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  • Side N-


優しいキスをしてくれたきみは初めて見る顔をしてた。
冷たくてでも哀しそうな瞳で私を見てる。

どうしてそんな瞳をしてるの?

その顔があまりに綺麗で儚くて私は見取れてしまっていた。

抱きしめてあげたい。
でもこの縛られた両手じゃそれも叶わなくて。

気付けばシャツの中に滑り込んでくる彼女の大きな手に体が強張っていた。
N『ちょっ、止めてっ。』
K『大丈夫よ、気持ち良くしてあげるから。』
冷たい笑いのまま彼女の瞳だけが哀しく光ってる。

彼女の本音がわからない…。
怖くて私は拒絶を選ぶ。

N『や、やだってばっ!』
いつの間にか縛られた両手は頭上で彼女の片手に自由を奪われている。
本気で抵抗すればきっと跳ね飛ばす事も出来る。

でも……、彼女の瞳の色が気になって力が入らない。

対した抵抗を見せない私に、ためらいなく行為を進めるゆかちゃん。
何度も感じて来た指先も今はただの冷たい感触しかなくて、どんどん心が冷めて行く。

悲しくて哀しくて私は涙を溜めながら彼女を見つめた。
K『……泣いても止めんよ。』
彼女の指が迷いなく下っていく。
N『やっ、やだっっ!お願いっ止めてっ!!』
こんなのヤだよ。
貴女には心から愛されたい。
だからこんな形だけの行為それがいやで私は終わりを選んだのに…。


  • Side K-


より一層抵抗を見せるのっち。
苛立つ気持ちをぶつけるように激しく彼女の体にふれる。

怯えた瞳であたしを見上げるのっちを見なかった事にして行為に及ぶ。
次にどうされるかわかっている彼女の期待通り下着を剥ぎ取り、
固く閉じたその両足を無理矢理こじ開けあらわになったそこに指をあてがう。

N『お願いっ!止めっあっっ!』
濡れてもないそこに指をねじ込み彼女の懇願を踏みにじる。

K『……痛い?』
N『……っ。』
眉間にしわをよせ痛みに耐えている彼女に喜びを感じるサディスティックなあたし。

K『……じゃあ感じて濡らしちゃえばぁ??』
クスクス笑いながら冷たく吐き出す言葉に自分でも驚くほど胸が高鳴る。
K『……知ってる?女の人はね、レイプされても濡れるんだって。』
一瞬彼女がこちらを見た。
その大きな瞳には驚きと涙が溢れている。

K『自分の体を裂傷から守るために……。だから大丈夫よ、ほらだって奥の方濡れて来てるし。』
N『!!も…ぅやめっ。』
痛みと屈辱で声にならない彼女の最奥まで容赦なく指を沈める。
N『ゆ、か…ちゃんっ。』

お願いだから名前を呼ばないで。
こんなひどいあたしはあなたに呼んで貰える存在なんかじゃないよ……。

胸に込み上げる悲しみで鼻がツンと痛くなる。
あたしに犯されながらものっちは依然白く綺麗で…。

そんな彼女を感じるたびあたしの黒さが際立ってより一層惨めになる。

あたしなんかじゃあなたを支配出来ない事実があたしを絶望へと突き落とす。


  • Side N-


痛みで意識が朦朧とする。
N『ゆ、か…ちゃんっ。』

口に出し抵抗を試みるも彼女の動きは止まらない。

なんでこんな事するのかわからない。
なんでっ!?なんでよっ!?

頭の中はそれしかなく、悔しくも悲しくもなかった。
ただ本当のきみを知りたかった。



ポタッ。

何かが上から落ちて来た気がして痛みにたえながら上をむく。

!!

ゆかちゃんが泣いてるっ。
N『えっ…?!』

彼女は私の両手を抑えるのを止め慌てて涙を拭った。
自由になった手で彼女を突き飛ばす事も出来た。

でも私はしなかった。

考えるより先に彼女の頭を両手にくぐらせ強く抱き寄せていた。
K『の、のっちっ?!』
N『……ごめんね。』

自分でも何故そう言ったのかわからない。
でも多分、私のせいで泣いてる。
私が理由で彼女は苦しんでる、そんな気がしただけ。

K『は?!なんでひどい事されてるあんたがごめんなんて言うんよっ。』
N『なんとなく…?』
このシチュエーションに似つかわしくないやり取りに心が少し緩む。

K『っ、離してっ。』
N『やだ。ゆかちゃんが泣き止むまでは離さんよ。』
K『何それっ意味わからんっ。……なんでそんなに優しいんよ…。嫌いになってよっ!』

腕の中の彼女の力が抜けて行くのがわかった。


私の中で静かに涙を流す彼女が愛しくて仕方なかった。
私は優しくなんかない。
ただ、いくらひどく傷付けられようとも私は彼女を嫌いにはなれないだけ。


K『…ごめん。本当はこんな事したかった訳じゃないのに。』
言いながら少し体を起こし涙に濡れた眼で私に微笑む。

その微笑みは聖母のように美しく私を引き付ける。

K『ごめんなんて言っても許されない事したのはわかっとる。』
私の腕から抜け出しネクタイを解く。

K『だから嫌いになって…?』

縛られていた手首の痕に気付き顔を少し歪ませた
K『うぁ…。ごめんっごめんなさいっ。』
見る見るうちに涙が溢れ零れ落ちていく。
少し落ち着いていたのにまた激しく泣き始めるゆかちゃん。

N『……大好き。』
K『?』
小さく呟いた言葉はまだ彼女に届かない。

N『…嫌いになんてなれんよっ。……こんなに好きなのにっ。』

叫ぶように吐き出し彼女に抱き着く。
K『えっ?』

N『ゆかちゃんが大好きっ。ずっと好きで仕方なかった。だから辛くて形だけなのが嫌であんな事止めにしようって思ったのに…。なのに急に嫌いになれってなんなんよ!?そんなん絶対無理に決まっとるやんっっ。』

K『のっち…?』
N『ゆかちゃんには遊びでもなんでも私は…。』
K『何を言いよるん…?遊びであんな事出来る子に見えるんゆかが?』
N『だってっ!』
K『だってじゃないっ。遊びならこんなに苦しい訳ないじゃろ…。』
込み上げる何かに耐えるように言葉を紡ぐきみ。

K『嫌われた方が楽だからってわざとこんなひどい事して……。どんだけあたしが苦しかったか分かってないよ。あほのっち!!』

N『……なんでのっちが怒られるんよ。』
K『あ、ごめん…。』
言うに事かいてあほだなんてあんまりだよゆかちゃん…。
そんなやり取りが可笑しくて、お互いに勘違いだとわかって、どちらからともなく溢れ出す笑い。

N『のっち怒られ損じゃんっ。』
わざと膨れてみせると
K『ふふふ……。』
いつもみたいな無邪気な笑顔を見せるゆかちゃん。

よかった。

きみが笑ってくれてホントによかった。

(続く)






最終更新:2008年12月23日 01:33