SIDE-N
ゆかちゃんが泣いてるのを見るのは久しぶり…いや今までにないかもしれん。
あ〜ちゃんは涙もろいからよく見たことあるんだけど。
よっぽどのことがあったのかな、なんて思ってしまう。
今はのっちの家のソファーに座ってじっとしている。よーし。元気のない女のコには甘いものをって言うし。のち男のみせ所じゃね。
「はい、これ。チョコレイト。」
「…」
「いらん?じゃあココアとかどう?」
「…アィス」
「え」
「アィスがいい。」
「そーれはちょっと…真冬だしないかなー…」
「…」
うわーゆかちゃん折角しゃべってくれたのに、また黙っちゃった。つらいぞ…この空気。
「わ、わかった!のっち買ってくるわ!うん、そうする!」
ドタバタと買いに行く準備をしているとゆかちゃんがクスクスと笑い始めた。
「え、ちょっと何?」
「のっちの眉、超ハの字じゃ」
「だってゆかちゃんがアィス欲しいって言うし…」
「嘘だよ、別にいらん。ありがとのっち。」
「いえいえ…って何に感謝されてるんだかわからんけど…あぁー…ちょっとは落ち着いた?」
「うん、ちょっとだけね」
ゆかちゃんの顔に少しだけいつもの笑みが戻る。のっちも少し安心じゃあ。
「あの…何があったん?」
「夢…」
「夢?」
「悪い夢をみたんよ」
ゆかちゃんはまた泣きそうな顔になる。
「…誰かが泣いてて…ゆかはどうすることも出来なくて……ゆか自身も凄く悲しいの」
唇をぐっと噛んで何かに耐えているゆかちゃんを見ているとのっちも悲しくなる。思わずゆかちゃんの手を取った。
「のっち…?」
「のっちがゆかちゃんをその夢から守ってあげるけぇ、そんな顔せんで。」
真剣に言ったのに。ゆかちゃんは少し笑ってのっちのおでこを小突いた。
「のっちのくせにカッコつけすぎじゃあ」
「うーせっかく心配してあげたのに…」
「そういうことはあ〜ちゃんに言いんさい。のっちはあ〜ちゃんのために戦士になるんじゃろ?」
「そりゃまぁそうじゃけど…ゆかちゃんが困ってるならのっちは助ける。」
ゆかちゃんの目はもう笑ってない。もう…また泣きそうになっとる。話題を変えんとね。
「そういえば、あ〜ちゃんもうちょっとで誕生日じゃね」
ゆかちゃんの表情が明るくなる。うちらの共通の話題と言えばやっぱりあ〜ちゃん。
「うん、女王様になるんよ。凄いよねー」
「また遠くなっちゃうなぁ…」
「何を言うとるん。あ〜ちゃんはあ〜ちゃんよ。」
「まぁそうじゃけど…会える時間がもっと少なくなるし…」
「国のためじゃけぇ、仕方ないじゃろ。それにのっちが一級戦士にでもなれば近衛隊長になってずっと側におれるんじゃない?」
「俄然やる気出てきたんですけど」
「それはよかった。あ、今何時?」
「えーっと…8時過ぎかな」
「やばい。ゆか帰らんと」
「えーもう帰っちゃうの?」
「当たり前じゃろ。神官も暇じゃないんよ。のっちもそのやる気を損なわんうちにまた訓練しんさいよ」
「…わかった。じゃあ一緒に出よ」
急いで外に出る準備をする。ゆかちゃんも真っ白のコートを羽織ってドアの前で待ってくれてる。
内ポケットにあ〜ちゃんからもらったブローチが付いてることを確認して。
「準備完了しました!」
「では行きましょう」
のっちはいつでも付けてたんだよ。
のっちがあ〜ちゃんに仕える限り、このブローチは絶対に外さないって決めたから。
でも仕方なかったんだよ。
TO BE CONTINUED...
最終更新:2008年10月27日 15:48