N『ねぇ〜ゆかちゃぁ〜ん。』
背後に聞こえる拗ねたようなのっちの声。
K『なに〜。』
ネイルを塗りながら片手間に答えるあたし。
N『まだぁ〜?』
K『も〜う、ちょい。』
N『むぅ…、つまんないよぉ。』
あたしを背後から抱きしめ肩に顔を埋めるのっち。
K『さっきっからずっとくっついとるんじゃけぇええじゃん。』
N『全然良くないっ。ゆかちゃんの意識が他にいっとるもん。』
駄々っ子みたいに膨れっ面なのっちにますます気分を良くするあたし。
K『……ふふっ。』
思わず込み上げる喜びの空気。
N『あぁっ!笑ったぁー?!』
耳元で急に大声を上げられビクッと肩をすくめる。
K『もぅ、のっち耳痛いじゃんっ。』
少し怒った顔でのっちに視線をやる。
N『ごめんなさい…。』
うわぁ〜、耳が垂れてしょんぼりした犬みたい…。
K『……もぅ、ホントに仕方のない子じゃねぇ〜。』
ネイルのビンをテーブルに置きながら大きなため息とともに体重を後ろに預ける。
N『終わったのっ?!』
小さい子供がおもちゃ売り場で目を輝かせている。
そんな形容がピッタリ過ぎて笑いが出て来る。
K『まだ途中だけど仕方ないじゃろ〜。どっかの誰かさんが拗ねてるからねぇ〜。』
N『す、拗ねてなんかないよっ。』
K『まぁまだ乾き切ってないけぇね。』
餌を目の前に、お預け喰らった子犬はどんな顔するんじゃろうね。
N『ぬぅ…。』
K『……ぶはっ!!のっちっ!』
堪え切れずあたしはのっちの肩をバンバン叩きながら大笑い。
N『なんで笑うんよっ。』
K『予想通りすぎるけぇよっ。』
あたしの予想通り、のっちの顔ったらなかった。
あたしに笑われますます困った顔で抱き着く力が強くなる。
あたしを後ろからしっかり包み込みあたしの言葉に一喜一憂するのっち。
これ以上ないほどの愛しさが溢れ出す。
でもね、のっち。
あたしはそんなに簡単に愛を囁いたりはしない。
知ってるでしょ?
あたしの愛情表現は簡単じゃない事くらい。
知っててあたしを選んでるあんたも物好きじゃね。
K『のっち……。』
拗ねたのっちに視線を一つ。
N『…っ。』
彼女が戸惑いながら肩ごしにキスをくれる。
言葉はいらない。
あたしの想いは言葉じゃなくてもちゃんと伝わってる。
指で、瞳で、唇で…。
あたしの体全部を使ってあなたに伝えるの。
そしてあなたは全てを零さず受け止めてくれる。
言葉なんて不確かなものより深く繋がれる瞬間。
その時を誰よりも待ち侘びているのは他の誰でもない、このあたし。
K『…乾くまでは待ってね。』
小さく呟きまた瞳を閉じる。
N『仰せのままに。』
そう言ってあなたが少し笑ってくれた、それだけで伝わる想い。
言葉だけじゃ足りないから。
だからあたし達は今日も体を重ね合う。
せっかくの晴れの日だから、あなたと一緒に喜びたい。
(完)
最終更新:2009年01月13日 11:06