Side A
今日はのっちの家で、ゆかちゃんの誕生日パーティー。
今、のっちの部屋を飾り付けしているところ。
「のっちぃ〜、ワッカ足りんよ〜。」
「えぇ〜〜、まだ作るん?もう飽きたよぉぅ。」
「何、言うとるんよ!はよせんとゆかちゃん来ちゃうじゃろ!」
「へぇ〜ぃ。」
やる気の無い返事をして、だらだらと作業を再開するのっち。
う〜む、なんとかして頑張ってもらわんと・・・。
あたしはのっちの前にペタンと座って。
「のっちぃ。」
「ん?」
顔を上げたのっちに
「あ〜ちゃん、テキパキした人好きなんけどな〜。のっちの事、見直しちゃうんだけどな〜。」
上目遣いで、かるくおねだり。
「・・・やる!のっちやるよ!こんなんパパパッと終わらせちゃるよ!」
途端にやる気全開のっち。
えへへ、こういうのにのっち弱いもんね。これなら間に合いそうじゃね。
おかげで、あっという間に飾りつけ終了。
「ヨシっと。」
「ねね。のっち早かった?見直した?」
まるで犬みたいに擦り寄ってくる。
「はいはい。のっちにしてはがんばった方じゃろ。」
ご褒美に、頭を撫でてみる。
そしたら、うへへって嬉しそうなのっち。単純じゃねぇホンマ。
「ん、そういゃ。あ〜ちゃんに渡したいモンがあったんよ。」
「なん?」
「コレなんじゃけど。」
のっちにしては可愛らしいラッピングがされた紙袋を差し出してきた。
「ん?開けてもいいの?」
うん。と頷くのっち。
そして中を見てみると・・・。
「わぁ、可愛いぃ。どうしたん?コレ。」
中には、ピンク系のちょっとリボンぽいチョーカーが、入っていた。
「あ〜ちゃんに似合いそうだなと思って。」
予想もしていなかったのっちからのプレゼントに、不覚にもちょっとジンときた。
「でも、何で今日なん?今日はゆかちゃんの誕生日パーティーじゃろ?」
「え?ぅん。まぁ、そうなんよ。じゃけぇ、出来たらぁ、今から付けてて欲しいんけど・・・。」
「今から?」
「うん。そうじゃないと後で色々と・・・。」
「なん?よぅ聞こえん。」
ごにょごにょと言いにくそうにしとるのっち。
「いぁ、やっぱいいです・・・。」
なんかキョドってるんですけど。
まぁ、よく解らんけどぉ。
「まぁ、えぇわ。じゃあ、のっち付けてよ。」
ハイっとチョーカーをのっちの目の前に差し出す。
「付けてくれるん?」
「だって、付けて欲しいんじゃろ?それに、折角貰ったんに、あ〜ちゃんも付けてみたい。」
そう言うと、ぱぁっと笑顔んなって、あたしからチョーカーを受け取り、目の前までやってくる。
やば。やっぱ頼まん方が良かった。
のっちの手がチョーカーを首の後ろから通して、髪や首にふっと触れる。
「あ〜ちゃん、ちょっとあご上げて?」
少しだけ顔を上げて、のっちが結んでくれるんを待つ。
なんかドキドキしてきた。
のっちは結ぶんに一生懸命で、気にしとらんみたいけど・・・近い。
しかも、キレイに出来んみたいで、四苦八苦しとる。
「のっち、はようしてやぁ。」
はやく、この状態から脱したい。
「もぉ・・ちょい。・・・っとぉ。出来たー。あ、ちょ、待っとって。」
のっちは何か取りに行った。
ふぅー。助かったぁ。
「はいはいは〜い。いかかでしょう?お嬢様。」
なんて言いながら、鏡を持ってきてくれたのっち。
「ちょっと、不恰好じゃねぇ・・・。」
「いゃ。ちょっと緊張しちょうたから。」
「・・・ま、しゃあない。可愛いけぇ、許す。」
これも、のっちの味じゃけぇね。
「この、ほわほわのポンポン可愛いね。」
結んだ先に付いている白いポンポン。
「じゃろ?それあ〜ちゃんぽかったけぇ、それにしたんよ。」
満足げに話すのっちにお礼を言おうとしたら、呼び鈴がなる。
ゆかちゃんかな?
何も持たずに玄関に向かうのっちを呼び止めて。
「のっちのっち!コレコレ!」
「やべ、忘れとったw。」
ゆかちゃんを迎える時にって、買ってきたクラッカーを渡す。
あたしは玄関の前に座って待つ。
のっちがゆかちゃんを確認して、カギを開けて。
「開いとるよ〜。」
言ってすぐに、隣に座ってスタンバイ!
