<side a-k>
授業を終えて、仕事場へ。
まだ、二人とも来てないなぁ・・
なんて思ってると
二人揃ってやって来た。
「あぁ、あ〜ちゃんの方が早かったんだね〜」
「のっちがもたもたしてるからじゃ」
「なんでよ!?のっちのせいなの?」
あらあら、仲良く揃ってご出勤ですか
なんて、ちょっとからかってやろうと思った
だけど・・
「あ〜ちゃん、ゆかちゃんがイジワル言っくるよぉ。どう思う!?」
「二人一緒だったんじゃ?よかったじゃん。
のっち一人だったらまた遅刻じゃったかもよ」
「あ〜ちゃんまで、ひどいよ」
くすくすおかしそうに笑ってるゆかちゃん。
いじられて、なんだかんだで嬉しそうなのっち。
いつもと同じ光景。
のようなんだけど・・
何なんだろ?この違和感。
あ〜ちゃんの気のせい?
今日の仕事は、いくつかの取材に撮影。
予定通りにこなしていく。
見た感じは、、、普通なんだけどなぁ・・・
でも、なんかひっかかる。
周りのスタッフさんたちは、何も気付いてないようだけど
やっぱり、なんか・・・
個別の撮影に移り
必然的にゆかちゃんと二人になる。
あぁ、もう!聞いちゃえ!
「ゆかちゃん?」
「んー?」
「のっちと何かあった?」
撮影中ののっちを眺めていた瞳が
すっとこっちを向いて止まった。
「どしたん?いきなり。」
「いや、気のせいならいいんじゃけど、、、
なんか二人とも変と言うか、無理しとるんじゃないかと言うか・・
うまく言えんのじゃけど、とにかくあ〜ちゃんはさっきから落ちつかんのじゃ。」
「あ〜ちゃん、相変わらず、ストレートじゃね」
ゆかちゃんが、少し困ったように笑う。
「・・・無理してるように見える?」
「・・うん」
「そっか、、、」
「・・やっぱ、なんかあった?」
「うんまぁ、、、ちょっと、ねぇ」
そう言うと、そっと、のっちに視線を戻した。
そして
「ゆかが悪いんじゃ」
と呟いた。
どういうこと?
とは、もう聞けなかった。
そうしてるうちに、ゆかちゃんの撮影の番になった。
「心配かけてゴメンね。でも大丈夫だよ、ありがとう」
そう言って、ゆかちゃんは立ち上がって
撮影に向かっていった。
<side a-n>
ゆかちゃんと入れ替わり、のっちが戻ってきた。
「あ〜ちゃん、なにボーっとしてるん?」
いけんいけん、しっかりしなきゃ。
「んー、別にぃ」
「そう?」
そう言って、のっちはあ〜ちゃんの隣に腰を下ろす。
視線はゆかちゃんへ。
ほんと、やさしい目をしよる。
あたしはこの、ゆかちゃんを見つめるのっちの瞳が
好きだ。
あぁ、ほんとに好きなんだって伝わってくるから。
それと同時に、苦しくなる。
きっとそれは、愛しさに溢れるその瞳の中に
チラッと寂しさのようなものを感じるからだ。
いつかも見た、あの瞳に似てる・・・
ダメじゃ、あ〜ちゃんまで落ち込んでどうする!
よし。
「なんか、ゆかちゃん元気がないね」
わざとらしく、話をふってみる。
一瞬、瞳の奥が揺らいだ、ような気がしたけど
「そっかな?」
と、さらっとかわされた。
のっちの方が、一枚上手かと思うと悔しくなって
「どうせまた、のっちが気付かんうちに何かしでかしたんじゃろ」
と言ってやったら
「なんで、のっちが一方的に悪いことになっとるん」
と、苦笑い。
視線は変わらず、ゆかちゃんを追っている。
でもさっきまでとは違って
何か考えてる時の目に変わっていた。
あぁ、もうそんな目しよって・・・
「大丈夫なん?」
「んー、大丈夫なんじゃないかな」
「じゃなくて、のっち!」
「えっ?のっち?」
意表をつかれたのか、きょとんとした瞳が
あ〜ちゃんに向けられた。
「ゆかちゃんの話じゃなかったっけ?」
「のっちもじゃ!そんななんでもないような顔しよっても、
ムリしとることくらいお見通しじゃ!」
つい感情が先走ってしまった。
だってあまりにのっちが、
キモチとは対照的な言動しよるから・・
そんな気がしたから。
きょとんとしていたのっちは
「大丈夫じゃよ。ありがと、あ〜ちゃん」
と、ゆかちゃんとおんなじようなこと言って
少し困ったように笑った。
撮影中。
二人とのやり取りを思い返していた。
あぁ、ちょっと首をつっこみすぎたかなぁ
でもやっぱ、ほっとけないし・・
ちらっと、二人の方に目をやる。
何か、話してるようだ。
視線は合わせないまま。
あ、
のっちの手がそっとゆかちゃんの手と
重なるのが見えた。
それは、
愛しさから重ねたものではなく、
大丈夫だよね、と
お互いに確認しあってるように見えて。
思わず泣きそうになってしまった。
そして、その瞬間
決意は固まった。
最終更新:2008年10月27日 15:46