アットウィキロゴ
<side n>


あ〜ちゃんが帰って、
シャワーを浴びて
一息ついて
ベッドに転がって
窓から月を眺める。

−ほんと、今夜の月はあり得んくらいキレイだな・・

なのに、なんだか胸が締め付けられる。


てかほんと、長い一日だったなぁ・・

今日言われた
あ〜ちゃんのいくつもの言葉を思い出す。
その中でも

『ゆかちゃんは、ゆかちゃんで、あ〜ちゃんじゃないけぇ』

これは、響いた。
確かに、過去の嫌な思い出に
捕らわれすぎていたのかも。。。


目を閉じて、ゆかちゃんを想う。
心臓がドクドクと脈をうつ。
ぎゅっと締め付けられる。
ほら
いつもココロん中には、ゆかちゃんがいるんだ。


あ、思い出した。
なんで、今夜の月が
こんなにも胸をイタクするのか。

あの夜も、こんな月が空に浮かんでたんだ・・
そう、ゆかちゃんと初めて身体を重ねたあの夜も。。。


急にゆかちゃんが訪ねてきて
一体なんなんだろう?なんて考える間もなく
「のっち?ゆかのことどう思っとる?」
なんて、潤んだ瞳で見つめられたら
どうせ、ゆかちゃんには付き合っとる人がいるんだから
あ〜ちゃんのことで弱ってたから
とか悩んでたことなど、全部ぶっ飛んで
素直に、「好き」だと答えてしまった。


その後のことは、あまりに急展開で
正直、記憶は曖昧だ。
ただ
心臓がずっと、どきどきしてたこと
重ねた肌のあたたかさ
耳元で囁かれる甘い言葉に、
カラダもココロもとけていく感覚は
鮮明に覚えている。

それと
目が覚めた時に、腕の中のゆかちゃんが
泣いていたこと。

状況が飲み込めず、慌てて体を起こす。
「えっ!?どしたん?なんで泣いて・・・
 …のっち、やっぱ、やっちゃいけないこと、、しちゃった・・?」
「違う!そうじゃなくって・・」
ゆかちゃんも、ゆっくりと体を起こした。
「・・・でも」
うまく思考がまとまらなくて
俯いて泣いているゆかちゃんに
なんて言ったらいいのかわからず・・

二人の間に流れた、沈黙。
一瞬にも永遠にも思えた、その沈黙を破ったのは
ゆかちゃんだった。

「…のっち・・ごめん・・・
 ゆか・・・あの人とは・・・・・別れられん・・」
「…うん」
あぁ、ココロが張り裂けそうに痛い。
「…でも、、、」
「でも?」
「・・・・のっ、、、ち、とも、、、いっ、、しょ、に、、いたい」
消えてしまいそうな声だったけど、確かに聞こえた。

−のっちとも一緒にいたい−

俯いて、涙をこらえ、声を振り絞るように続ける。

「・・最低な、こと、言ってる、、て、わかって、、る。
 けど、、、のっち、への想いは、、嘘、、じゃない、の。
 ゆか、は、、のっち、、の、そばに、、いたい・・・」

あぁ、、ずるいよなぁ・・
言ってること、めちゃくちゃだよ?ゆかちゃん。。

けど・・・
もう引き返せないよ、のっちは。
ゆかちゃんの体温を知ってしまったから。
知らなかったころには、もう
戻れない。


そっと、指でゆかちゃんの涙を拭う。
やっと、顔をあげてくれたその瞳は、
潤んで真っ赤になっていたけど
ちゃんとのっちを捉えていた。

「ゆかちゃん?のっちのこと、好き?」
「うん、大好き。苦しいくらい・・」
「信じていいんだよね?」
こくりと頷くゆかちゃん。

今は、難しいことは考えないでおこう。
ゆかちゃんを信じよう。

ていうか、もう離れられん。
完全に落ちてしまったから。


ぎゅっと、ゆかちゃんを抱き寄せる。

「ゆかちゃん?」
「…うん」
「のっち、すっごいどきどきしとるの、わかる?」
「うん」
「こんなに、心臓を
 どきどきさせてくれるのも
 苦しくなるのも
 ぜんぶぜんぶ、ゆかちゃんなんだよ。
 ゆかちゃんだけ。
 ゆかちゃんのこと想うと
 確かに、心臓はここにあって
 誰よりも、ゆかちゃんのことが恋しいんだって
 教えてくれる。
 いつも、のっちのココにはゆかちゃんがいるんだ」
「うん」
「だから、ゆかちゃんのソコにも、
 隅っこのほうでもいいからさ、
 のっちのこと、おいといてくれたら嬉しいな」
「隅っこなんかじゃないよ・・
 ゆかのココロん中にも、ちゃんと
 いつものっちがいるよ・・
 …信じて−」


あぁ、このどきどきは
のっちのもの?
それとも
ゆかちゃんの、もの?


「信じるよ。
のっちは、もう、どうしようもないくらい
 ゆかちゃんのことが、好きだから」
「のっちぃ、、ごめんね・・」

あたしは、何も言わずに
ただゆかちゃんを抱きしめていた。

ゆかちゃんが泣き疲れて、再び眠りについた頃
部屋に月明かりが差し込んできた。
窓の外に目をやると
大きな満月がそこにあった。

キレイだなぁ・・・
−でも、今夜はそっとしといて
月の明かりですら、ココロに沁みて痛い。
悪いことは見逃せないよ、
と言われてるようで・・


だから、そっとカーテンを閉め
ゆかちゃんを起こさないようにもう一度抱きしめ
眠りについた。


強烈な朝の光で目が覚めた。
いつの間にか、眠ってしまっていたみたい。

てか、うわぁ・・
あの日の夢を見るなんて、初めてだ。
思い出すことだって、ほとんどなかった。

ココロの奥の奥に封印してたからなぁ・・

けど、ほんとに目が覚めたような気がする。


臆病になって、本心でゆかちゃんと向き合ってなかった。
このままずっと、こんな関係でいられるはずがない。
もちろん、手放す気なんてない。

怖い。
けど、伝えなきゃ。
きっと、後悔する。


ココロは決まった。






最終更新:2008年11月24日 05:25