ドアが開いてゆかちゃんが入ってくる。
「おじゃましま〜・・。」
そこへ二人で何個か一斉にクラッカーを鳴らして
ぱぱん!ぱんっ!
「「Happy birthday♪ゆかちゃ〜ん。」」
「うはwwありがとぅ。」
Side K
のっちの部屋の玄関を開けると、二人が迎えてくれて。とりあえずクラッカーの紙紐まみれになった。
「これ誰が片すん?」
「もちろんのっちの部屋じゃけぇ、のっちじゃろ。」
「ぇえ!あ〜ちゃんもパァンしたじゃん。パン。」
「ほらほらっ。ゆかちゃん、はよぅ、入りんさいな。」
すがるのっちを尻目に、立ち上がったあ〜ちゃんが手招きしてくれる。
「じゃあ、のっち宜しくぅ〜。」
とりあえず、全部下に払い落として、靴を脱いで上がるとあ〜ちゃんに手を引かれて、リビングまで通される。
「あうぅ。」
後ろでクラッカーの痕跡を見つめるのっちの、ションボリした声が聞こえる。
「のっち!何しとん?あんたもはよ来んさいやっ。」
あ〜ちゃんの呼ぶ声に反応して、ブンと顔をこっちに向けるのっち。眉がハの字じゃ。
「も〜、ちゃんと後で手伝ぅけぇ〜・・。へこんどらんと、来んさいっ。」
しょうがないなぁ。なんて顔をしながら言うあ〜ちゃんの言葉に、のっちの気分は一気に回復。
「やぁりぃ〜。」
軽くガッツポーズをとりながら、コッチにやってくる。
分かりやすい子じゃね〜。のっちは。
「それにしても、飾りつけまでしてくれたんね。時間あんまり無かったんに、大変じゃったろ?」
「そうよぉ。のっちがダラダラしとったけぇ、終わらんかと思ったよぉ。」
「なぁ。のっちだってがんばったもん!」
また、あ〜ちゃんに弄られてる。
「ほら、のっち。アレ。持って来んさいよ。」
「はいはぃ。」
「ゆかちゃん、普通のケーキよりコッチが良いと思って。のっちと決めたんよ。」
あ〜ちゃんに言われて、のっちが持ってきた箱。
「ジャジャ〜ン♪」
フタを開けた箱から出てきたのは・・・。
「うわぁ。アイスケーキじゃぁ〜。ぅぇえ、ホンマに嬉しいんじゃけど。」
「ゆかちゃん好きなだけ食べて良いんよ?」
大好きなアイスを好きなだけ食べても良いだなんて、幸せすぎるw。
ワイワイと話をしながら、言われた通りに、好きなだけケーキを食べて楽しい時間を過ごす。
「そういえば、あ〜ちゃんのポンポン可愛いね?」
「うへへ。そうじゃろぉ。のっちがくれたんよ。」
「あ、あ〜ちゃんっ!」
顔を赤くして呼ぶのっち。
「別に言ってもえぇじゃろ?」
「ま、まぁ。そ、そうじゃけどw」
「そうじゃ、そうじゃ。それとも、ゆかには言えん理由でもあるん?」
「ぇぇえ?無い無い。そんなんあらんよ!」
明らかに、慌てとる。何か隠しとるな。
「のっち、何そんなに慌てとるん。」
「いや〜〜。なんもないよ〜。」
誤魔化すんが下手じゃねぇ。まぁ、ソレは後でゆっくり聞くとして、ポンポン触らせてもらお。
しばらく他愛のない話に華をさかせると、ふと思い出したようにあ〜ちゃんが言ってくる。
「チャチャーン♪ここで、あ〜ちゃんからゆかちゃんへのプレゼント〜。」
「はいはい!のっちものっちも!」
「え?ケーキ貰ったんに、まだあるん?」
「当ったり前よぉ。美味しいけど、ケーキは食べたら無くなるじゃろ?じゃけぇ、あ〜ちゃんからはコレ。」
あ〜ちゃんから貰った可愛い箱には、これまたキラキラした可愛いネックレスが入っとった。
「これ、めっちゃゆかの好みじゃよ〜。あ〜ちゃんありがと。」
なんかもう、あ〜ちゃんからってだけで、私は嬉しいわ。
こんなに、幸せで良いんだろうか?
