今日は久しぶりのオフの日曜日。
朝日が差し込むベットの中、のっちの隣で目が覚める。
なんかむにゃむにゃ言ってるのっちのおでこにキスして、ベットを抜け出る。
昨日の夜は遅かったから…、きっと、のっちは当分起きてこない。
相変わらず空っぽの冷蔵庫にため息をついて、コンビニまで向かう。
その道すがらに、朝の約束事。
あ〜ちゃんにおはようのメールを送信する。
(おはよ、ゆかのあ〜ちゃん。今日もいい天気だね!絶好のデート日和だよ☆)
レジで会計を済ませる頃、メールの返事が届いた。
(おはよう。今日は午後の待ち合わせだよね。…あ、さては今のっちのところにいるな?)
おぉ、さすがに鋭い。ドキドキしながら急いで返信する。
(そんなわけないじゃろ(><;))
(まぁ、いいけどっ。じゃぁ、2時にいつものところで待ってるから。遅れないで来てね!)
メールに夢中になっているうちに、のっちの部屋の前まで来ていた。
部屋に入って、食事の支度をはじめる。…案の定、のっちはまだ寝ている。
「のっちぃー…、そろそろ起きてくれんかな…。」
「んん〜、ゅか、ちゃん、むにゃぁ…。」
「起きないと、もうチューせんよ。」
「…なっ、なんですとぉっ!?」
のっちが飛び起きた。すごいよ、チューの効果は絶大だ…。
「のっち、ちゃんと起きたから、ちゅ〜…」
「はいはい。」
おはようのチュー。のっちは朝のキスが好きだ。好きなのはいいけど、なかなか離してくれないから困る。
なんでも夢じゃないかと思っちゃうらしくて、何度も確かめないと気が済まないらしい。
…まぁ、かわいいから、いいけど。
「…今日の朝ごはんは?何か作ってくれたの?」
「ちゃんと作ったよ。じゃーん、卵かけごはーん!」
「…料理なのか、それは。」
「違うの、具も入っとるの!ほらほらっ、ねっ?」
のっちが寝ぼけ眼でご飯を食べている。
「のっち、おべんとついとる。」
「ん?とって?」
「ほんまに、もう…。手がかかるんだから…。」
のっちが嬉しそうにふにゃふにゃ笑ってる。
食事が終わると、早速ゲームを始めた。ほんとうに、まるで子供だ。
「せっかくのオフなのに、ゲーム以外にすることないの?」
「じゃ、DVD見る?あ、マンガ読む?」
「全部室内じゃろ!」
「だって…、おうち大好きなんだもん…。」
ひきこもりのっちは放っておいて、食器を洗って身支度を整える。
…のっちが、メイクをするゆかの手元をじっと見つめている。
口紅を塗ろうとしたとき、腕を掴まれた。
「待って…。もっかいチューしたいの。」
「…うん、いいよ。」
ゆかがのっちの前で口紅を塗るとき、それはもう帰るよって合図。
長くて甘酸っぱいキスを終えて、のっちを見つめると、瞳がうるんでいた。
ぎゅっと強く抱きしめて、赤くなっている耳元にそっと囁く。
「…のっち、また来るから。ね?」
「ん…、待ってる…。」
後ろ髪引かれながらのっちの家を出る。…と、急いで待ち合わせの場所に向かう。
よかった、ぎりぎりセーフ!遅刻すると…、またあ〜ちゃんに怒られるっ!!
「ゆかちゃん、お待たせ!」
「あ〜ちゃん!ぜ、全っ然待ってないよ。あ、それ、新しいワンピース?よく似合っとるね。」
「ありがとう。…今日はデートだから、気合い入れて来ちゃった。」
「…ゆかのあ〜ちゃんは、いつでもかわいいけど、今日は特にかわいい。」
あ〜ちゃんが、ポッと赤くなって、おずおずと手をさしだした。
小さなあ〜ちゃんの手をぎゅっと握って、ショッピングに向かう。
髪にはいつもと同じ、ゆかの作ったお花の髪飾り。
…そうだ、そろそろ季節も変わるし、新しいの作ってあげよっかな。
「あ〜ちゃんの花飾り、新しいの作るから、何色がいいか教えて?」
「ピンク!」
「えーっと、ピンク以外で…」
「じゃぁ、桃色?」
「それ、おんなじだから…。」
「えー?んっとね、んっとね…花柄?」
「色じゃないし!もうっ、あ〜ちゃん、ゆかのこと、からかっとるの?」
「へへっ、ばれた?」
「こらっ。」
「…あ〜ちゃんは、ゆかちゃんが作ってくれるなら何色でもいい。何でも、嬉しいの。」
「あ〜ちゃん…。」
人ごみの影で、こっそり唇を合わせた。
町に溢れる、新作のワンピース、新作のブーツ、新譜のCD。
歩き疲れると、マッサージに行って、帰りにネイルサロンにもよった。
久しぶりのオフだから、
あ〜ちゃんといろんなところに行って、たくさんおしゃべりして。
だって、ゆかは、あ〜ちゃんと一緒にいると、とても楽しい。。。
それから、…試着室や、路地裏で交わした、甘い甘いキス。
最近はたまに、あ〜ちゃんの方からキスしてくれる。
