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あ〜ちゃんの様子から、何かあることくらいは
すぐにわかった。

簡単に散らかったものを片付けて
椅子に腰掛けて、あ〜ちゃんと向き合う。

ほら、やっぱり。
その目は、強く、まっすぐ
あたしを捉えていた。

あ〜ちゃんが話し始めた。

「のっちはさ、ゆかちゃんの恋人のことは、どれくらい知っとん?」
  −あぁ、この話か・・・
「・・・どれくらいって?」
「ゆかちゃん、あ〜ちゃんたちの前で全然そんな話せんじゃろ?」
「そりゃ、まぁ、できんのじゃろ・・・」
—のっちのこともあるし。てか、のっちだって聞きたくない。
「そうなんじゃけど。その・・付き合い始めたことからあんまり話してなかったじゃん。
 その頃は、のっちとは、まだ、、、付き合ってなかったわけじゃろ?」
「・・・うん」
「その前の彼のときは、いろいろ話してたのに」
「まぁね・・」
  −言われてみれば、そうだ。
「あ〜ちゃん、ふと、ゆかちゃんは誰とも付き合ってないんじゃないかって
思うときがある」
「・・それは、さすがにないよ」
「なんで?」
「一緒にいる時の感じで?」
  −…前に、ゆかちゃんの背中に誰かがつけた“跡”を見たことあるし。
   悔しいから、付け返してやったけど・・・
   とか、まぁ、いろいろあるけど、、、言えん。
「てか、たぶん今日もデートだと思う」
「っ!!何で、そんなことさらっと言えるん!!?」

あまりのあ〜ちゃんの勢いに、驚いて言葉がでなかった。

「のっちは、ゆかちゃんのことが好きなんじゃろ!?
 めっちゃ好きなんじゃろ!?
 だったら、なんでそんなにさらっとデートじゃとか、
 彼氏がおっても平気ですってふうにできるん!?
 全っ然、平気じゃないくせに!」

言葉が出てこないのっちを尻目に
あ〜ちゃんはどんどんまくし立てていく。

「あ〜ちゃんはほんと、もうわけがわからんのじゃ。
 ゆかちゃんだって、絶対のっちのことが大好きなはずなのに
 なんでうまくいかんの!?
 なんでこういうことになってんの!?」

あ〜ちゃんの目には、
いつの間にか涙が溢れていた。


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気がついたら、のっちを攻め立てるような形になっていた。
しかも、涙まで出てくるし・・・
のっちは、黙り込んでしまった。

最悪じゃ…

微妙な空気が流れる。

何か言わなくっちゃ…


沈黙を破ったのは、のっちの方だった。

「・・ごめんね、あ〜ちゃん」
「なんで、のっちがあやまるん・・・」
  −悪いのは、あ〜ちゃんなのに。
「うん、いやぁ・・・なんとなく」
  −“なんとなく”って・・・
「こんなになるくらい、あ〜ちゃんに心配かけてたんだな、て思って」
「…あ〜ちゃんこそ、ごめん。一方的に勝手なこと言って」
  −二人にしかわからないことだってあるだろうに。ほんと、勝手だ・・
「のっちたちのことを想って言ってくれたんじゃろ?
 のっちが、あ〜ちゃんの立場だったら、、、て考えると、気持ちはわかる、かな」
「…」

一つ一つ、言葉を選ぶようにして話すのっちの姿に
少しずつ、高ぶっていたものが落ち着いてきた。

「で、さっきの話なんだけど、、、なんて言ったらいいのかなぁ・・」
「…のっち?」
「ん?」
「ゆかちゃんのこと好きなんじゃろ?」
「もちろん。愛しとる」
「独り占めしたくないん?」
「…したいよ」
「そのキモチ、ちゃんとゆかちゃんに伝えた?」
「…」
「なんか、さ…のっちはゆかちゃんに遠慮してるんじゃないかって思うことがある。
 ゆかちゃんに、彼氏がいるから、わがまま言うたらあかん、、みたいな」
「…」
「もしかしたら、ゆかちゃんは、のっちのその一押しを待っとるんじゃない?」
「本心をぶつけることは、、、できん」
「なんで?」
「ゆかちゃんを失うかもしれん」
「・・そんなことは、ないじゃろ・・・」
「可能性はゼロじゃないじゃろ?
 てか、“別れられない”て答えを出したんはゆかちゃんじゃ。
 それでも、のっちはどうしても傍におりたかったんよ。
どんな形であれ、ゆかちゃんの傍に。
もう十分、わがまま言っとるよ、のっちは・・・」
「…」
「それに・・・・・」
「それに?」
「もし、のっちを選んでくれたとしても、
のっちには“彼氏”が用意してあげられるような人生はあげられないじゃろ?」
「−っ!」


のっちの本心が見えた。
痛い痛い本心。


それは、あの日
あ〜ちゃんがつけた
傷、だった。






最終更新:2008年10月27日 16:03