<side n>
いやぁ、びびった。
ついさっき終わったラジオの収録。その1コーナー。
“シークレットシークレット2”
今日の担当は、のっちとゆかちゃん。お題を出すのはあーちゃんだった。
そのお題ってのが、、、「秘密」
あたしたち二人に
「秘密」をお題にしゃべれってのは、、、
なにかの、嫌がらせですか?
おそらく、思いつきというか、イタズラ心が疼いたってところなんだろうけど・・
それにしても、心臓に悪いよ、あーちゃん・・
だって、のっちとゆかちゃんは
まぁ、“一応”、恋人同士ってことで。
あーちゃんもそれは知っていて。
きちんと話したわけじゃないんだけど、なんかバレていて。
付き合い長いからねぇ・・隠し事ってのは難しい。
で、この状況で、今日のラジオ。
結局、なんだかはぐらかした感じで終わっちゃったんだけどさ。
ゆかちゃんも、動揺してたんだろな。
なんか、変な空気っていうか、妙なテンションだったよね、あたしたち。
今日はそれでもう仕事が終わりだったので
足早に帰路に着いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
家に帰って、ふと考えた。
「秘密」
かぁ・・・
たぶん最大の秘密は、ゆかちゃんとのこと。
でも、、、
これが一番の秘密なのかな?
世間的に言えば、ゆかちゃんとのことが一番だろう。
でも、メンバー内では?ゆかちゃんには?あーちゃんには?
昔、あーちゃんのことが好きだった。
てのは、言ってないけど、バレてるだろう。
でもたぶん、ただ単に、片想いしてただけだと思ってるはずだ。
ゆかちゃんの、秘密・・・
ふぅ〜。
今日も、熱帯夜か。
暑さで、めまいを起こしそうだ。
思考がまとまらないときは、
考えるのはよそう。
そ、この暑さのせいだ。
そっと、昔と目の前の現実に蓋をし、
目を閉じた。
<side k>
ラジオの収録が終わった。
なんなんよ、一体、あーちゃん・・・
のっちとあたしに
「秘密」についてトークしろって。
はぁ、焦った。
当の本人は、いつもと変わらずスタッフさんと
にこにこと話をしている。
のっちは・・・
いつも同様、即行帰ったようだ。さっきみたいなことがあっても?
やっぱ、何年経っても掴めない。
付き合っている今でさえ、全然掴めない。
しばらくスタッフさんと談笑して、あたしたちも帰ることにした。
とことこと、駅に向かう。
なんだか、このままだと、家に帰ったら一人で考え込んでしまいそうで・・
「あーちゃん?」
「なに?」
「さっきのって、なんか意図があったん?」
「はは、やっぱ焦った?w」
「そりゃ、焦るよぉ」
「だよねぇ」
あーちゃんが意味ありげに笑う。
「なんなん?」
「えぇ、意図って言われたら、そんな大袈裟なもんじゃないんやけど・・
ただ、ふと、ねぇ・・」
何かあるんだろう。
あーちゃん自身、言葉にできない何かが。
そんな気がした。
だから、あえてそれ以上は踏み込まなかった。
それは、あーちゃんのため。
とかじゃなく、きっと、あたしのため。
踏み込まれたら困るのはきっと
あたしのほうだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
家に帰って、ひと段落した後
のっちにメールしてみた。
思ったとおり、返事は返ってこなかった。
よくあることだ。
でも、今夜くらい返してくれてもいいじゃん・・
はぁ・・・
今夜も暑い。
このなんとも言えない想いも
うだるような暑さに溶けて消えてしまえばいいのに。。。
<side a>
さすが、ゆかちゃんじゃねぇ。
家に帰って、さっきの会話を思い出す。
それに引き換え、のっちは相変わらずのヘタレじゃ。
意図、、、かぁ。
そんな、ちゃんとした思惑とかはないんじゃけど。
ただ、二人をドキドキさせたかったってのもある。
でも、やっぱ、そんなイタズラ心だけだったわけじゃない。
のっちがゆかちゃんに惹かれはじめたのっていつなんだろ?ゆかちゃんは?
それはよくわからない。
付き合い始めたのだって、はっきりとは。
だって、報告があったわけじゃない。
でも、気付いてしまった。
全く驚きがなかったと言えば嘘になるけど、
意外とその事実は自分の中にすっと入ってきた。
今やその事実は、あたしたちの中での暗黙の了解。
二人のことが大好きなので
二人が幸せなのは
あーちゃんにとっても、幸せなことだ。
でも、どうしても、二人の関係は
すっと自分の中に落ち着いてくれない。
それはきっと
ゆかちゃんの“恋人”の存在。
のっちとそうなる前から付き合ってるその人の存在が
二人を素直に見守れない原因。
なにより、のっちもその恋人の存在は知ってることが
余計に混乱させられる。
そんなの、素直に見守れるわけないじゃろ!!
なんて考えること数ヶ月。
その腑に落ちないもやもやが
今夜、あんな形で現れてしまったわけだ。
「好きな人のそばにおれたら、それだけでえぇんよ」
ふと昔、のっちが言った言葉が蘇る。
のっち・・・
なんで、あんたはツライ恋ばっかするんよ・・・
あの時も、今日みたいに
うだるような暑い日だった。
だめじゃ、このままじゃ、あの時に引き戻されてしまう。
そっと、過去から伸ばされてきた手を振り払って
明日の準備をして、眠りについた。
最終更新:2008年10月17日 18:30