「あぁ、もうしっかり歩いてよぉ」
「歩いてますよぉ〜」
「ふらふらして、よう言うわ。
てか、鍵は?カバンの中?」
「そうでしゅ」
でしゅ、て・・
あたしは、のっちのカバンの中をごそごそ。
相変わらず、散らかっていて、わけがわからん…
なんとか、奥底から鍵を見つけ出し、ドアを開ける。
もうすでに、できあがってしまってるのっちを
ずるずると引きずって、ベッドに寝かせた。
はぁ・・
ため息一つ。
見渡すと、カバンの中なんて比じゃないくらいに
散らかった部屋。
「…のっち、、、さすがにこれはヒドイじゃろ・・」
「ゆかたん、泊まっていきますか?」
酔ってるのっちは、あたしの言葉なんかお構いなしだ。
「…泊まっていかんよ・・」
「どうしてれすかぁ」
「酔っ払いの面倒は、みれられんもん」
「酔っ払ってましぇんよぉ」
目の前には、ふにゃふにゃ幸せそうに
半分まぶたの閉じてるのっち。
あぁ・・・ダメだよ・・・・
油断すると、全ての感情がもっていかれそうになる。
「…じゃ、その変な敬語みたいなのなんなん?」
「なにが、れしゅか?」
「のっち、、、酔っちゃうと、いつもそだよね」
「うへへw」
のっちは、右手で顔を抑えると
へらへらっと笑った。
そう、のっちは酔っ払うと
変な敬語を使う。
だからきっと、あの時
のっちは、酔ってはいなかったんだ・・・
むにゃむにゃ。。。
言葉にならないコトバを呟いて
のっちは眠ってしまった。
そっと、手をのばす。
触れるか触れないか。
いつもその距離で、止まってしまう。
きっと触れてしまったら
崩れてしまうから。
とめどない
愛情と後悔。
どんどん溢れでてきて
溺れてしまいそうだよ。
その前に帰ろう。
そう思った瞬間
手をぎゅっとつかまれた。
えっ!?
起きては、、、ない。
眠っている。
−もう、なんなんよ。。。
呟いた言葉は
部屋の片隅に消えていった。
同時に、流れ出てくる涙。
なんで
なんでこんなに好きなんだろう。
なんで
あの時
のっちのことを
つかまえておかなかったんだろう。
一年ちょっと前。
今日と同じように
酔っ払ったのっちを連れて帰ってきたことがあった。
ゆかも、今日よりは酔っていて
二人とも、とてもいい気分だった。
のっちたちもオトナになったねぇ。
なんて他愛のない会話をしてたんだと思う。
正直はっきりとは覚えてない。
ただ、きゅうにのっちが静かになってからのことは
昨日のことのように鮮明に覚えている。
急に黙り込むから
「のっち、どしたん?」
そう言って、少しのっちとの距離を縮めた。
顔を上げて、ゆかを見つめるその瞳は
今まで見たことがない表情をしていた。
その瞳に、ココロを奪われた瞬間。
そっと、頬にキスされた。
軽いノリでなら、何度かしたことがあった。
でも、そのキスはそんなのじゃなかった。
戸惑ってコトバがでないゆかにのっちは
「ゆかちゃん、、、のっちと付き合ってよ」
と言った。
わけがわからなくなったゆかの口から
ようやくでたコトバは
「なぁに言っとるん。のっち、だいぶ酔ってるじゃろw」
だった。
のっちは
「あぁ、、、だねぇ・・今日はかなり呑んだもんねぇ」
そう言って、そのままベッドに転がり込んで眠ってしまった。
その時は、ほんと
別に好きな人がいたんだ。
けど
その後
どんどん
どんどん
のっちに惹かれていった。
あの夜の瞳が頭から離れなくなった。
きっと、あの瞬間
堕ちてしまってたんだね。
日々、後悔に飲み込まれていく日々。
苦しくて
苦しくて・・
耐え切れなくなって
ぶつけようとした時
のっちの右手に見たことない指輪。
ほんとに手が届かないとこにいってしまった。
けど、
想いは消えることを忘れてしまったかのように
未だ、ゆかはのっちに
囚われたままだ。
今だってほら
繋がれたのっちの右手に光る指輪。
身動きの取れないあたし。
行き場を失った想いは
涙となって流れ出る。
うっ・・・うぅ・・・
のっち・・・
ゆかをもう
自由にして、よ・・・
n-side
目が覚めると
ゆかちゃんと手を繋いでいた。
てか、
んなとこで眠ってたら風邪引くじゃん・・
ふとんをかぶせてあげようかと思ったけど
やっぱ、お姫様はベッドだね
なんて。
起こさないように
ゆかちゃんを、ベッドに横たえる。
あれ、涙のあと?
なんか、あったんかな・・
胸がぎゅっと
締め付けられた気がした。
そっと手を伸ばし
涙の跡を拭う。
もっと頼ってくれたらいいのに・・
弱さをみせて欲しい。
のっちは、いつだって
ゆかちゃんの味方なんだから。
無意識にカラダが動く。
あの日と同じとこに
頬に
唇をおとす。
あ、やば・・
なにしてんだか、今さら・・
相変わらずな自分に苦笑いし
ソファに横たわり
再び、眠りに落ちていった。
最終更新:2009年01月13日 11:04