◇N-side◇
のっちが二人に優しく頭を撫でられて、泣きやんだのはしばらく経ってから。
それから、二人は無断外泊したせいで怒りの電話がお母さんから掛かってきたらしく、慌てて家に帰って行った。
まだ夏休みは始まったばかり、二人に打ち明けて安心しきったのっちは、もう既に試合を終えたボクサーみたいな気分で。
…だけど、これからが本当の正念場だった。
◇
次の日の朝、あ〜ちゃんからの怒りの電話で目が覚めた。
『のっちコラ舐めとんのかアンタは!お尻の穴から手突っ込んで奥歯ガタガタ言わせたろかボケー!』
あ〜ちゃん、それじゃまるでヤクザだよ…。てかどうしたの。
今さら怒っちゃったの?もう許して貰えたと思って安心しまくっていたのに!
「な、ちょ、ちょっとあ〜ちゃん落ち着いて…っ」
電話越しに慌てるのっち。のっちもしかして殺されちゃうの?わーどうしよう。
『今から行くけぇ、待っとれ!』
こっこっ…殺される…!!!ゆかちゃーん!助けてぇー!
恐いよ恐いよ。めちゃくちゃ怒ってるよあ〜ちゃん…。どうしようどうしよう!
『逃げたら殺す、逃げんでも殺すけど。じゃあね。…ブツッ』
ツーツーツー…
あれ?おっかしいなー冷房効いてるはずなのに汗が半端無いや。
とりあえず、逃げる?そうだね逃げよう。どっちにしたって殺されるなら逃げた方がまだ助かる可能性が…。
—ピンポーン…
プルルルル…ガチャ
『もしもしのっち、開けて?』
…死ぬ。本気でそう思った。
◇
扉を開けた瞬間、一つの影がのっちに飛びかかってきた。
「アンタって女はー!この淫欲女!レイプ魔!」
「ぎぃやあああああ!!」
…数分後…。
「ハァハァ…死んだ?」
「…うぅ…」
「まだ生きとったか!」
「うごっ」
トドメを刺され、のっちは死んだ。だけど愛するあ〜ちゃんに殺されるなら本望だよ…。
「アンタ、今までゆかちゃんに酷い事したらしいね」
「ひ、酷い事…?」
「エッチな事じゃエッチな事!最低!」
またあ〜パンチを食らった。い、痛い…のっちもうボッコボコだよ…。
「どーゆー事じゃコラ」
「ど、どーゆー事って…ごめん…でもエッチな事はあ〜ちゃんにもして来たし…」
そう言うと、あ〜ちゃんは少し顔を赤らめた。お?ちょっと照れてる?
「ゆかちゃんに聞いたんよ全部!どーゆー事なん!てか付き合って一週間でエッチするってどーゆー事!?まだあ〜ちゃんとはキスもしてなかったのに!!」
「わぁっ!」
ゲームのコントローラーを投げるあ〜ちゃん。やめて!それだけは投げないで!壊れるー!…ナイスキャッチのっち。
「だ、だって、ゆかちゃんが…!」
「ゆかちゃんのせいにする気!?」
「だってあんな風に誘われたら…普通だったら断れないよ!」
「…どんな風に誘われたんよ」
説明すると、あ〜ちゃんは真っ赤になった。のっちも思い出して真っ赤に。
「ゆかちゃん…そんな事…」
「う…うん…だからのっち我慢出来なくなっちゃって…」
「そ、そっか…」
本当にあの小悪魔ちゃんは恐いよ。のっちの扱いを分かってるもん。
「でも…一週間はさすがに早過ぎるじゃろ…」
「うん、のっちもそう思ってた…」
「だから初めての時、のっちあんなに上手だったんだ…」
「あ、あー…」
そうだ。あ〜ちゃんと初めてエッチする前に、ゆかちゃんとは何度もエッチしてたしね。だから少し慣れてたかも…。
「…ゆかちゃん、エッチじゃね」
ポツリと言うあ〜ちゃん。
そりゃ、あ〜ちゃんと比べたらエッチだね、ゆかちゃんは。のっちは随分とあのエロ大将に鍛えられたよ。
「…」
「…」
「のっちは…エッチな子好き…?」
「あ、うん好き」
「アホーッ!」
「ぎゃふんっ!」
またパンチがクリティカルヒット。正直者めバカのっち。
「もう帰る!バーカ!」
「ま、待ってよ違うって!エッチなゆかちゃんも好きだけど、そうじゃないあ〜ちゃんも大好きだよ!」
「のっちは変態じゃもんね!エッチなゆかちゃんを相手にする方が楽しいじゃろうて!」
「た、確かに楽しいけど、初々しいあ〜ちゃんも超可愛いって!本当だよっ!」
思わず抱き寄せて、ソファに押し倒してしまった。
「あ…あう…」
「…っ!」
あ〜ちゃん、突然の事に、顔が真っ赤だ。のっちも予想外の自分の行動に顔真っ赤。
そういえば…ずっとあ〜ちゃんとシてない…。
「あ…あ〜ちゃん…」
「のっち…」
心臓が高鳴る。痛いくらい。のっちはゆっくり顔を近付け、キスを…
「うごふっ!」
お腹を蹴られた。なぜ!?
「ダメ、絶対ダメなの!」
「な、なんで!?」
「ゆかちゃんと…抜け駆けは禁止って決めたから…」
なんだそりゃ!
◇2-08:End◇
最終更新:2008年11月13日 20:08