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  • Side N-


約束のパジャマパーティーの日。
あの日以来なんだかんだ忙しくてゆかちゃんと2人きりで会う事はなかった。
もちろんあの日も長電話の末そのままご就寝。
ちょっと可哀相じゃない?!
生殺しだよ、まったく…。

今日も3人だしもちろんそんなチャンスなんてないだろう。
なんならいっそ3人で……。
いやいや、それはないわぁ。

なんて、バカな事あれこれ考えてたら家のチャイムが鳴った。
N『は〜い。』
もしゆかちゃんならあ〜ちゃんが来るまでの間にっ!

ガチャ。

A『こんばんは。』
笑顔で機嫌よさ気なあ〜ちゃんが立っていた。
N『あ……、こんばんは。』
A『のっちっ、あんたケンカ売っとるん?ゆかちゃんじゃないからって露骨過ぎじゃ!』
N『だってぇ〜。』
A『何がだってなんかわからんし。』
呆れ気味に、はいていたパンプスを脱ぎキレイに揃え我が家へと足を踏み入れるあ〜ちゃん。
その仕草が妙に色っぽく見えてしまうのはのっちが欲求不満だからかな…。
A『どうしたん?じっと見んでよ気持ち悪い。』
N『気持ち悪いって、ゆかちゃんに失礼じゃね?』
A『うちとゆかちゃんじゃ趣味が違うけん。』
N『それも微妙に失礼だよ、ゆかちゃんにものっちにも。』

その時あ〜ちゃんの携帯が鳴った。もちろんaikoさんの着うた。
A『あ、ゆかちゃんからメールじゃ。噂をすれば、じゃね。』
N『なんて?てかのっちには来とらんけど……。』
A『返信遅いからじゃろ。えっと、もうのっちん家着いた?だってさ。正直に返していいんよね?』
N『いいんじゃない?』
私の言葉に応えるように素早い指の動きでキーを押すあ〜ちゃん。
N『なんて返したん?』
A『もう、着いとるよ、って。てかまたなんか仕出かしたん?』
N『なんでいつものっちが悪者なん!?なんもしとらんよ。てかこっちがなんかあったんか聞きたいくらいだよ……。』
A『どう言う事よ?』
私は、あ〜ちゃんになんかしっくり来てない事を伝えてみた。


A『それって幸せ過ぎて怖いってヤツなんじゃないん。』
N『ん〜〜、そうなのかなぁ〜。だったらいいんだけど。てかゆかちゃんから返事あった?』
A『あ、そう言えばない……。』
返信が早いゆかちゃんからの返事がない…。なんで?なんかあった?!
N『この流れ、なんかヤバくない?なんかあったのかなっ。』
A『だ、大丈夫よ。きっと……。ははっ。』
N『ちょっとのっち電話してみる!』

呼び出し音はするものの繋がらない。

A『繋がった…?』
不安そうにしているあ〜ちゃん。
そんな彼女に無言で首をふる。
A『のっち、ちょっと切って。あ〜ちゃんかけてみるけんっ。』
言われたまま携帯を閉じる。
A『お願い出てっ。』
心なしかあ〜ちゃんの顔が青ざめて見える。

A『……、あっ!ゆかちゃん?!』
繋がった!!
A『メールの返信が遅くてのっちが電話してもでんけぇ、なんかあったんじゃないかって心配したんよ!』
よかった、取りあえず何事もないようだ。
A『うん、わかった。じゃ気ぃつけてね。』
N『なんて?!』
A『返信メール打ちよったら友達から電話がかったんと。』
N『そっかぁ〜、なんかあったかと思ったよ。』
A『あ〜ちゃんもちょっと焦った。』
ホッとして微笑み合う私たち。2人してどこまで過保護なんだか。
……ん?ちょっと待った。
N『ねぇ、あ〜ちゃん。』
A『なん?』
N『なんでのっちからの電話にはでんかったんじゃろ…。』
あっ!
って顔したあ〜ちゃん。
N『やっぱり私の勘違いじゃなかったんじゃ…。』
A『い、いや、たまたまよ!ねっ!いや〜偶然って怖いなぁ…、ハハッ。』
渇いた笑いがなお辛い。
一難去ってまた一難。
どうやら、私の勘はあたってしまっているようだ……。


ピンポーン。
家のチャイムが鳴る。
あ〜ちゃんが電話を切ってから数十分もしないうちにゆかちゃんは到着したようだ。
最初はほんのちょっとのモヤモヤだった。
それが今は形になり始めてる違和感。
確信はないけど本能が告げる微妙なすれ違い。
それに気付いてしまった私はどんな顔してゆかちゃんに会えばいい…?

