アットウィキロゴ
<side a>

駅に向かって、歩き出したものの
お互い、言葉を発するタイミングを失って
なんだか、気まずい。


てか、ゆかちゃんの本音が
見えそうで、見えない。

あぁ、もう
ここまできたら、なにを遠慮するんじゃ!?
なんて、
変に開き直ってしまった。

「あのさぁ、、、さっきの電話って・・」
「あぁ、あれね・・」
ゆかちゃんは、気まずそうに笑い
「心配性な人なんよね。ちゃんと帰れた?って。
ま、今日は、ゆかの様子が変だったのもあるんだろうけど…
 てか、すぐ子ども扱いしよる」
「年上?」
「うん」
「大人な人?」
「う〜ん、そじゃねぇ…でも子どもみたいなとこもあるよ。
 無邪気っていうか」
「まっすぐ?」
「そだね…それに、自由な人。
 てか、いまだに、よくわかんないとこも多いかな・・」
「…なんかそれって・・・」
言いかけて、言葉を飲み込んだ。

ゆかちゃんのほうを見ると
なんとも言い難い表情をしていた。
泣いてる?
困ってる?

−もしかして、ゆかちゃんも自身も気付いてる?


「着いちゃったね」
「えっ?」
「駅」
「あ、うん…」
「あ〜ちゃん、電車大丈夫?」
「えっと、、、うん、まだ大丈夫じゃ」
「じゃ、ゆかこっちだから。気をつけてね」
「うん、ゆかちゃんも」
「ありがと」
そう言って、立ち去ろうとするゆかちゃんを
「ちょっと待って!」
と、思わず呼び止めた。

えっと・・・
「不安なことあるならのっちにぶつけてみたらどうかな。
 大切に想うなら、失いたくないなら、ちゃんと向き合わんといけんよ。
 そりゃ、のっちはあんな感じで、ヘタレじゃけ。
 それでも、大切に想っとる人の想いはちゃんと受け止めてくれるよ。
 どんな想いでも。それは絶対じゃ!」
「…そだね。ほんと、このままじゃいけんね…
 あ〜ちゃん、ごめんね。ほんと、心配ばっかかけて」
「・・あ〜ちゃんこそ、なんか、、、いろいろと、ごめん。
 でも、二人にはちゃんと幸せになって欲しいんよ」
「うん、ありがと」


そう言って、ゆかちゃんと別れた。


−う〜ん、、あれでよかったのかなぁ。
電車の外を流れる景色を眺めながら
さっきまでのやりとりを思い出す。


今夜のお月様は
ほんとにきれいだ。
あまりにキレイすぎるその光は
なんだか
良いことも悪いことも
照らし出してしまうようで
少し、怖いなって思ってしまった。


二人が、これ以上
ツライ想いをしませんように・・

誰に祈るわけでもなく
そっとココロの中で
呟いた。


<side k>

なんだか、長い一日だったな。
うちに帰って、すぐにあの人に
『ちゃんと帰ったよ』と連絡し、
ベッドに倒れこんだ。


あ〜ちゃんとのやりとりを思い出す。

あぁ、今日のゆかは、ほんとどうかしてる。
あそこまで、話すつもりなんてなかったのになぁ。。。

でも、ほんとは
聞いて欲しいと思っていたのだろうか。
ずっと閉じ込めたままの想い。
もう胸の内だけには、収まらなくなってきてるのかもしれない。

−…なんかそれって・・・
あ〜ちゃんの言葉が頭をよぎる。

気付かれた、かも。


−…なんかそれって・・・

のっちみたい、、だね?


のっちへの、キモチに気付いたのは
皮肉にも、「あの人」がきっかけだった。

不安定な時期だったと思う。
でも、簡単に不安を口にはできなかった。
そんな時、あの人の存在は、ゆかの中にすっと入ってきた。
とにかく安心できた。
なんでかは、よくわからなかった。

でもある時、気が付いてしまったんだ。
もしかしたら、気付かなかったほうが
幸せだったのかな。

そう、
ふとした時に頭をよぎってたのは
「あ、のっちみたい」、てこと。

二人はなんだか、似てる。

ほんと、バカだと思う。
こんな形でしか、自分の本当のキモチに
気付けなかった自分を。


ずっと

もうずっと

ゆかは、のっちのことが好きだったんだ。


でもずっと
のっちのココロは、あ〜ちゃんに向いていた。

自分のキモチに気付くよりも
先に存在していた
その現実に
無意識に想いは封じ込められていたのかもしれない。

のっちのココロが手に入るわけない。
のっちの全てを、ゆかのものにするなんて・・
無理に決まってる。


そう思っていた。

だから、あの人でちょうどよかったのに。
大人になるまで、あの人に寄りかかっていれば
ちょうどよかったのに・・

なのに

ある時を境に
のっちから、あ〜ちゃんが大好きっていうオーラみたいなのが
弱くなった気がして
なんとなく、傍にいることが増えて・・


今のままでちょうどいいんだと思っていた
ゆかのココロは


あの日

バランスを崩してしまったんだ。






最終更新:2008年11月05日 19:47