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◇K-side◇
「そもそも、おかしくない?悪い事しとったのはのっちなのに、あのアホ犬、なんも反省しとらん」
そう言ってあ〜ちゃんはまた頬をぷくっと膨ませた。
のっちは今お風呂に入っている。朝にシャワー浴びて、夕方にもお風呂に入って…夏休みって素晴らしいね。
「あ〜ちゃんがすぐに許しちゃうから調子に乗ったんよ」
「えーあ〜ちゃんのせい?」
「ゆかのせいでもあるか」
とにかく、ゆかとあ〜ちゃんはのっちを甘やかし過ぎなんだ。一人っ子で甘やかされて育って、その上ゆか達まで甘やかしてどうするの。
「これからは厳しくいかんとね、ガツンと」
「ガツンとかぁ…出来るかなぁ?」
「ゆかちゃん弱気にならんでよ!あ〜ちゃんはガツンと行くけぇね!ガツンと!」
そう意気込むあ〜ちゃん。ゆかは無理だと思うけどなぁ。
「ガツンとミカンは美味しいよね〜」
などと言って、お風呂から上がったのっちがTシャツに短パンとゆーラフないつもの部屋着姿で冷凍庫の扉を開けた。
「ハッいつの間に」
聞こえたのではないかと身構えるあ〜ちゃん。完璧聞こえてたっぽいね。
「二人共、今日も泊まってく?」
取り出したアイスをペロペロ舐めながら、のっちはソファに座ってテレビをつけて。なんなんこの偉そうな態度!朝まで泣いてたくせに!
「どうする?ゆかちゃん」
「うーん…どうしよっかなぁ」
今朝お母さんに無断外泊で怒られたばかりだからなぁ。まぁ連絡すれば全然良いんだけどさ。
「ゆか、今日は泊まらん」
「えー泊まってかんの?」
「だったらあ〜ちゃんも帰る」
「そんなぁ〜!」
だって抜け駆けは禁止だもんね?あ〜ちゃん。のっちは情けない声を出す。でも…
「ねぇのっち、」
「?」
「今、あ〜ちゃんとゆか、どっちかとエッチ出来るとしたら、どっちとしたい?」
「ゆ、ゆかちゃん何言っとるんよ!」
ゆかの発言に慌てるあ〜ちゃん。のっちはうーんと考え込んだ。
「うーん…どっちも、かなぁ」
そうポツリと呟いて、のっちはニヤけた。何かを想像してニヤニヤしている変態発揮中ののっちを見て、あ〜ちゃんとゆかはため息を吐く。
「はぁ…なんでこんな人を好きになったんじゃろ…」
「ホンマじゃ、ゆかもそれ今思ってた」
「酷いよ二人共〜!」
でも、その言葉を聞けて安心した。少なくとものっちは今も、ゆか達とエッチな事をしたいと思ってくれてる訳だから。


「どうしようかな、ゆか達が帰っちゃ嫌?」
「うん嫌じゃ」
即答するのっち。やけに素直で可愛い。
「じゃ、泊まってあげても良いよ」
「ならあ〜ちゃんも泊まってく」
「ぃやったー!!」
のっち大喜び。ゆかはあ〜ちゃんと目を見合って、小さく微笑んだ。


◇N-side◇


ガツンと、ガツンと…。
あ〜ちゃんのあの言葉が今、頭の中でリピートされている、なぜなら…
「ふーん、自分はするくせに、されるのは嫌なんだ?」
「たまにはされる方の気持ちを知るのも良いんでない?」
暗闇の中、狭いベッドに三つの影。のっちは服を脱がされて、恥ずかしい格好に。
「ま、待って…ちょっと待って!」
二人が泊まってくって…これを企んでいたんだ!エッチな事って…それって…は、ハメられた…!
嫌だ!こ、こんなの嫌…っ!助けて〜!


「……ハッ!」


ここはベッド。両隣には窮屈そうに横たわる二人の姿が。
「あはは…夢かぁ…」
あービックリした。死ぬかと思った。
「のっち…どうしたの?」
「ゆかちゃん…ごめん起こしちゃった…?」
「ううん、なんか眠れんかった」
起き上がるゆかちゃん。二人に抱かれる夢を見ました、なんて恥ずかしくて言えないよ。
「のっち…汗かいてる」
「あ、う、うん…なんか暑くて…」
「ゆかも少し汗かいちゃった」
ゆかちゃんの細い首に光る一筋の雫。月明りに反射して、とても綺麗だ。
「のっち、前髪がおでこに張り付いてるよ」
そう言って、細い指がのっちの顔に向かって伸びてきた。
のっちはそれを遮る様に掴んで、ゆかちゃんの目を見つめた。綺麗な瞳…最低なのっちを許してくれた、優しい瞳。
「…のっち?」
「ゆかちゃん…」
そっとキスをした。触れるだけの、柔らかなキス。
滑らかな髪を撫で、頬を撫で、汗ばんだ首を撫で…。
「ダメ」
今度はゆかちゃんが、のっちを遮った。
「抜け駆けは、禁止だから」
そう言って苦笑するゆかちゃん。分かってる、そんな事は分かってる。二人が決めた事なんだから。
あ〜ちゃんの方を見ると、おかしな姿勢で幸せそうにスヤスヤ眠っていた。あ〜ちゃんの寝相の悪さは折り紙付きだ。何度も蹴られて目を覚ました事がある。
「…」
「…」
「寝よっか」
のっちの言葉に、ゆかちゃんは小さく笑って頷いた。
二人の手を繋いで、のっちは再び夢の世界に旅立つ。
だけど、まさかあの夢が…ね…。


◇2-10:End◇






最終更新:2008年11月24日 05:10