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SIDEーA

「綾香様。ヤスタカ大臣が来られました。」
「わかった。通して。」


今日から女王様になる儀式で唄う歌の練習が始まる。
皆から天才と呼ばれる大臣のヤスタカはその儀式のために曲を作ってきてくれていて、どんな曲かは一週間ぐらい前には聞いていた。
初めて自分の声をその音楽に合わせる。

…あれ。どうもうまく声が出せない。
いつもみたいに唄えない。
ヤスタカを見ても、かけているサングラスで表情がわからない。
やっぱりあの日知ったことが気になって集中できない。
あ〜ちゃんが唄うのを途中で止めると、ヤスタカは音楽は止めずにこちらの方に少し顔を向けた。


聞くしか…ないか。


「あの…」


「女王様になるために対価を払うって本当…?」

ヤスタカが音楽を止める。

「対価…」
「昔パパの書斎でそういうことが書いた紙を見たことがあって」
「へぇ…」
「この前ヤスタカの部屋にもその紙が…」
「勝手に入ったのか!?」
「ごめんなさい!扉が開いてて…その…好奇心に勝てなくて」

ヤスタカは黙ってこっちを見ていたけど、そのうちニヤリと笑った。

「やっぱりコドモだな…」
「え?」
「君は好奇心に負けて知らない方が幸せだったことを知ってしまったようだ。」
「…じゃあやっぱり対価は!?」
「あぁ…あるとも。僕の見る限り君には必要な対価がね。」
「どういうこと…?」
「女王になるということはこの国を治めるということだ。好奇心や興味本位で国を治めてもらっては困る。」


「君はオトナにならなくてはならない。コドモの間は全てがお遊びだが、オトナになれば遊びではなくなる。」
「対価はオトナになるため?」
「そう。オトナになるためにコドモである君自身を捨てるんだ。つまり…」

ヤスタカは再び機械を弄り始めた。さっきよりもゴリゴリの音楽が流れる。



「『コドモ時代の記憶を捨てる』…それが対価だ。」


TO BE CONTINUED...






最終更新:2008年10月27日 16:06