忙しく過ぎていく毎日の中、いつの間にか時は流れていくんだね。
気がつけば今日はあたしの誕生日。
あたしが新しく生まれ変わる日。
そんな特別な日にきみといれて幸せなんだけどでもそれはかりそめの幸せでしかない事は知ってる。
N『はい、誕生日プレゼント。』
のっちが差し出した小さな箱。
K『うわぁ、ありがとう。開けていい?』
素直に嬉しくて自然と顔がほころぶ。
N『うん、開けてみて。』
のっちの言葉が終わるか終わらないかのタイミングでその箱のリボンを解き終わる。
なんだろう?
胸の高鳴りを抑える事も忘れ夢中でその箱を開く。
中にあったのはキラキラしてる指輪。
K『えっ?これって……。』
どこかで見た事あるそのデザインは明らかにのっちの趣味じゃない。
N『うん、前これ見て欲しがってたでしょ?』
K『覚えててくれたんだね、ありがとう。』
嬉しすぎて何かが込み上げてくる。
あたしが生まれ変わる日。
あたし達の関係も生まれ変われるのかな。
N『あらためて、誕生日おめでとう。』
優しい笑顔であたしを見つめてくれるのっちに、
K『あ…りがとう…。』
感動しすぎて言葉が素直に出て来ない。
いまさらながらのっちへの想いを実感する。
嬉しすぎて思わずのっちに抱き着く子供みたいなあたし。
N『……そんなに喜んで貰えてのっちも嬉しいよ。』
そんなあたしをなだめるように優しく抱きしめ返してくれるのっち。
これは夢?それとも現実?
望んでいたはずの唐突な現実に戸惑い足元がフワフワする。
N『ゆかちゃん、大切な話があるんだ。』
そんな浮ついたあたしを現実へと引き戻すのっち。
かしこまったその固い声色があたしに少しの冷静さを与えてくれる。
K『ん?』
のっちから体をはなしその大きな目を見つめる。
N『あのさ………。』
目をあたしから反らし言葉を探してるのっちは困った顔をしていた。
N『あのほら…、えっと。』
沈黙だけは避けようとしているのか言葉にならない言葉でその場を繋いでいる。
K『なんなん?』
笑いながら言ってはみたものの相変わらずのっちは言葉を選んでずっと同じように唸ってる。
K『もう、なんなんよっ。はっきり言わんとわからんよ。』
N『……ゆかちゃん。』
意を決したのっちがあたしを見つめた。
ずっとシミュレーションして来た今日。
セリフも決まってるはずだった。
でもゆかちゃんの喜びが予想外で頭が真っ白になる。
ちゃんと言わなきゃっ。
そう思うとますます何も言えなくなる。
だってもしかしたらって、頭をよぎるから。
N『ゆかちゃん。』
K『はい。』
N『………もう今までみたいな事は止めにしよう。』
やっとの事で搾り出した言葉にゆかちゃんの顔色は変わらずただ笑顔が消えた。
N『また前みたいな正常な関係に戻ろう。ごめんね、のっちはゆかちゃんに付き合ってずっとこのままではいられないから。』
言いながら涙が出そうになる。
K『……うんわかった。』
相変わらずゆかちゃんの顔色は変わらない。
ほらね、やっぱり彼女にとってはなんて事なかったんだよ。
私はこんなにも胸が張り裂けそうで、もう後悔してるって言うのに。
きみはただ無言で私を見つめてる。
(続く)
最終更新:2008年12月15日 13:45