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今日くらいは、待たせちゃいかん。
てか、先に行って驚かせよう。
なんて思っていたのに・・

はやっ!
一体、いつから待ってたんよ?

待ち合わせ場所には、もうすでにあ〜ちゃんの姿。
まだ、約束の時間まで半時間はあるというのに・・


『式の前日、二人で会えないかな?』

あ〜ちゃんから、メールがきたのは数日前。
真意が汲み取れなくて、少々、戸惑った。
けど、断る理由なんて、もちろん、ない。

だから、こうして会うことになったわけだ。


「お待たせ!」
そう声をかけると
「うわっ、のっち、なんでこんな早いん?」
心底驚いてるようなあ〜ちゃんの表情。
そりゃ、びっくりするだろうけど・・
「てか、あ〜ちゃんこそ、どんなけ早いんよ」
「あ〜ちゃんは、思っとったより用が早く終わったけぇ。
 時間つぶすのもあれだから、もう待っとった」
「あぁ、そうなんだ」
「それよか、のっちこそどうしたん?」
「えっ?あぁ、、今日くらいは、
あ〜ちゃんのこと待ってみようかなぁって」
「なんなん、それ〜」
そう言って、あ〜ちゃんはやわらかく笑った。

出逢ったときから変わらない。
それは、のっちが大好きな笑顔。
何度、その笑顔に救われただろうか?

大好きなあなたは、
明日、結婚する。

    • なんだか、実感がわかない、、、な。


「んで、どこ行くの?」

「・・まぁ、適当にぶらぶら」


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心の準備をする暇もなくのっちが現れた。
なんで、こんなときに早く来るかなぁ・・

「どこ行くの?」
て聞かれたけど、なんも考えてなかったので
とりあえず、ぶらぶらすることにした。



しばらくするとのっちが
「未来のダンナさんは、今日なんしてんの?」
て聞いてきた。
「あぁ、、独身最後の日じゃから言うて
 お友達と遊びに行っとるはず」
「ハメはずしてんじゃないの?w」
「そう言うとったけど、そんなことできん人じゃ」
「はは、そじゃろうね」

しばしの沈黙

「…あ〜ちゃんは?」
「えっ?」
「あ〜ちゃんは、、、今日、
のっちと過ごすので良かった、の?」

困ったな。
いつだって、のっちはストレート、だ。

「うん、良かったんよ」

としか、答えられなかった。

「そっか」
のっちも、ただそれだけしか答えなかった。


うん、独身最後の今日。
なにをしよう?て考えた時
思い浮かんだのは、のっちのことだった。

なにをしたいと思ったわけじゃない。

ただ、一緒に過ごしたいと思った。


なにをするわけでもなく
街をぶらぶらする。
他愛のない会話を紡いでいく。。。



けど、こうして
ゆくっりとやわらかな時間を共有していて
気付いた。

なぜ、のっちと過ごしたかったのか。


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よくよく考えると
あ〜ちゃんと二人で出かけるなんて
いつぶりなんじゃろ?
    • 思い出せないなぁ。

なんとなく、ゆかちゃんに遠慮があった
てのもあるけど・・
別に、友達同士が出かけるくらい
いいはずなのに、ね。。。


なにをするでもなく
ただ、街をぶらぶら。


お茶にしよっか?

そう言って入った、お店も
お客さんがいっぱいで、空いてる席を見つけられず・・

近くに公園があったのを思い出して
コーヒーをテイクアウトすることにした。


銀杏並木の通り。
ベンチに腰をかける。

冬の足音はもう、そこまで近づいてきているようで
銀杏の葉は、金色に染まっている。
昼下がりの、やわらかな光に包まれて、
キラキラ輝くその光景は、とてもキレイ、だ。

日に日に、肌寒くなっていく日々。
あったかいコーヒーが、ココロまであったかくしてくれるようで・・


休日だからだろうか。
たくさんの人たちが、目の前を通り過ぎていく。

けど
なんだか、のっちとあ〜ちゃんだけ
別世界にいる、
そんな不思議な感覚に襲われていた。

ふと、あ〜ちゃんに視線を移す。

コーヒーカップを口元に添えながら、、
けれど、コーヒーを飲むでもなく
その瞳は、斜め下
なにを見つめるでもなく、漂っていた。

どしたんだろ?


気になって、声をかけようと思ったとき———


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コーヒー片手に、ベンチに座る。

きっと、話をするのなら、今、だ。
この時を逃すと、もう二度と話せない。
そんな気がした。


「ねぇ、、、のっち?」
「ん?」
「あ〜ちゃん、、、このまま結婚してもいいんじゃろか?」
「はっ?」
「・・・」
「…なんか、不安なこと、、あるん?」

ううん、、、そうじゃない。じゃなくて・・・

「そういうわけじゃなくて、、、あ〜ちゃん、、、だけ
 結婚なんてしちゃって、、いいんじゃろか?って・・」
「・・ごめん、、よくわかんないんだけど…」
「・・のっちたち、を、、置き去りに、して、、あ〜ちゃんだけ・・」


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「あ〜ちゃん、、、このまま結婚してもいいんじゃろか?」

一瞬、なにを言ってるのか理解できなかった。
マリッジブルーってやつですか?
て、式は明日じゃん。

でも、、、
「・・のっちたち、を、、置き去りに、して、、あ〜ちゃんだけ・・」

あぁ、、なんとなくわかった、気がする。


「のっちたちは、“結婚”できんから、、遠慮してるん?」

あ〜ちゃんは黙り込んでしまった。

「あぁ、もう、一体なに言い出しよるんw
 そんなこと気にしとったん?」
「だって・・」
「だってもなにも、、のっちたちは今のままで
めっちゃ幸せなんじゃよ?」
「・・・」
「そう見えん?」
「そんなことない!けど、、、」
「けどじゃない!それが、全て、じゃ!!」


