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SIDEーA

儀式前日の夜。
ついにこの時が来た。
あ〜ちゃんの部屋には既にゆかちゃんが来ていた。

「いよいよなんよね」
「うん」
「あ〜ちゃん…後悔しとらん…?」
「え?」
「ゆかが逃げようって言ったから…無理してない?」
「今さら何言っとるん…ゆかちゃんに言われて自分の正直な気持ちに気付いたんよ?あ〜ちゃんは、ゆかちゃんものっちも忘れたくない。」
「そう…」

ゆかちゃんは少し安心した顔をして微笑んだ。

ねぇ。ゆかちゃん。
ゆかちゃんが不安に思っているのは、逃げると決めたあの夜にみた夢じゃないの?ゆかちゃんは口には出さんけど、あ〜ちゃん何となくわかるんよ。
その悪い夢が現実にならんように願いを込めて、あ〜ちゃんはゆかちゃんの手を握りしめた。


SIDE-N

「大本彩乃。姫の護衛を承りました。」
「ん。通れ。」
「はい!」

うっへー。面倒じゃ…。あ〜ちゃんの部屋に行くまで何人とこのやり取りをしなくちゃいけないんじゃろ。
夜の集会が終わって、あ〜ちゃんの部屋に行こうと思ったはいいが、こんな面倒だとは。あ〜ちゃんとか、ゆかちゃんとか一緒だとスイスイ行けたのに…。

あーやっと着いた。ノックせんとね。

「あのぉ、のっちなんじゃけど…」
「のっち!!入って入って!」

のっちより先にゆかちゃんは来ていた。あ〜ちゃんもゆかちゃんも真っ黒の正装を着ている。のっちも黒い兵服を着て来た。

「そういえばのっち、あ〜ちゃんの護衛兵に選ばれたんじゃろ!」
「凄い出世じゃね!」

ゆかちゃんが手を叩いて喜んでる。…あれ?

「はいはいはい!質問なんですけど、のっちを護衛兵に選ばせたのは二人が仕組んだんじゃないの?」
「ゆかは違うよ。あ〜ちゃんは?」
「あ〜ちゃんも違う」
「ま、まじ?」
「でも良かったね!普段の頑張りが認められたんよ!!」
「え?うーん…そうかなぁ」

すっかり二人のどっちかが仕組んだと思ってたんだけど、違ったんだ…。なんか凄く違和感。なんでのっちが選ばれたんだろ。本当に認められたから?のっちの運?それとも他の誰かが仕組んだ?
まぁいいや。都合がいいことは確かだし。


SIDE-K

のっちがやって来たので、あ〜ちゃんの部屋で三人で久しぶりにゆったり喋りながら、皆が寝静まる時間まで待った。
明日の儀式のために、兵士は一旦総引き上げということで今夜は門番もいなくなるらしい。部屋の窓から門番がいなくなったことを確認して、ついに城を出発することにした。

「なんか緊張する…」
「だ、大丈夫じゃ…たぶん」
「静か過ぎて気味悪いね」
暗闇の中では真っ黒い服を着たゆか達三人の姿はまったくと言って良い程、目立たなかった。無事に城から最も近い国境にある大きな門の前にたどり着く。

「やっぱり閉まっとるよね…どうしよう」
「はーい!ここでのっちの出番!!」

のっちは自分のズボンのポケットをガサゴソ漁って、銀色の鍵を取り出した。

「じゃじゃーん。この門の鍵!」
「のっち、あんたどうやってこの鍵…!?」
「ふっふっふ…鍵室からこの門の鍵を盗んで合い鍵作ったんよー、やるじゃろ?」
「凄い、のっち!あ〜ちゃん見直したわ」
「あ、やっぱり?もっと褒めてよぉ」
「のっち…後で幾らでも褒めてあげるけぇ、さっさとこの門の鍵開けて」
「…わかったよ、ゆかちゃん。今開けるから。はぁ…盗むの苦労したのになぁ……よいしょっと、開いたよ。」
のっち、ごめんね。でもゆか達、急がないと駄目でしょ。この門を越えた先にはきっとゆか達の未来が待ってると思うから。三人の力を合わせて重い扉を今、開けよう。

「「「いっせーのーで」」」



力を合わせて開けた門の先には。



「ヤスタカ…!?」


ゆか達の未来は無くて。

「な…なんで…」

あ〜ちゃんの呟きだけが虚しく響いた。


TO BE CONTINUED...






最終更新:2008年11月24日 05:28