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◇A-side◇
あの日のゆかちゃんが頭から離れない。
ゆかちゃんは多分、のっちが好きだ。だからずっと隠さなきゃいけないと思った。
もしゆかちゃんが、あ〜ちゃんとのっちが付き合ってると知ったら傷付いちゃうな…なんて思って。
いつかはバレちゃうのかもしんないけど、出来るだけ隠し通したい。今のままで居たいんだ。ずっと三人で居たい。


「あ〜ちゃん、こっちこっち!」
今日は球技大会だ。
年に春と冬の二回ある内の一回。学年別、クラス対抗。一位のクラスにはなんと優勝トロフィーと食券1000円分。
「のっちのバスケ、始まっちゃうよ!」
観客席の片隅、あ〜ちゃんはゆかちゃんの隣に座った。
ジャージ姿ののっちが赤いゼッケンを付けてる。番号は10。やる気満々な様子だ。
「大本先輩〜」
「頑張って下さ〜い」
ビックリして振り向く。キャピキャピの一年生達の黄色い声援。なんじゃこりゃ。
のっちは、「あ、ども」みたいな感じでペコペコしてる。よーく見ると鼻の下伸ばしてた。この女好きめ。
試合開始の笛が鳴る。
もう応援する気無くなった。てゆーかこんだけ応援団がおったらあ〜ちゃんの応援なんかいらんじゃろ。


のっちは持ち前の運動神経で見事なプレーを連発している。のっちがボールを持つ度、キャーキャーと歓声が上がる。もーうるさいなー。
「凄いね、一年生」
ゆかちゃんが苦笑いしながら言う。
「ホンマじゃ、あんな変態の何処が良ぇんよ」
「なんか前も似た様なセリフ聞いたかも」
ゆかちゃんが笑う。うん、確かに言った覚えがある。いつだったか忘れたけど。
「あ、のっちシュート打った」
ボールは綺麗な放物線を描いて…リングに吸い込まれた。
「凄いのっち!」
「やったー!」
ゆかちゃんとハイタッチ。なんだか自分の事の様に嬉しくなった。いや、絶対本人より喜んでる。
まぁ一年生達は…うるさ過ぎだけど。
のっちはニッコリ笑って、こっちに向かってVサイン。良くやったね、のっち。良い笑顔だよ。
しばらくして試合は終了。のっちのクラスが決勝へと進む事になった。
「次、あ〜ちゃんは?」
「ソフトだ〜グラウンド行かんと」
「ゆかはクラスのバレーの決勝の応援行かなきゃ」
とゆー事で、ゆかちゃんと別れる事に。次に会うのは多分、のっちのバスケの決勝だね。
「じゃ、また後でね」
手を振って別れて、あ〜ちゃんはグラウンドに向かった。


◇N-side◇
「お疲れのっち」
バスケの準決勝直後、体育館から少し離れた自販機でジュースを買おうとしてたら、ゆかちゃんに声をかけられた。
わざと人込みを避けて遠い食堂の自販機まで来たのに、ゆかちゃんにはのっちの行動範囲が全て読まれてたらしい。
「凄かったねーバスケ」
「うん…ゆかちゃんが応援してくれたから頑張っちゃった」
そう言って微笑むと、ゆかちゃんは照れ臭そうに笑った。マジで良い所を見せたかったんだよね。のっちこれくらいしか二人に自慢出来る事って無いし。
「格好良かったよ」
「えへへ」
ほら、こうやって褒めてくれる。だから頑張っちゃうんだよね。
「ゆかちゃん、競技出ないの?」
「うん、応援だけ」
そうなんだ。生徒会は運営の仕事とか色々あるんだっけ。
「のっち、ゆかと賭しよ」
「賭…?」
「決勝でシュート五本決めたら、エッチし放題」
「マジっすか!?」
うわぁ…早くも鼻血が…。つーか大胆、のっちの嫁、大胆過ぎる。
「その代わり決めれなかったら、ゆかの言う事聞いてもらうからね」
「え?どんな事?」
「まだ教えにゃいっ」
小悪魔だなぁホントに。まぁ良い絶対決めるから。


「エッチし放題かぁ…ゆかちゃんの体力持つかなぁ?」
「うーん…なるべく頑張るよ」
「うおっしゃー!俄然やる気出て来たよ!マジ見とけよー!」
そう叫んで、のっちは体育館に向かって走った。決勝までまだ時間あるけどアップをしとこう。体を温めておかなくちゃ。


◇A-side◇


カキーン…
がむしゃらに振ったバットに、ボールが当たった。
「嘘…」
綺麗な弾道を描いて、そのボールはフェンスを超えた。
「凄ー!綾香ちゃんホームランじゃ!」
キャーキャー後ろで騒ぐクラスメイト達。なんか良く分からんけど、ホームラン打ったみたい。
「や、やったー?」
ヘルメットを取って、戸惑い気味にあ〜ちゃんは塁を回る。
ちょっと待てよ、これ準決勝で…今最後の回だから今ので逆点で…とゆー事は、決勝進出?
えーのっちの決勝見れないじゃん。勝たなきゃ良かったなぁ。
「んりゃ、」
ジャンプして、半ばやけくそにホームベースを踏んだ。格好良いのっちが見れないじゃんかもー。
でも、もしホームラン打った事のっちに言ったら、褒めてくれるかな?
「…決勝も頑張るぞー!」
のっちの笑顔が見たくて、あ〜ちゃんは少し頑張ってみる事にした。


◇42:End◇






最終更新:2008年10月17日 16:27