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「それが、全てじゃ!」
そう言いきったのっちを見て
一気に、自分がバカらしくなった。

ほんと、そじゃね。
のっちたちは、幸せ、だ。
そんなのわかりきったこと。
二人のように、幸せになりたい。
そう思って、やっとここまで辿りついたんだ。

「はは、そりゃそうじゃw
 バカなこといってごめん」
「いやいや、別にいいけどw」

あぁ、ほんと
この人は、なんてまっすぐなんじゃろ。


「のっち?」
「今度はなんなん?」

「大好き、じゃよ」

口を出たのは、とてもシンプルで
ずっと伝えたかった本音。

のっちは、マメ鉄砲をくらったように
大きな瞳をひときわパチクリさせたけれど、
すぐにやわらかな優しい瞳に戻り

「うん、のっちも、大好きだよ」

そう言ってくれた。



あの暑い暑い夏の日から
ココロの奥にしまいこんでしまっていたキモチ。
それが、ようやく昇華されていくようだった。

あの日、のっちのキモチに応えられなった自分。

けれども、ずっと大切な存在だった。
これからも、きっと、、、


あの日以来、触れようとしなかった。
気付かないフリしてた。
大切な想いのカケラを、あの教室の隅に
置きっぱなしにしてた。

それをようやく取り戻し、
やっと、ほんとに歩き出せる。

そんな気がした。

そう

ちゃんと、“好き”だってことを
伝えたかったんだ。

だから、今日

のっちと過ごしたいと思ったんだ。


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「大好き、じゃよ」

一瞬、頭ん中が真っ白になった。

思いがけないコトバ。

けど、
あ〜ちゃんの真剣な表情
やさしい眼差しに
なにを言いたいのか
わかった気がした。

だから・・
「うん、のっちも、大好きだよ」

そう素直に応えることができた。


あの日から、およそ10年。
あえて触れてこなかった、核心部分。

互いにきっと、同じキモチだったんだ。


その想いが、
コトバにされることで
すっと、自分の中に、おさまっていくのがわかった。


「ありがとう」
あ〜ちゃんはそ言って、はにかんだ。


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「ありがとう」
それ以上の、コトバはみつからなかった。

ずっとずっと
傍で、支えていてくれた。
大切にしてくれた。

「のっちこそ、ありがとうだよ。
 いくら言っても、言い足りないくらい」

そう言った、あなたの笑顔は最高に輝いていた。
その笑顔が、“答え”の全てのように思えた。



「じゃ、そろそろ行くね」
そう言って、立ち上がる。
「うん。また、明日」
そして
「世界一、幸せになってね」
そう言って、すっと手を差しのべてくれた。

その手をぎゅっと握り締めて
「もちろん。のっちたちには、負けんくらい幸せになるけぇ」
そう答えると
「あぁ、、それは難しいかもしれんね〜
 のっちたちは、宇宙一幸せじゃから、ねw」
なんて、言いよった。

「ほんま、いつまで経っても、バカっぷるじゃのぉ」
「でしょ?」

二人で、けらけらと笑いあう。


ほんま、バカっぷる、じゃ。


でも、ほんとにずっと羨ましかったんだよ?

どんなに時間が過ぎても
変わらず想いあってる二人、が。


絶対に、二人のように、
幸せになるんじゃから!


見とれよ、のっち!


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あ〜ちゃんと別れて
家路に着く。

なんだか、不思議な気分のままだった。

でも
ココロん中で、ひと段落ついた、
そんな気がした。


部屋に到着。
ドアを開けようと、鍵を差し込むと−

あれ?開いてる?

そっと、ドアを開け
玄関を見ると、ゆかちゃんの靴が揃えられていた。


あ、そっか。
明日の会場。のっちとこからのほうが近いから
今日は、泊まりにくるんだった。

「ただいまー
 てか、ゆかちゃん、もう来てるんだ?」
そう言うと部屋の方から、

「うん、ごめん。勝手にあがちゃった」

リビングにゆかちゃんの姿。
「別に、それはいいんだけど」
「一応、メールは入れたんじゃけどね?」
「あ、、そうなんじゃ、気がつかんかった」
「だと思ったw」

いつもと変わらない、最高の笑顔に、一気に
現実に引き戻されていくような気がした。

「おかえりなさい」
「あ、ただいま」
「めずらしく、出かけとったんじゃね」
「うん、、、ちょっと、ね」
「そっか」


ゆかちゃんと、視線がぶつかる。
−どうしたの?
そう言いたそうな、彼女を
ぐっと引き寄せ、抱き締める。


あぁ、、、やっぱ
のっちの、帰るべきことは、
ここ、だ。この人、のとこなんだ。
ほんと、何年経っても、愛しくて愛しくて仕方がない。

「…なんか、、、あった?」
「べつにぃ・・・」
「・・・とうとう明日、だね」
「うん…」
「さみしい?」
「・・ゆかちゃん、、、は?」
「・・正直、、、あんま、実感わかないや」
「うん、のっちも・・」

明日、また
新しい、節目となるだろう。。


「…ゆかちゃん?」
「ん?なに?」
「・・やっぱ、いいや」
「なんなんよぉ!めっちゃ気になるじゃん!w」
「あぁ、、うんwまた、明日、話す」
「・・・明日?」
「うん、明日」
「…うん、、わかった」


ゆかちゃん。

のっちたちも、新たな一歩、を。





最終更新:2008年12月21日 04:17