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十数年前のこと。
日が傾きだしてもまだ、一面の草原で戯れる三人の少女達がいた。


「あ〜ちゃんもうちょっとで誕生日じゃね」
「そーよぉ」
「また一つ女王様への階段をのぼるん」
「うん!立派な女王様になって、皆が幸せになるように頑張る!」
「女王になったらあの舞台の上で唄うんじゃろ?」
「一人前の歳になったら女王になる儀式として唄うんよ!あ〜ちゃんはたぶんヤスタカが作った曲を唄うことになると思う」
「ヤスタカってあのヤスタカ様!?百年に一人の天才って言われてるヤスタカ様なの!?」
「うん。」
「あ〜ちゃん凄いなぁ…のっち超うらやましい」
「でも普段無口で何考えてんのかわからんけぇ、あ〜ちゃん好かん」
「そんなこと言ってたら曲作ってもらえんようなるよぉー言うてぇ」
「それは困るわぁー言うてぇ。でも…」
「何?ヤスタカ様じゃ不満なん?」


「そうじゃないけぇ。楽しみは楽しみなんじゃけど…一つだけ気になることがあるんよねぇ」
「何が気になるん?」
「『女王になって国を治めることは国と契約すること。国と契約することは対価を払うこと。』」
「なんじゃあそれ?」
「この前パパの書斎で女王様について勉強しようと思って本開けたら、そう書いてある紙がはさまってた」
「対価って何が対価なんじゃろね?」
「うん…ママに聞いてみても対価なんか払っとらん言うし」
「ほんとは対価なんか無いんじゃないのぉ?」
「あ〜ちゃん。どうせ来る時が来たらわかるけぇ、今そんなに心配せんでも大丈夫」
「ゆかちゃん…それもそうじゃね。気にせんとくわ。パパの持ってる本怪しげじゃからなぁ…ちょっと信用ならんし。」
「そうじゃそうじゃ。余計な心配よぉ。それにしても凄いなぁー女王様について勉強なんて。のっちには考えられん」
「将来のことじゃもん。ちゃんと勉強せんと。のっちは将来何になりたいん?」
「そうだなー…うーん……ゆかちゃんは神官様だよね?」
「たぶんねー」
「だったらぁ…のっちは戦士!」
「ゆか、だったらの意味がわからん」
「だってあ〜ちゃんもゆかちゃんも家を継ぐって感じでしょ?のっちの家、武器屋だしさぁ…だったら戦士でしょ!」


「素直に武器屋継ぎんさい」
「え〜やだー」
「あーあ、のっちのお父さんもお母さんも泣いとるわ」
「泣かれてものっちは戦士になるの!」


一人の少女が叫んだちょうどその時、日が暮れたことを知らせる鐘が鳴った。


SIDE-A

思い出した。
あの時見た紙を。

あ〜ちゃんにはもう時間が無い。







最終更新:2008年10月17日 18:53