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きっかけはあ〜ちゃんの一言だった。

「ゆかちゃん、前髪伸びてきとるね」

雑誌からゆかちゃんに目を移すと、確かに重たく見えるパッツン前髪。
そういえば最近美容院に連れてってないや…。

…そうだ!
「のっちが切ってあげ「いらん」」
「なんで!?」
「のっちが切ったらガタガタになるじゃろ」
「うっ…!」
あ〜ちゃんに冷ややかな目を浴びせられる。
た、たしかに以前自分の前髪を切った時失敗したけどぉ…。
「あれはだって、自分のだから切りにくくて失敗しただけだってば」
「駄ー目。ゆかちゃんの前髪まで残念な事にさせるに決まっとるよ」
あ〜ちゃんはそう言って、行きつけの美容院へ電話をかけようと携帯を手に取る。
それを見ていたゆかちゃんは、あ〜ちゃんのワンピをきゅっと握ってのっちから隠れた。
「ちょ…ゆかちゃん、そんなにのっちに髪の毛切られるの嫌なん?」
「やだ」
「うぐっ…!」
悲しい…悲しすぎる…ゆかちゃんにプクーって膨れられたよ…。


がっくり肩を落としてると、ゆかちゃんがトタトタとどこかへ走っていく。しばらくして何かを抱えて戻ってきた。
…あれは…たしかゆかちゃんの大切なお人形さん……、あ。
「だって、ゆかのおにんぎょぅしゃんのかみ…」
「あー……それはぁ…」
背中を伝う冷や汗。

そう、のっちがお人形さんの髪を切ってあげようって事になって、とても残念な髪になってしまったあのお人形さんだ。

「……」
無言でも伝わるゆかちゃんからのプレッシャー。
4歳児にしてこの威圧感はあ〜ちゃん譲りなのか…。
「あの……ごめんなさい」
のっちがゆかちゃんに謝罪したと同時にあ〜ちゃんが電話を切った。
どうやら予約が取れたらしく、着けてたエプロンを外して用意を始めている。
…小学生なのに、あ〜ちゃんからお母さんのような貫禄を感じる仕草だ。
「ゆかちゃん、美容院行くけぇ用意しんさい」
「はぁーい。…のっちもいっしょにいく?」
「……のっちはお留守番してるよ」
さっきのやり取りで気まずくなったのっちは、ゆかちゃんのちっちゃな頭をぽんぽんと撫でてあ〜ちゃんに視線を移した。あ〜ちゃんの手がゆかちゃんの手を引いていく。


「いってきまーす」
「いってきまーしゅ」
「いってらっしゃーい」

…バタン。

「あ、」
玄関で二人を見送った後どうやって暇を潰そうかと考えて、ふと思い付いた。
「…マネキンでも買ってくるかな」
今度二人の髪が伸びた時の為に練習が必要だもんね。
それに、二人にそれぞれ「前髪が伸びたら切ってあげる券×3」をプレゼントしよう。
これでのっちの名誉挽回も出来るし、二人ののっちに対する印象がグーンとアップするに違いない。さすがのっち、なんて素晴らしいアイデア…!

さて、そうと決まれば行動あるのみじゃー!!
「あ、そういえばマネキンってドンキとかで売ってんのかなぁ〜…」



その頃のあ〜ちゃんとゆかちゃんは…。

「へくちっ!」
「ゆかちゃん大丈夫?風邪引か…っくしゅん!」
「あ〜ちゃん、だいじょぅぶ…?」
「大丈夫じゃけど…なんか悪寒が…」
「?」


#02END





最終更新:2009年01月13日 11:24