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Side K
「ちょっとねぇ〜・・・なに?」
ぼ〜っと、数ヶ月前のことを思い出していたらのっちに呼ばれた。

「え?あぁ、ちょっとね。振られただけ。」
「はい?!何ソレ?」
「入学式の前に数週間だけ付き合って、入学式終わって帰るときに振られちゃったぁ。」
「そういえば、次の日に振られて落ち込んでたの、もしかしてアレ?」

入学式の日に、無事に合格したのっちと再会していた。

「そう。あぁ、でも、振られたって言うのはちょっと違うかな?」
「違うの?」
「そう。私が、あ〜ちゃんの探してる人が見つかるまでで良いって、約束してたから。」
「探してる人?」
「あ〜ちゃんの好きな人。三年も探してたんだよ?その人が見つかったから別れたの。」

そう、入学式の帰りに、すごく言い難そうにあ〜ちゃんが話し出したんだ。
小さな声で、『・・居た。』って。
あ〜ちゃんにしては珍しい、今にも消えちゃいそうな声で。

その人が見つかったって事は、私と別れることを意味してるから。
泣きそうなのを必死に堪えてるあ〜ちゃんを、抱きしめたかったけど、そしたら離れられなくなりそうでグッと我慢したんだよね。

その涙が少しでも、私との恋人という関係を惜しんでくれるものなら、それで十分だから。

でもそれからは、私的にやっぱり一緒にいるのは辛いものがあるから、別々に行動してるの。


「え、じゃあ、その人この大学の人?」
続けて質問してくるのっちの声に、また意識を戻される。
「可能性は高いんじゃない?入学式の途中から何か変だったから。」
「ゆかちゃん、誰か聞いてないの?」
「なんか聞いちゃ悪いかなと思って・・・。」
「そう、なんだ。」

質問を連発したのっちが、急におとなしくなった。
まぁ、色々と衝撃的な事ばっかりだもんね。

「・・・その人と、付き合っちゃってるのかな?」
ぼそっと、独り言のように聞いてくるのっち。
「さぁね〜。でも、なんか進展したら教えてって言ってあるから、まだだと思う。」
そしたら、軽くほっとしてるみたいなのっち。なに?

「ねぇ、のっち。」
「へ?」
「あ〜ちゃんのコト好きなの?」
「んん?」
のっちの大きな目がさらに見開かれる。

「だって、付き合ってないって言ったらホッとしたでしょ。」
「え?別にしてないよ?」
なに。のっち自覚なし?

「じゃあさ。私がまだあ〜ちゃんのコト好きって言ったら?」
「ぇ・・・。」
「はい、困った〜。」
「こ、困ってないよぉ。」
何を言ってるのかね〜。この子は。

「じゃあ、その困り眉は何?」
「わっかんないよ〜。別にゆかちゃんがあ〜ちゃんを好きでも、あたしは困らないし!」
必死なのっち、ちょっとは自覚したかな?


「・・・嘘だよ。今は大丈夫だから。あ〜ちゃんへの気持ちは落ち着いてるから。」
そう言うと、また安心した顔。のっちって判りやすいよね。
「ほら、また安心した。」
「むっ。ゆかちゃん、ずるい。嘘つくなんて。」
「それは、謝るけど。でも分かったでしょ?あ〜ちゃんへの気持ち。」
「まだはっきり分かんないよ。ただ、好きかもしんないってのは分かったけど。」

ふ〜、ま、それでも前進だわね。
「なら、早く告白して仲間んなろ?」
「仲間?って?」
「ふふふ。あ〜ちゃんに振られ仲間〜。」
「振られるの決定なんすか?ゆかちゃん応援してくれるんじゃないの?てか!告白なんてしないし!」

「もちろん、応援してるよ?だって、私のっちのおかげでこうやってられるし。のっちが居てくれたから、今笑えるんだから。」
なんだろ?このちょっと恥ずかしい告白みたいなの。

「のっちだって、あの日ゆかちゃんが居なかったら、絶っ対!ここに居ないと思う!」
あの日って入試の日かな?
「そんなに力込めて言われてもねぇ・・・。」
「だって、そうなんだもぉん。」

私の心が深く沈まない様に、特にしゃべるわけでもなく、一緒に居てくれて。
一人じゃなかったそれだけで、その時の私は救われてた気がする。

「あの、余計なコトかもしれないけど・・・気持ちが落ち着いてるんならさぁ・・・何で話さないの?」
「何でってぇ・・・何で?」
「あ〜ちゃんと話したいんじゃないかと思って・・・。」

「う〜ん。話したいとは思うけど、なんとなくね〜。あ〜ちゃんにはあ〜ちゃんの付き合いだってあるだろうし。それに〜、今は・・・。」
そう言ってのっちに視線を向けると、何?って顔をしてる。

その、のっちの腕をグイッと引っ張って抱きつきながら
「のっちがいるし!」
なんて冗談で言ったら、大慌てなのっちが面白い。


「き、急に何言い出すのっ。」
「な〜んちゃって〜。にへへw」
笑って、軽く流しながらふっと向けた視線の先にあ〜ちゃんがいた。

あ〜ちゃんもコッチに視線を向けていたけど、慌てたように私達から視線を外した。
一緒にいる友達と話している。

そう、話しかけないでいるのは、あ〜ちゃんの反応がこんな感じだからっていうのもある。
なんていうか、もしかして、避けられてる?とか思って・・・。

「あ、あ〜ちゃんだ。」
のっちもあ〜ちゃんに気付いた。
そんだけニヤニヤして、まだ分かんないとか、どんだけ鈍いのよ・・・。

Side N
ゆかちゃんとあ〜ちゃんが付き合ってたなんて、驚きも驚きだよ。

あ〜ちゃんの好きな人って、どんな人かな。
三年も探してたなんて、よっぽどだよね。見つけたときは相当嬉しかっただろうな〜。
あぁ、でもゆかちゃんとの事があったから、複雑だったかな?

それからというもの、あたしはあ〜ちゃんの側にいる男の人が気になりだした。
あ〜ちゃんのコトだから、きっと声を掛けて友達になってるだろうから。

なんかモヤモヤする。


—つづく—






最終更新:2009年01月13日 10:47