「えっと・・のっちからは、お酒を飲めるようなったゆかちゃんに、のっち特性梅酒をどうぞ!」
「のっち、それ無くなるじゃんw。」
あ〜ちゃんの素早いつっこみ。
「ホンマよぉ。それに、安上がりなんじゃない?」
それに乗っかって、のっちをいじる。
「梅も氷砂糖も買って、出来るまでに手間ひま掛かっとるんけぇ。」
「最初だけじゃろ?後はほっとくだけじゃん。」
「んまぁ。そうじゃけど・・・。これはちゃんとゆかちゃん用に作ったんけぇ。気持ちはピカイチじゃよ?」
私用にね〜。
「・・変な念とか入れとらんじゃろぅねぇ?」
「のっちそんなコトしよるん?」
あ〜ちゃんも私の話に乗っかってくる。
「そんな訳無いじゃん!」
必死に抵抗してくるのっち。ホンマのっちをいじるのは面白いわ。
「冗談じゃってw。ありがとっ。のっち。」
後で飲んじゃお。
「後ぉ・・実はもうひとつ〜・・・。」
なんかすごく言いにくそうにしとるのっち。
「えっ。のっち、何勝手に自分だけ二つも用意しとるんよ!」
内緒にされたあ〜ちゃんに怒られるのっち。
「いゃ。だって、あ〜ちゃんに言ったら怒られるもん・・。あっ、でも、あ〜ちゃんにも手伝ってもらわんといけんのよ。」
どっちにしても怒られとるじゃん。のっち。
「あ〜ちゃんも一緒で良いの?だったら、はよ言うといてよぉ。」
「あはは・・・。」
かわいた笑いののっち。何を企んでんのよ。あんたは・・・。
あ〜ちゃんを連れて台所に行くのっち。
う〜ん。そういえば、来たときから、ちょっと気になってたんけど。
あの、あ〜ちゃんが着けてる、リボン風なチョーカー。のっちから貰ったって言ってたけど・・・。
もしかしてのっち・・・。
二人の会話が聞こえてくる。
「え?これだけでえぇんの?プレゼントはぁ?」
「あ〜ちゃんは、それで良いよ。」
「のっち何も持っとらんじゃん。」
「まぁ、まぁ〜、・・・ね。」
苦笑いしながら、納得いかないあ〜ちゃんの背中を押してやってくるのっち。
そして、あ〜ちゃんを私の隣の座らせる。
「ゆかちゃん。のっちコレしか渡さんかった・・・。」
面白くないといった表情で、ヒョンヒョン揺らしながら一本のバラを差し出してきたあ〜ちゃん。
「これだけなら、あ〜ちゃんいらんと思わん?」
“コレ”だけならね〜・・・。
「で?のっちの二つ目ってコレなん。」
さて、聞かせてもらおうか、のっち。
「いやぁ〜、それも含めぇのぉ・・・。あ〜・・・」
言いよどんで、チラッとあ〜ちゃんに視線を向けるのっち。
それで、私には二つ目が何か解った。
「こっち見とらんで、ハッキリ言いんさいよ。ハッキリ。」
これは、あ〜ちゃんの反応が楽しみじゃ。
「あ〜・・・chan」
やっぱり・・・。確かに、そりゃ言い難いじゃろ。声が小さくてよく聞き取れない。
「のっち、よぅ聞こえんよ?」
私は解ってるけど、それじゃ意味が無い。あ〜ちゃんに聞こえなきゃ・・・。
「ごめんなさい!あーちゃんです!」
意を決して言い放ったのっちは、猛ダッシュで物陰に隠れる。
「はぁ???」
あ〜ちゃん顔ww。アゴ出てるよw。
「なぁんで、あ〜ちゃんがのっちからのプレゼントにならにゃいけんのよ?」
おぅお。怒っとる怒っとるぅ。
「だ、だって。ゆかちゃんに、プレゼント何が良い?て、聞いたらぁ。『あ〜ちゃん』言うたんもぉ。」
そうそう。ちょっと前に聞かれたんよ。
だから冗談のノリで『あ〜ちゃん』て答えたんに、まさかのっちにココまでの度胸があるとはw
ヤバw笑いそう。
「ゆかちゃん・・・ホンマなん?」
むすっとした顔で聞いてくるあ〜ちゃん。
これは回避するべき?でも、ウソはいけんけぇね〜。
Side N
うぅ。やっぱりあ〜ちゃん怒っとるぅ。
大体あ〜ちゃんに、こんなんお願いできるわけないじゃん。
ゆかちゃんへのプレゼントになって下さい。なんてありえんじゃろ?
「だ、だって。ゆかちゃんに、プレゼント何が良い?て、聞いたらぁ。『あ〜ちゃん』言うたんもぉ。」
ゆかちゃんの方を見ると、なんでかニヤケとるんけど。
つぅか。こうなったんは、ゆかちゃんのせいじゃろ!
