今日も冷たいベッドの上でのっちに抱かれる。
熱い唇も腕も、今だけはゆかのもの。
「は、ぁっ…は、ふ…」
優しく触れるくせに意地悪な指先も、さらさらと流れる重たい髪の毛も、ゆかを真っ直ぐ見つめる瞳も、今だけゆかのもの。
明日の朝には、あ〜ちゃんのもの。
分かってる。分かってた。
こんなのは自己満足にしか過ぎない事も、のっちを困らせる我が儘だって事も、いつかは二人を失ってしまう行為だって事も。
「あ、っ…!?やっ、のっ、ちぃ…」
はぁ、と息をつくのっちに縋る。
まるで駄々をこねる子供みたいにしがみつく。
でも、のっちの掌はそれを受け入れてはくれない。
だって、この腕と体はあ〜ちゃんの為のもの。
「は…ぁ、」
滲む視界の端、写真立てに飾られたのは、幼い頃にゆかが撮った写真。
セルフタイマー機能の付いたカメラを使うのが楽しくて、ひたすら三人の写真を撮ってばかりいた。
「っ…の、っちぃ」
ずっと三人でいた。
これからもいられると信じてた。
でも、もう。戻れないんだよね。
多分分かってた。
だから多分、あんなに三人の思い出を残そうとしたんだ。
「…じゃあ、ね」
「うん…」
いつも決まって、ゆかはベッドに潜り込んだままのっちに背を向ける。
背中越しに聞こえる、服を身に着ける音をただ静かに聞くゆかは、いつか見た不倫ドラマのよう。
(たまには、おやすみだとか言ってくれたっていいのに…)
そっと瞼を閉じて、ドアの閉まる音を聞いた。
また明日、いつもの三人に戻るために。
END
最終更新:2008年12月15日 13:38