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<side k>

「こんなとこで、なにしよるん?」
「え、のっちとこ行ってて」
そりゃ、そだよね。じゃなきゃ、こんなとこで会うことない。
「…そなんだ、、めずらしいね」
ほんと、めずらしい・・・
「…うん。…ゆかちゃん、今からのっちとこ?」
「…わからん」
「わからん、て。のっちとこ、もうそこだよ?」
「わかってるけど、、迷っとる・・・」
「…」
「…」
「ゆかちゃん、ちょっと話せる?」
「…うん」

道の真ん中でつっ立てるわけにもいかないから
ちょっとよけて、道路沿いに立っている柵みたいなのに
二人並んで、そっともたれかかった。

「…ゆかちゃん、、今日、デート、だったの?」
「っ!」
あまりの直球に、思わずあ〜ちゃんに振り向く。
てかなんで、、
「あ、いや、のっちがさっき、そう、、、かもって・・」
あぁ、のっちやっぱり・・・わかってんだ・・

…て、あれ?
あ〜ちゃんの目が赤い。
「・・あ〜ちゃん、泣いたん?」
「えっ、あ、いや、その…」
しどろもどろになり、くいっと目を逸らすあ〜ちゃん。
なんか、あやしい。
「のっちと何かあったん?」
「いやぁ、、何かあったっていうか・・」
「・・・あ〜ちゃんはさぁ、のっちのこと…」
「えっ?」
「…うぅん。なんもない」

なにを聞こうとしてんだ。
一番、ヤな自分が現れそうになってしまった。
第一そんなこと聞く資格なんて
ゆかにはないのに。

のっちに引き寄せられすぎると
いつもこうだ。
自分をコントロールできんくなる。


<side a>

なんか、さっきから
ゆかちゃんの様子が変なんですけど。

あ〜ちゃんが、のっちのこと?・・・
あれ、なんか、変な勘違いさせてたりする?

て、まさか、、、ねぇ。


「ちょっとさぁ、ずっと悩んでたことあって。
 それを、のっちに聞いてもらってたんよ」
「…そんなんじゃ。…で、解決した?」
「うん、、解決っていうか、まぁ、すっきりとはしたかな」
「そっか、、よかったね…」
ゆかちゃんは、さっきから俯いたままで
表情はわからない。
「で、さっき迷っとるって言ってたけど、なにを迷っとるん?」
「あぁ、、うん・・これからのっちとこ行っていいんかなぁって」
「…迷うことなん?」
表情は見えないけど、泣いてるように微笑んでる。
そんな気がした。

ゆかちゃんの、ココロの中も
さっきまでのあ〜ちゃんと同じように
いろいろとぐちゃぐちゃになっていて
それを吐き出す出口を探してるのかもしれない。


「ねぇ、聞いていいかな?」
「…、えぇよ。なに?」
「彼氏ってどんな人?」
「…」
唐突だよね。でも今聞かなきゃ、もうまた聞けない気がした。
「…まっすぐな人、かな」
「まっずぐ?」
「うん。不器用なんだけど、一生懸命ていうか。
 ツライ時も、いっぱい支えてくれた。
 一緒におると、安心できる」
「…、のっちは、、そうじゃないん?」
「のっちは・・・のっちとおると・・・
 幸せだと思うと同時に、、、怖くなる」
「・・・」
「ねぇ、あ〜ちゃん?
 のっちを、とどめておくことなんて、できるんじゃろか?」
「えっ?」
少しだけ、ゆかちゃんの本音が聞こえた気がした。
でもまだ、うまく掴みきれない。

ただ、
ゆかちゃんが1番大切に想ってるのは、のっちだ。
それは、確信できた。・・気がした。
「…どうして別れられないの?」
「今日のあ〜ちゃんはぐいぐいくるねぇ」
「ごめん…」
さすがに踏み込みすぎた。無理に答えんでいいよって
言おうとしたら、ふと、ゆかちゃんが呟いた。
「あの人は、ゆかの“ブレーキ”だから・・」

ブレーキ?
わけがわからず、返す言葉を探していると
ようやく、ゆかちゃんが顔を上げて
こっちを見た。
「へへ、ちょっとしゃべりすぎちゃった。
 暑さにやられちゃってるのかな」
と言って立ち上がる。そして
「やっぱ、帰ろう〜っと」
「えっ?なんで!?」
あ〜ちゃんもう、全然ついていけないんですけど。
「このまま行っても、きっとのっちを困らせるだけじゃ」


「でもっ!」

ふいに、携帯の着信。
あ〜ちゃん、、、のではない。
ゆかちゃんのだ。

ゆかちゃんは、一瞬
躊躇したようだったけど
「ちょっとごめんね」
と言って、少し離れたところで、その電話に出た。


「もしもし」
「あぁ、、うん。ごめん、まだ」
「なんか、気分転換にぶらぶらしてて」
「大丈夫だって〜心配しすぎだよ」
「うん、もう帰るよ」
「わかってるって。また、連絡するね」

表情は見えないけれど、声の様子で
電話の相手は、安易に想像できた。


「ごめんね。まだ電車大丈夫だよね?駅まで一緒に行こう」
「…うん」

−のっちとこ行かなくていいの?−

その言葉を飲み込んで、
ゆかちゃんと、駅に向かって歩き出した。






最終更新:2008年11月04日 14:19