アットウィキロゴ
SIDE-K

「あ〜ちゃん、危ないっ!!」

のっちがあ〜ちゃんを守ろうと前に出た瞬間、ゆかのあの夢の風景と繋がった。

「のっち、駄目じゃ!」

遅かった。ゆかの声は銃声に掻き消される。全てがスローモーションになる。
あ〜ちゃんが倒れているのっちの側に近寄る。

「のっち…」

「ねぇ…のっち…」

「のっちってば!…冗談じゃろ?」

「のっ…ち…」

あ〜ちゃんがのっちを抱き寄せて、鳴咽を漏らして泣き始めた。
ゆかは身体が何かに縛られているかのように動けない。夢とまったく一緒だ。
変に冷静になってしまう。

「うっ…うぇ…のっち…やだよぉ」

「こ…こんなの…やだっ…こんなことなら…うっ…全部…全部忘れた方がマシじゃ!」


「オトナになれば…全部忘れられるぞ。」
「うっ…ヤスタカ…何で!?何でこんなこと…」
「…忘れたいんじゃないのか?」

まだ声が出ない。身体も動かない。ヤスタカを今すぐにでもぶっ飛ばしてやりたいのに。いや、そんなのじゃ足りない。


「忘れたければ唄うんだ。あの歌は契約の歌。今日という日にだけ力を発する契約の歌を。」

ヤスタカのその言葉を聞いて、あ〜ちゃんは大きな深呼吸をした。そして抱いていたのっちをそっと下ろして、ゆかの方を見た。もう泣いてはいなかった。

「ごめんゆかちゃん。一緒に逃げようって言ってくれたのに…。でもこんな辛いこと…覚えておきたくないんよ。あ〜ちゃんだけ忘れるなんて、凄く自分勝手だってわかっとる。あ〜ちゃん、やっぱりコドモじゃね。でも堪えれないんよ…!」

あ〜ちゃんはヤスタカに近づく。

「ヤスタカ…あ〜ちゃん、唄う。」
「わかった。」

ヤスタカの返事と共に、国中に設置されたスピーカーから音楽が流れ出す。
ゆかの身体は呪縛が解けたかのように動くようになった。のっちの所へ行き、あ〜ちゃんがしていたようにに抱きしめる。

あ〜ちゃんは目を閉じ、もう一度大きな深呼吸をした。

それからは覚えていない。
ただ心地よい音楽に身を包まれて、朝日がちょうどあ〜ちゃんを照らし出して、綺麗だなって思ったことしか。

のっち。
のっちにもこんな素敵なあ〜ちゃんを見せてあげたかったよ。

ゆかの頬に温かい何かが伝っていくのを感じた。

TO BE CONTINUED...






最終更新:2008年11月29日 01:31