アットウィキロゴ
Side N
突然かっしーが、変なことを聞いてきた。
何で、あたしに聞いてくるのかが解らんけど。
かっしー好きな、あ〜ちゃんに聞いてあげれば良いのに。

そして、かっしーの突拍子の無い質問は続く。

「じゃあさぁ、あ〜ちゃんは?」
「あ〜ちゃん?」
「そう、のっち好きでしょ?」

好きってぇ…、本人居るのに言いにくい、というか恥ずかしい質問だな〜。
「うん。好きだよ。あ〜ちゃんも親友だもん。」
「本当に好き・・でしょ?」
「本当に?」
質問の意味がいまいち…。

解らない顔をしてたら。
「解りやすく言えば、恋してるかってこと。」
「恋??あたしがあ〜ちゃんに?」
なんじゃそりゃ?

「正直に答えてよ。」
でも、かっし−の表情はいたって真面目で。
「ふはw。ゆかちゃん、それ違うわ。ちゃうよ。」

「うそ。だって、いっつも見てるじゃん。」
まあ、確かに見てるけどね。そういうんじゃないんよ。
「そりゃ、あ〜ちゃんはあたしの憧れじゃもん。可愛らしさのお手本にしたいけぇ。」

「憧れ?」
「そ。憧れだよ?だから、恋とかじゃないから。」
「ふぅん、そう、なんだ。」
なんだか拍子抜けした感じのかっしー。そしたらやっぱり聞きたいよね?


「人に聞いてばっかで、かっしーはどうなのさ。」
「へ?」
「あ〜ちゃんの事、どう思っとるの?」
折角だから、あ〜ちゃんの為に聞いておこう。
だって、聞いた事はないけど、かっしーもたぶん…。

「あたしは、別にぃ。」
あくまでも冷静に答えようとしてるかっしー。
「この間、『最近、あんまりゆかちゃんがスキンシップしてくれん。』言うて落ち込んでたよ?」
「それは!…だって。」
ばっと反応して向けた顔は赤くて、あたしの予想が当たってることを裏付けるには十分だ。

「あ〜ちゃんに恋しとるのは…かっしーじゃろ?じゃけぇ、触れんのと違う?」
さっきのあたしへの質問は、あたしがあ〜ちゃんを好きだと思って、遠慮でもしようとでも思ったんだろう。

ぎゅっと拳を握り締めて、俯いてるかっしー。
「いけんのよ。こんなの…。」
「なんで?」
「だって、あ〜ちゃんは、他人と居ても楽しくないって思ってたあたしに、居場所をくれたんよ。
あ〜ちゃんの笑顔見ると、ココにいても良いんだって思えるの。なのに…
こんな気持ちでいるって知ったら、笑ってくれんくなるよっ。あ〜ちゃんの笑顔、失っちゃぅ…。」

かっしーは、よく自分に自信が持てないって言ってて。
嫌われたらどうしようって思ってるみたい。

「あ〜ちゃんは、そんな子じゃないじゃろ?」
「…のっち、さっきあたしの事親友だって言ったよね?」
「うん。言ったよ?」
「あ〜ちゃんだって、きっとそう思ってる。その相手に自分を好きって言われたら?しかも女の子だよ?普通は引くよっ…。」
うるうると瞳を潤ませて言うかっしー。


う〜ん。言ってあげたい…。
あ〜ちゃんもかっしーを好きだよって。

あ〜ちゃんも会話聞こえてるんだから、そろそろ出てきても良いんじゃない?

「引かないって。だって、あ〜ちゃんだよ?」
「のっちには…解らんよ。好きじゃないんけぇ。」

って。なぬ?それは聞き捨てならんぞ。
あたしだって、がんばってるのにぃ。

「じゃあ、かっしーはどうしたいんよ?もしあたしが、あ〜ちゃん好きだったらどうしてたん?
はい、そうですかって引き下がって諦めたん?」
感情が入って少し、厳しい口調になる。
だまって聞いてるかっしー。

「なん。そうなん?ほんだったら、ずっと言わんでモヤモヤしとれば良いんじゃ。かっしーの気持ちはそんなもんだったんじゃろ?」

ばん!!

あたしが言い終わるか終わらないくらいで、かっしーが目の前の机に勢い良く両手を突いていた。
びくっとするあたしの方をキッと見て。

「そんな軽くないよ!苦しぃなるくらい…あ〜ちゃんが好きなんよ!!」

普段の冷静さからは想像もつかない、何かを吐き出すように叫ぶかっしー。
こ、こわw。


と、ここで、教室の前からゴンと何かがぶつかる音。
…あ〜ちゃん、どっかぶつかったな。

「いだ〜…。」
て声もしてきて

ハッとした、かっしーの表情がみるみる変っていく。なんと言うか青ざめていく。
「あ、あ〜ちゃん?」
確認するかっしー。

その呼びかけに、そろ〜っとちょっとだけ顔を覗かせるあ〜ちゃん。
「あ、の。えっとぉ…。」
必死に考えてるけど、なんて言って良いか解らないみたい。

そうこうしてる内に、かっしーが勢い良く教室を飛び出して行ってしまった。
「あ!ゆかちゃん!うわぁ。」
ばっと、立ち上がるあ〜ちゃんだけど、足がしびれて動けないみたい。

「もう、何でもっとはよぅ出てきてくれんかったんよぉ。」
講義の意味をこめて聞いてみたけど、なんともショッキングな返答…。

折角、かっしーの気持ちが聞けるチャンスをぉ。なんて勿体ない。
最後しか聞いてないなんて…。


Side A
「もう、何でもっとはよぅ出てきてくれんかったんよぉ。」

「だって〜…。」
そう言われても…。
あれから、ずっと耳塞いでたんだもん。話し声は聞こえても、内容までは聞こえてない。

で、いきなり大きな音がして、なんだろうと思って、手を外したらゆかちゃんのアレ。
『…。苦しぃなるくらい…あ〜ちゃんが好きなんよ!!』

信じられなくて。体の力が抜けた拍子に教卓に頭を打ってしまった。
だってのっちは?あの話の流れは、のっちが好きって流れじゃなかったの?
私が耳を塞いでる間の内容が、さっぱり分からないから、チンプンカンプンで。
けど、今はとにかく、早くゆかちゃんの気持ちに応えたいよ。

「ホンマに、聞こえとらんかったの?」
「うん。」
そう返事したら、やたら落ち込んでるのっち。
「なんかぁ・・ごめんね?」
「いや、ぇえんよ。最後のあれが聞こえてれば。それであたしは報われるわ。」

「後は…あ〜ちゃんにバトンターッチ!」
そう言いながら、片手を上げてハイタッチのポーズののっち。
「やるの?」
「もち!」
満面の笑顔で答えられた。

「ん〜、よっしゃ!」
自分に気合をこめるのに、のっちとハイタッチを交わす。

「にしても、かっしーはどこ行ったんかね。」
「きっと、アソコじゃよ。」
「あぁ、あそこね?」

ゆかちゃんが何かあると行く場所。

ちゃんと伝えなきゃ。
あんなに苦しそうなゆかちゃんの声、初めてだったから。
大丈夫だよって…。
私も大好きだよって、伝えたいよ。


—つづく—






最終更新:2009年01月13日 11:31