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「女の子は、いつでも唇と手はぷるぷるにしておかにゃいけんよ?のっち。」
突然のその声に頭をあげると、いつの間にか目の前にあ〜ちゃんが立っていた。
「あ〜ちゃん・・・いきなりどうしたん?」
「いくら今日はラジオの収録しかないからってそれはどうなんよ、のっち。」
半ば呆れたようにつぶやくあ〜ちゃん。
確かにあ〜ちゃんは今日もメイクは完璧だし、唇もぷるぷるだ。そういえば昨日かわいいグロス買ったって言ってたな。
それに比べてのっちは・・・朝、寝坊したこともあって、すっぴんだし手はかさかさだ。
確かにこりゃいけん。
「う・・・ごめんなさい。」
「あんたはPerfumeののっちなんよ?自覚あるん?」
そういいながら鞄からハンドクリームを取り出しのっちの手に塗ってくれるあ〜ちゃん。
のっちはあ〜ちゃんのこういうところが好きなんだよね。
口ではぼろくそ言うけど、本当はのっちとゆかちゃんのことを1番大切に思ってくれているのが伝わってくる。
でも。
のっちはあ〜ちゃんが好き。大好き。もちろんゆかちゃんのことだって大好きだけど、あ〜ちゃんへのこの好きとはちょっと違うんだ。
だから、のっちはあ〜ちゃんの特別な存在になりたいよ。1番の存在になりたい。
ごめんね、こんな欲求はわがままだってわかってる。
わかってるから、この想いをあ〜ちゃんに伝えたりなんかしないよ。
近くにいれるだけで幸せだって自分に言い聞かせるんだ。
「・・・ほんまにウィンナーさんみたいな手じゃねぇ」
あ〜ちゃんの声でふと我に返る。
「う、うるさいなぁ」
「できたっ!!」
そう言ってのっちの手を持ち上げてのっちに見せながらニヒっと笑うあ〜ちゃん。
あぁ。
笑うと細くなる目も、大きなえくぼも、全部が愛しいや。
「うわっのっちの手がもちもちじゃ。ありがとあ〜ちゃん」
「もちもちじゃなくてぷるぷるにしたつもりなんじゃけど・・・まぁええわ。
今度からハンドクリームくらい持ち歩きんさいよ。アロンアルファなんかじゃなくて」
「ははっ確かに。そうするわ〜」
そう言って笑いあうのっちとあ〜ちゃん。
想いは伝えない。
伝えないけど・・・これくらいは許してもらえるかな。
「ところで唇の方はなんとかしてくれんの?」
「そんぐらい自分でしんさいや。
でも確かにかっさかさじゃね・・・うーん・・・今あ〜ちゃんがつけてるグロスは家に置いてきちゃったけぇこのリップクリーム貸し「あ〜ちゃんと一緒がいい。」」
あ〜ちゃんの言葉をさえぎってそう言いながら、あ〜ちゃんの唇に一瞬だけ自分の唇を重ねた。
本当に触れるだけの軽いキス。
もの凄いドキドキしたけど、でもこの行為に深い意味はないってあ〜ちゃんに思わせためにのっちはすぐ
「へへっこれでお揃いじゃ。
のっちの唇、ぷるぷるになった?これでのっちモテるかな?」
そう言ってイタズラっぽく笑ってみせる。
うまく笑えてるかな。のっちドキドキしすぎて心臓破裂しそうだよ。
あ〜ちゃんは目を見開いて驚いた様子だったけど、少し間をおいてから
「も〜いきなり何するんよこの子はほんまに・・・」
って少し呆れたようにつぶやいた。
「のっち?」
「ん?」
「のっちは手と唇をぷるぷるにして、その、モ、モテたいん?」
「うん!!そりゃぁモテたいよ。
って言っても今日のこれは全部あ〜ちゃんのおかげだけどね。」
そう言って苦笑いをするのっち。
「ほんまよ~!!」
とか言われるかと思ったのにあ〜ちゃんはなんだか真剣な表情をしている。
どうしたんだろう。
やっぱふざけてでもキスなんてするんじゃなかったかな。
とか思ってたら、やっぱり真剣な表情のままのあ〜ちゃんにこう問いかけられた。
「のっちは誰にモテたいん?」
「誰って言われてもなぁ〜特に誰ってわけじゃないけどとにかくモテたい!!」
あ〜ちゃんへのこの気持ちを周りに気付かれないために、ラジオとかでいっつものっちはモテたいって言ってる。
七夕のときに短冊にもモテたいって書いたら痛い子扱いされたっけな。
確かにあれはやりすぎだったって反省してるよ。
「そっか・・・あ〜ちゃんにモテるだけじゃだめなん?」
「ふぇ!?!?!?!?」
予想外の発言に思わずまぬけな声が出てしまった。
てか何この展開。え、ちょっと待って。どういうこと?
「だから、その、あ〜ちゃんはのっちのこと・・・す、好きじゃけぇ。
でものっちはやっぱ色んな人にモテたいんかなぁって。」
顔を真っ赤にしながら伏し目がちにこうつぶやくあ〜ちゃん。
どうやら本気らしい。やばいやばいやばいのっちもう死んでもいいや。いや、やっぱまだ死ねない。
「あ〜ちゃんだけで十分です。
てか、あ~ちゃん以外にモテても意味なんてありません。」
「ほんまに?」
そう言ってのっちが大好きな笑顔を見せてくれるあ〜ちゃん。
「うん。ずっと、ずっとずっと、その笑顔をのっちが独り占めできたらいいのにって思ってた。
好きだよ、あ〜ちゃん。」
そう言ってあ〜ちゃんを強く抱きしめる。
あ〜ちゃんの腕が背中に周るのを感じ、幸せを実感する。
「ほんまにあ〜ちゃんでいいん?」
「うん。あ〜ちゃんしかいらん。」
するとのっちの首もとに顔をうずめていたあ〜ちゃんが顔を上げて
「じゃぁ・・・もうそのグロス意味ないね?」
ニヤっと笑うあ〜ちゃん。
言葉の意味がよくわからずきょとんとしていると
「のっち、目閉じて?」
目を閉じた瞬間に唇にやわらかい感触。
さっきとは違う、愛情が伝わってくるようなやさしいキス。
のっちの愛情もちゃんと伝わってるかな?
大好きだよ、あ〜ちゃん。
いつの間にかつながれている2人の手。
グロスはもういらないけど、やっぱりこれからはハンドクリームくらい持ち歩こうかな。
いつでもこうやってあ〜ちゃんと手をつないでいられるように。
最終更新:2009年01月13日 10:28