アットウィキロゴ
SIDE-K

—誰かが泣いている。
ゆかがよく知ってる誰か。
何かを強く抱きしめて声を上げて泣いている。
『泣かないで』
その声は届かない。
胸が締め付けられる。
震える肩を抱くことさえできない—


またこの夢だ。
最近よくみる夢。
前みたときよりはっきりしていた。ベットから出てふと鏡を見る。
ゆか…泣いてる?
最悪じゃ。目腫れとるし。冷やさんと。

自分の机にあるノートを開けてまた閉じる。
神官として、みた夢は予知夢かも知れないってことでとあるノートに書くことになっているけど…この夢だけはいつも書く気が起きない。
てか書きたくない。このノートに書くことで本当に現実になるんじゃないかって思うから。こんなこと悪あがきにしからならいんだけど。
あー苦しい。何かもやもやしてる。気分転換に散歩でもしようかな。
真っ白いふかふかのコートを着て静かに部屋を出た。


吐く息も白い。
思っていたよりも外は寒かった。マフラー巻いてくればよかったと後悔する。
しばらく歩いていると雪が降ってきた。もーほんまに最悪じゃ。絶対鼻赤くなるし。
朝早いから誰にも会わんじゃろと思っていたのに、背後から誰かの足音が近づいてくるのが聞こえる。

「ゆかちゃーん!」

聞き覚えのある声に振り返ると、のっちが手を振りながら走ってくるのが見えた。

「おはよ!」
「おはよ。のっち今日は早いね」
「でしょー?今日は久しぶりに訓練が休みだから自主練として走ってたんよ。偉いじゃろ?」
「うん偉い偉い。普段からこれぐらいの時間に起きれたらもっと偉い。」
「ゆかちゃん言うよねー…って、どうしたん?」
「何が?」
「目ぇ腫れとるけど…大丈夫?」


のっち…ほんまにこういう人の些細な変化を見逃さんよね。そこがのっちの好きなところでもあり、嫌いなところでもある。
さっきの夢のこともあるけど、今のっちの眉がハの字になった顔を見ているともっと胸が締め付けられて。
ヤバイ。また泣いちゃう。

「ちょっとゆかちゃん何で泣きよるん!?」

のっちがゆかを慰めようと優しく抱きしめてくれる。走っていたせいか、ゆかより身体が温かい。
こういう時に優しくされると余計に涙が止まらない。


このまま時間が止まればいいのにって思った。
あの夢が現実になるという嫌な確信があったから。


TO BE CONTINUED...






最終更新:2008年10月17日 19:01