そのたびに赤くなっているあ〜ちゃんを見て、ゆかも赤くなっちゃって、
二人でおでこを合わせて照れ笑いする。
「…ゆかの、あ〜ちゃん…。」
もう一度、今度はゆかの方から唇を合わせる。
あ〜ちゃんから漂う甘い香りにクラクラして、もっともっと欲しくなる…。
「…ぁ、もうこんな時間。あ〜ちゃん、そろそろ帰らないと。」
「もっと、いっぱい一緒にいたいのに…。」
「うん、あ〜ちゃんも…。」
手をぎゅっと繋ぐ。
「…ゆかちゃん、あのね。」
「ん?」
「来週、あ〜ちゃん家、みんなで家族旅行なんよ。」
「そうなんだ、いいね!」
「でも、あ〜ちゃんは行けないの、仕事あるし。」
「そっか、残念じゃね…。え、…っということは…、来週はあ〜ちゃんひとりなの?」
「そう。だから、…ゆかちゃん、泊まりにくる?」
「行く、絶対行く!」
「のっちと3人でパジャマパーティーとかどうかなって思うんだけど、」
「えぇっ?」
「ん?どうかした?」
「…ゆか、…ゆかは、あ〜ちゃんとふたりきりが、いい。」
「うふふ、そう言うと思ってた!…じゃ、ふたりだけの約束ね?」
ちょっと長めのキスをする。いつもの癖で、首の後ろにもキスをした。
「もぅ、、、髪、アップにできなくなっちゃうのに…。」
と言いながらも、あ〜ちゃんはちょっぴり嬉しそうだ。
あ〜ちゃんを家まで送ると、ゆかが家につくまでずっとメールのやり取りをしていた。
来週は、あ〜ちゃん家にお泊まりだ。どうしよう、興奮して眠れないかも。
そうだ、お土産はフルーツにしよう。あ〜ちゃん、きっと喜ぶよね…。
…と、ふと思い立って、のっちにもメールをしてみた。
(のっち、ちゃんとご飯食べた?お風呂入った?明日、遅刻したらいけんよ。)
うーん、何か足りないかも…って思って、最後に一文付け加えてみた。
( ゆかのこと、好き? )
返事は期待していない。メール返信どころか、電話にすら出ないのっちだ。
シャワーを浴びた後、眠りにつくまで、あ〜ちゃんにメールを送った。
(あ〜ちゃん、起きとる?今日、ほんとにほんとに楽しかったよ。)
(起きとるよ。ゆかちゃん。あ〜ちゃんも、ほんとに楽しかったよ。)
(今日、聞き忘れちゃった。…ねぇ、あ〜ちゃん。ゆかのこと、どう思っとる?)
ドキドキしながら返事を待つ。と、すぐ返信が帰ってきた。
(あ〜ちゃんは、ゆかちゃんが、大好き!)
…胸がキュンとなる。
あ〜ちゃんに好きって言われると、
…って、これはメールだけど、———本当に、とっても幸せな気持ちになる。。。
(ゆかもだよ! ゆかのあ〜ちゃん、おやすみなさい。)
(あ〜ちゃんのゆかちゃん、おやすみなさい。)
満たされた気分で眠りについた。深い眠りに落ちかかった時、携帯がブルブル震えた。
誰だ、こんな時間に!と思って携帯を開くと、…なんとのっちからメールがきていた。
珍しい。
明日、っていうか今日は雨に違いない。いったいなんだろう。
(返信:ご飯は食べた。お風呂も入った。明日は遅刻しません。)
…すごく、シンプルだ。まるで男の子だ。しかも最後の質問に答えてないし!
まぁいい。返信するようになっただけでも進歩だ。今日のところは、これでよしとしよう。
と、もう一件メールが来た。またのっちだった。明日はきっと。。。雪だ。
「無題」
…ん?
(ゆかちゃんのことは、 )
———え、何? 何コレ…。
めっちゃ改行されてる。
カーソルを下に送れども送れども、ひたすら空白が続いている。
のっち、いやがらせか。
あ〜ちゃんとデートに行っちゃったのが、そんなに面白くなかったか。
だって、ゆかは、あ〜ちゃんのだもーん。
…———でも、延々続く空白を見ていると、だんだん申し訳なくなってきた。
のっち、さみしかったのかな。。。今度は、卵かけご飯だけじゃなくて、もう一品位作ってあげようかな。
…けれど。
メール送信できる文面のギリギリ限界のところに、…たったふた文字、記されてた。
( す き。 )
のっちが、返信してきた…。それに、「 す き。 」って、書かれていた…。
…のっちが、…ゆかのこと、すきって…。
———嬉しくて…、何度も、何度も、読み返した。
ふたつのメールに保存をかけて、ベランダに出た。
満天の星空の下で、携帯をぎゅっと握りしめて目を閉じる。
心をこめて、願いをそっと送信する。。。。
…ゆかのかわいいふたりの天使。
どうかどうかずーっとずーっと、ゆかのそばにいてくれますように…。
…お星さま、お願いね…。
LOVE MAIL おしまい
最終更新:2008年12月06日 02:14