る音。
「はい、大本です。…え、あぁ…。いや、会社クビになって…うん。……え、マジ?」
それは素敵なお知らせだった。



「ゆかちゃんゆかちゃん!のっち就職できるかもしれん!」
買い物から帰ってきたゆかちゃんに慌てて報告。
「ほんま!?…でもなんで?」
「実は今日電話がかかってきて…」
電話の相手は同窓会であたしの隣にいたあの子からだった。
『クビになったんなら、うちの会社に来ない?』なんて言われたから、とりあえず面接に行ってみたら『下着メーカー勤務なんて面白い経歴だし、採用の方向で』と、あっさり合格。
「見た感じ大会社って訳じゃなかったけどそれなりに売上はあるみたい。なんか、面白い人員が欲しかったんだって」
「良かった〜」
ゆかちゃんもほっと胸を撫で下ろす。そうだよね、ごめんねこんな旦那で。


「そういえば、どんな会社?」
うっ…やっぱり来たか。言いにくいなぁ…。
「…あの…………え、AV製作会社…」
いきなり家中の温度が下がった気がした。ゆかちゃんも固まってる。
そりゃそうだよね…あたしも聞いた時はビックリしたもん。
「……そう」
「うん…。あ、そうだ。今日その子からお土産貰ったんよ、ゆかちゃんと仲良く見てねって」
「………」
テーブルに置いたAVを見て再び固まるゆかちゃん。
静まり返った家の中、『団地妻の誘惑〜昼下がりの情事〜』のタイトルがデカデカと踊るAVがテーブルの上で異彩を放っている。
「いや…のっちは遠慮したんだけどさ、是非見て欲しいっていうもんだから」
「……」
「のっちもこれをゆかちゃんと一緒に見て、もっと夫婦仲が深まったらいいなーなん、ぅぶっ!!」
顔面にAVが投げ付けられた。目の前に舞うパッケージの半裸な団地妻。
「そんな見たかったら一人で見んさい一人で」
ゆかちゃんは顔を真っ赤にしてリビングを去った。
あたしの手にはしっかりキャッチしたAV。

「………いつ見よっかな、これ」


#10END





最終更新:2008年10月17日 16:03