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◇N-side◇
無事のっちとあ〜ちゃんはゴールに辿り着いた。
「怖かったね」
「あ〜ちゃんいちいちビビり過ぎなんよ、あんな悲鳴上げられたらコッチもビックリするわ」
「のっちだって途中半泣きだったくせに」
「な、泣いとらんよ!」
そんなこんなで、まぁ楽しい肝試しでしたよ。
ゆかちゃんは脅かす係では無かったみたいだし、遠慮無くあ〜ちゃんと手を握っちゃいました。




宿舎に戻ってお風呂入ってあとはもう寝るだけ。
「すげー壮観ー」
クラス全員分の布団が敷かれた部屋は、本当に壮観だった。
他のクラスもこんな感じで雑魚寝なんだろう。
「もう消灯時間だよ、今の内にトイレとか行っといた方が良いよ」
と加藤さんが言った。
「そうじゃね」
のっちは歯ブラシを持って洗面所に向かった。


歯を磨いた後にトイレに向かうと、途中でゆかちゃんとバッタリ遭遇。
「あ、」
「…」
「パジャマ、可愛いね」
なんて言ってみたら、ゆかちゃんは泣きそうな顔をした。
ドクン、と心臓が跳ねた。なんでまた、そんな顔すんの?
「…ゆかちゃん…?」
「先生の見回り終わったら、ココ来て」
「え…」


トイレの横、自販機とかソファとかがあるスペース。
ここに来れば良いのか?
こんなゆかちゃんを放って置けない、もしかしたら何か嫌な事があったとか…。
「うん分かった」
そう言うと、ゆかちゃんは小さく微笑んで部屋に戻って行った。




先生の見回りが来た。
枕投げをして遊んでいた子達が慌てて布団に入って皆寝たフリをする。このドキドキ感がたまんないよね。
静かに扉の閉まる音がした。
「…行ったね」
そしてまた再び枕投げ再開。のっちはこっそり扉に向かう。
「大本さん、どこ行くの?」
「ちょっとトイレ」
「先生にバレない様に気を付けてね」
そーっと扉を開けて廊下に先生が居ないか確認して、のっちはこっそり部屋を抜け出した。


約束の場所に辿り着くと、ゆかちゃんが既に居た。薄暗い場所でソファに深く腰かけてる。
「ゆかちゃん」
小さく声をかけると、ゆっくり振り返った。
「のっち」
「ここじゃ先生来たら見つかっちゃうよ」
「だったら…」
ゆかちゃんがのっちの手を引いて向かう先は、自販機の影。
「ここなら良い?」
「そ、そうだね…」
ここなら見つかる事は無いだろうけど、やっぱりドキドキするなぁ。


「えっと…それで…何か話とかあるんじゃ…」
「のっちは?」
「え?」
「のっちはゆかに言う事ないの?」
言う事…特に無いけど…なんで?
「そっか無いんだ」
「……」
「のっちが好きなのは、誰?」
静けさが増す。心臓の音だけがやけにリアルに響いて戸惑う。
「ゆかちゃんだよ」
「嘘つき」


どんなに鈍いのっちでも、一瞬で理解した。


ゆかちゃんに、バレた。


「っ…、…!」
一気に体中の血の気が引く。背筋が凍り付く様な感覚で、心臓のリズムが急に速度を増した。
ごめんなさい、と何度も頭の中で呟く。
「ホントはね、もっと前から気付いてたんだ」
「…」
「気付いてないフリしてた」
ごめんなさい
ごめんなさい、
ごめんなさい。
「なんで泣いてるの?」
ゆかちゃんの優しい指が、のっちの涙をそっと掬った。
「泣きたいのは、ゆかの方」
ずっと気付いてたんだ。ゆかちゃんは…気付いてたんだ。
「ゆかは本気でのっちの事が好きだったんだよ」
のっちも本気だよ。
本気で好き。
「…ねぇ、のっち」
「…」
「ゆかは、別れたくないんだよ」
そう言ってゆかちゃんは、のっちにキスをした。


◇2-03:End◇






最終更新:2008年10月17日 18:25