「ゆかちゃん・・・ホンマなん?」
あ〜ちゃんの視線がゆかちゃんに移る。
「確かに言うたけど、普通に考えたら、そんなん冗談に決まっとるじゃろ?」
「じゃよねぇ〜。」
また戻ってくる冷たい視線。
あ〜、のっちはこれからボコボコに打ちのめされるんスね。
と覚悟を決めてたんけど。
「でぇもぉ〜。折角のっちが可愛いリボンまで着けてくれたんけぇ、貰っちゃおうかな?」
ギュッとあ〜ちゃんを抱き寄せるゆかちゃん。
リボン・・・気付いとったんね。さすがゆかちゃんじゃ。
「ちょ、ちょっと。ゆかちゃん!」
ハッと顔を赤くするあ〜ちゃん。
これで助かったと思ってたんに。
「あ〜ちゃんは、ゆかに貰われるのイヤ?」
「ゆかちゃんなら、ヤじゃ、ないけど・・・。てか、リボンて?」
あたふたしてたのに、不意にゆかちゃんに尋ねるあ〜ちゃん。
「ん?あ〜ちゃん気付いとらんの?コレじゃよ。こぉれ。」
そ!それは言っちゃぁいけんよ!
「ん?」
「ゆ、ゆかちゃん!」
慌ててシーッてしたけど、すでに遅し。
ゆかちゃんがあ〜ちゃんの首を指差して、チョーカーに触れるあ〜ちゃん。
眉間がピクッとして。
「ま、ままさかぁ・・。のっちぃ!後で色々ってこの事だったんかぁ!嬉しかったのにぃ・・・。」
や、やばぁい。
「ち、ちがっ。いゃ、違くないけどっ。で、でも!あ〜ちゃんが、着けたら絶対可愛いだろうな、と思って買ったんはホンマじゃけぇ!」
必死にあ〜ちゃんに訴える。
Side K
超必死なのっち。
あ〜ちゃんは、なんとも複雑そうな顔をしてる。
可愛いと言うのっちの言葉は嬉しいはずじゃけど、リボンとしての意味を考えると素直に受け取れんのじゃろうなぁ。
ふぅ〜。しょうがないなぁ。一応、原因つくったの私だし。助け舟でも出そうか。
「ほんだら、コレは、あ〜ちゃんとゆかの為にって事じゃろ?」
「は、はぃ。」
すでに、一人で反省に入っとるのっち。さすが、趣味反省って言われただけあるわ。
「じゃって。あ〜ちゃん。今回はゆかの誕生日に免じて許したって?」
「うん、解った。」
「よ、良かった〜。」
安心して、ふにゃっとへ垂れ込むのっち。
そりゃ、あ〜ちゃんに嫌われたら最悪じゃもんね。私もイヤじゃわ。
「のっちが、勝手にするけぇ悪いんじゃ。」
「言ったら、ちゃんとプレゼントになってくれたん?」
「えぁ、まぁ、ゆかちゃん為なら・・・。」
照れながら言うあ〜ちゃん。可愛い。
「じゃあ、今日は、ゆかの側におってね?」
「そ、その前に!」
軽くあ〜ちゃんを引き寄せて言うと、慌てて立ち上がるあ〜ちゃん。あら、残念。
私へのプレゼントのラッピングに使われてたリボンを持って、のっちへと近づくと
床に寝転んでいるのっちを起こして、
「のっち、腕出しんさい。」
のっちはさっきので、気力を使い果たしたようで、電池切れ。
あ〜ちゃんに言われるまま腕を出して、その手首にリボンを結ぶあ〜ちゃん。
「ほれ、のっちも来んさいな。」
のっちを引きずるように連れてきて、私の隣に座らせる。
そして、あ〜ちゃんは反対側に。
「ゆかちゃん。ソレあ〜ちゃんからのプレゼント。」
のっちを指差して言うあ〜ちゃん。
「ソレってw別にのっちはいいんじゃけど。」
「ちょっと!二人とも酷いよぉ。『ソレ』とか『いらん』てぇ、さすがに傷つくよ?」
さっきまで、死んだみたいだったのに、生き返った。
「なによぉ。これでおあいこじゃろぉ?」
「うぐっ。」
何も言い返せないね。
「三人が良いじゃろ?ね?ゆかちゃん。」
「そうじゃ、そうじゃ。三人合わせてぇ〜♪」
「「「 Perfumeです!宜しくおねがいしまぁーす。 」」」
いつもの振り付きで、自然とポーズをとる自分たちに思わず笑いだしちゃった。
これは、もう身についとるっていうか、染みついとるね。
「へへへ。ありがとぅ。あ〜ちゃん、のっち・・・。」
二人の手をとって、包み込む。そして、普段、口に出来ない言葉を・・・。
「大好きだぁ。」
そしたら、二人が笑い合って、同時に両脇からぎゅってしてくれた。
そうだ。こうやって三人で居れることが、私にとって最高のプレゼントかもしれないね。
<プレゼント>fin
最終更新:2009年01月13日 10:04