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SIDE-A

この生活には正直飽き飽きしてる。
毎日全て決められたスケジュールに規律。
自分の部屋にいる時ぐらいしか自分の時間は持てないし。
勝手にお散歩も駄目。
とても窮屈な毎日。
いつも少しだけ刺激を求めてる。


今夜は満月だ。凄く綺麗。
思わず窓を開ける。
月明かりで見渡す景色が優しい光に包まれていた。
あ、のっち。
のっちが一人で門番しとる。つい最近まで二人で門番しとったのに。
真面目のっちのことじゃし、少しは位が上がったんかな。
でも結構暇そうじゃけぇ、あ〜ちゃん会いに行ってあげる。
誰かにバレたらヤバイけど、適当に上に羽織って外へ出た。


門の近くの草むらに隠れてのっちに声をかける。
「のっち」
気付かない。
「のーっち」
まだ気付かん。
もういい。隠れん。
思い切り立ち上がると、のっちは草が擦れる音に気付いてこっちを見た。

「あ〜ちゃ、じゃなくて姫!何でこんなところに!?」
「別にいいじゃろ」
「良くないですよ!しかもこんな夜中に」
「のっち、うちらしかおらんけぇ…敬語はやめんさい」
「でも姫…」
「あ〜ちゃん」
「え…?」
「あ〜ちゃんって呼んで。」

あ〜ちゃんがそう言うと、のっちは顔が真っ赤になってあたふたし始めた。
「…あ、あ〜ちゃん…夜は危ないから、ね」
「そんな赤い顔して言われても何の信用もないわ」
「いや…これはその違うくて…とりあえず城に戻って」
「ここなら何があってものっちが守ってくれるじゃろ?」
「…それはもちろんだけど」
「だったらええじゃろ。あ〜ちゃん暇なんよ。ちょっとぐらい付き合いんさい」
「う…わかった」


のっちの隣に移動する。
ほんのりと月の光に照らされたのっちの横顔は月に負けず劣らず綺麗だった。
「何かのっち顔に付いとる?」
「付いとらんよ。綺麗って思っただけ」
「ちょっと何を言いよるんよ!?あ〜ちゃん今日変じゃ!」
「変で結構メリケン粉ぉーじゃ!折角いいもんあげようと思ったのに」
「えっいい物?」
のっちは餌を目の前にして待てをくらっているような犬に見えた。あほの子みたいじゃ。
「一人で門番任されるようになったお祝いにこれ」
「これ…あ〜ちゃんがこの前気にいっとる言うてたやつじゃけぇ」
そう。蝶の形をした金色のブローチ。
「こんなん貰えんよ」
「貰って欲しいんよ。のっちに。」
のっちはそのブローチをじっと見つめていた。まだ迷ってるみたい。
「それお守りでもあるんよ。のっちはこの国を守る兵士だし、あ〜ちゃんも守ってくれるんじゃろ?ならあ〜ちゃんはお守りいらん。あ〜ちゃんのお守りはのっちなんよ。」
「…」
「じゃから!守ってくれるはずののっちが直ぐ倒されるようじゃ役に立たんけぇ、これ持っときんさい!」
「…わかった。ありがとうあ〜ちゃん」
のっちはやっと受け取るとそれを左胸の内ポケットに付けた。
「なんで表に付けんの?」
「だってーまた長官に何か言われるもん。ただでさえ目付けられてるのに…」
「それはのっちが悪いんじゃろ」
「まぁそうなんだけどね」
苦笑いするのっちが何だか凄く愛おしくて。


「あともう一個あるんじゃけど」
「何?」
「目ぇつぶって」
「うん」
ちゅってほっぺに。
思わずデレが出てしまった。のっちは頬を手で押さえてしばらく動かない。

「おーい、のっち?あ〜ちゃん帰るから」
「……え、あぁうん!おやすみなさい」
「おやすみなさい、あと門番頑張りんさいよ」
「頑張る!!」

ほんまに犬みたいじゃ。今度は尻尾振ってるみたいに見えた。


皆が寝静まった城の中を歩く。するとある一角だけまだ明かりの漏れる部屋があった。
確かここは…大臣のヤスタカの部屋…。
あ〜ちゃんはあんまりヤスタカ大臣は好きじゃないし関わりたくない。
何考えてんのかわかんないし、無口だし。
でも無性にその部屋を覗きたくなった。今思うと本能的な勘のせい。


あ〜ちゃん、本当のことに気付いてしまったんよ。








最終更新:2008年10月17日 18:08