K『お邪魔します。遅くなってごめーん。』
A『それはええけど、心配させんでよ。』
K『だってタイミング悪いんだも〜ん。ほんとごめんね。』
両手を合わせあ〜ちゃんに謝るゆかちゃん。
私とはまだ一度も目は合っていない。

じっと穴があきそうな勢いでゆかちゃんを見つめていると不意にこちらをむいた。
目が合うなりフワリとした笑顔。
K『のっちも、ごめんね。』
<も>ってなんかついでみたいで引っ掛かったけど、気にしないフリ男…もとい女の子で流した。
N『いや、なんもなかったんならええんよ。』
K『うん。』
ふとゆかちゃんの瞳が揺れた気がした。
何かに動揺したような、何かを隠すような、そんな色を見せ瞳が揺れた。

私が気にしすぎなだけ……??

何もないならそれでいい。
本当に何もないなら…。


  • Side A-


のっちのモヤモヤは幸せ過ぎる不安。
だと、あたしも思いたかった。
でも最近のゆかちゃんにはなんか違和感があるのも確かで……。

言葉じゃ説明出来ないけど感覚的になんか他人と一緒にいる感じ。
あたしが感じてる違和感とのっちが感じてる違和感。同じかどうかは分からないけどなんか前とは違う気がする。

N『あ〜ちゃん、どう思う?』
A『うん……。よくわからん。』
ゆかちゃんがお風呂に入ってる隙に密談。
なんか仲間外れにしてるみたいで悪い気もするけどあ〜ちゃんもなんかモヤモヤしてきたし。
N『わからんて…。あぁ〜、なんでのっちの電話には出てくれんかったんかなぁ…。』
A『たまたま…。』
N『ほんとにそう思ってる?』
私の消え入りそうな声色に納得出来ないで眼をひんむくのっち。
A『え?……いや、まぁ。』
N『うわっ、この人適当だよ。』
A『適当じゃないよ、あ〜ちゃんもなんとなくモヤモヤし始めてるし……。』
N『やっぱり!?』
さらに大きく見開かれる瞳。
A『うん…。でも、ほんとなんとなくじゃけど。』
N『あ〜ちゃんも感じてるならのっちだけが原因て訳じゃないね。』
安心した顔してるけど、それは違うんじゃない、のっち?
A『あ〜ちゃんこそ、なんもしとらんし。それに理由がないじゃろ。』
N『だよね〜。なんなんかね。』
A『のっちこそほんまにほんまに身に覚えないん?』
N『えっ、ないよっ!!多分……。』
そのこぼれそうに大きな瞳をじっと見つめる。
見つめると言うより睨み付けるに近いくらいに鋭い視線をのっちに送る。

そしてしみじみ思う。黙ってすましてれば美人なのに……、と。
こりゃ、ゆかちゃんじゃなくてもコロッと行ってしまうわ、のっちあんたは何気に罪な女じゃね。


  • Side A-


N『な、なにっ?!』
途中から意味合いを変えたあたしの視線に顔を赤くして戸惑うのっち。
無意識にあたしはのっちの美貌に魅入られてしまっていたようだ。

A『のっちって美人よねぇ。』
言った言葉に深い意味はない。ただ、ホントにそう思ったから素直に口にしただけ。
だけどのっちはますます顔を赤くして照れ始めてる。

N『ダ、ダメだよあ〜ちゃん…っ。のっちにはゆかちゃんって大事な人がいるけん、あ〜ちゃんの想いにはA『アホか』』
思いっきりかぶせてやった。
N『ひどっ。』
A『アホの子じゃけど、美人さんなんもほんまじゃし仕方ないよね…。』
N『なんでそんな残念そうなんっ。』
A『ま、とにかく美人は3日で飽きるって言うし、気をつけんさい。』
N『なんで飽きられてる事前提なん……。』

こりゃゆかちゃんに直接確認するしかないかな…。






最終更新:2008年10月17日 17:09