アットウィキロゴ
Side K
何で何で?あ〜ちゃんずっと居たの?
どうしよう。あ〜ちゃんに聞かれた。
知られちゃいけないのに!

どうして、あんな風に言っちゃったんだろ。
いつもなら、もっと冷静に返せてたはずなのに。
それほどに、あ〜ちゃんはあたしに影響を与えてるんだ。
そんな自分に呆れてしまうほどだよ。

軽蔑されたかなぁ…。もう…あの笑顔見れんのかな…。

そう思ったら、全部どうでもよくなってきて、前のあたしに戻っていく気がした。
生徒会の準備室の隅で膝を抱えて、自分を闇へ落としていく。

……でも。

一度、光を知ってしまったあたしは、どこかで光を欲しがっている。
曖昧な心の闇を漂い出すと。

「ゆかちゃん…。」
声のした方へ顔を向けると、二人分のカバンを持って、少し緊張気味のあ〜ちゃんが立っていた。
けど、すぐに安心したように微笑んで話し出す。
「やっぱり、ココだったぁ。」

どうして笑ってくれるの?

「来ちゃダメだよ。」
歩き出したあ〜ちゃんにそう言って、また顔を伏せる。

「のっち帰っちゃったけぇ、一緒に帰ろ?」
「…いい。一人で帰る。」

何で、そんなに普通に接してくるの?何も聞いてないみたいに…。
あ〜ちゃんの考えが見えないよ。

あたしの横でしゃがみ込むあ〜ちゃん。
心配してくれてるのかもしれないけど。
「一人にしてよ…。」
「じゃあ、私、勝手にココにいるけぇ、気にせんといて?」


ホントに勝手だね。でも、本当は嬉しいはずのあたし。

「…こんなトコにいたら、襲っちゃうよ?」
自分でも冗談なのか、なんなのか解らない事を口走ってしまった。
「ゆかちゃんは、そんなコトせん。」
「…本気だったら?」
こんなこと言ってどうするんだろ?…いっそのことトコトン嫌われてしまえば良いのかな。

そんなイヤな考えが過ぎった瞬間に…。
背中に暖かい感触があって、ふわっとあ〜ちゃんの香りに包まれた。

何?

「ゆかちゃんは、好きな相手に嫌がる事なんて、出来んじゃろ?」
耳元で響くあ〜ちゃんの優しい声に、顔を上げるあたし。
あたしは、あ〜ちゃんに抱きしめられていて…

そして、さらに。
「それに…そんなコトせんでも、えぇしぃ。」
あたしの頬に掛かる髪をどかして、そこにあ〜ちゃんの柔らかな感触。
ダメだ、思考が追いつかない。

そのまま真っ直ぐ見つめるその瞳に、ただただ、あたしの鼓動が早まるばかりで…。

「私も、ゆかちゃん、大好き、だから。」
そう言いながら、またギュッとしてくる。

「ウソだぁ…。」
反射的に答えたけど、それ位…信じられないくらい嬉しい。
あたし…嫌われてないの?


Side A
見つけた。
私の大切な人。

近づこうとすると、拒んでくるゆかちゃん。
『一人にしてよ。』って言うけど、それは無理。
だって、この部屋に入ってきた時のゆかちゃんに一瞬、前のゆかちゃんがダブってしまったから。

私から遠ざかろうとしてたから。それだけはイヤ。
むしろ襲われた方がマシ。…や、ホントにされたくはないけども。

大体、ゆかちゃんはそんなこと出来る子じゃない。
けど、そこまで思わせちゃったのかなって、戸惑っちゃう。

でもね?ゆかちゃん。もう、苦しい思いなんてしなくて良いよ?
だって、だって私も…。

ゆかちゃんを抱きしめて、顔を上げたゆかちゃんの頬にキスをして、私の想いを伝える。
やっぱり、告白は恥ずかしいよぉw。ドッキドキの真っ赤っかだよw

なのにゆかちゃんは。
「ウソだぁ…。」
これだ。
それでも、さっきまでの感情の薄い反応じゃなくて、言葉に色が見え始めた。

「あ〜ちゃんは、嘘嫌いじゃ。」
「だ、だって!こんな根暗のどこがえぇんよ?」
自分で根暗って、ゆかちゃん…。

「う〜ん。根暗でも何でも、好きなんよ。自分でも良く解らん。
けど、どうしても理由がいるんだったらぁ…え〜っとぉ、ゆかちゃんじゃけぇ好き!」


Side K
ちょっと的外れのような、あ〜ちゃんらしい、その答え。

なんなんよ、その理由。全然理由じゃないじゃん。
そう思ったけど、その言葉であたしの中でグルグルに絡まっていた糸が解けた。
自分で絡めてしまった糸。

何でとか、どうしてとか、そう考えるのが悪いわけじゃないけど。
事によっては、そのままシンプルに受け入れた方が良いものがある。

それがきっと今なんだ。

「ずっと…側に居ても良いの?」
「うちら、両思いじゃろ?」
「…じゃね。」
「んじゃ、良いに決まっとるじゃん。」
最高の笑顔があたしを迎えてくれる。
ありがとう。あ〜ちゃん。

そうだ。あたし、まだ、ちゃんと言ってないや。たまたま聞かれたままになってる。

抱きしめられた状態から、あ〜ちゃんと向き合って。
「あ〜ちゃん。あたしにも言わせて?」
「ん?」

精一杯の気持ちを込めて。
「あ〜ちゃんが好きです。側に居させて下さぃ。」
ちょっと、最後が小さくなっちゃったけど、届いたかなぁ?

「…ゆかちゃん、…硬い。」

あれ?失敗?
「あの…、ダメ?」
少しオロオロなあたし。
「冗談じゃよぉ〜。そういう真面目なんも…好きじゃよ?」

ハニカミながら言うあ〜ちゃんに我慢できなくって。
何も言わずにあ〜ちゃんを抱きしめてて、急にしたもんだから、あ〜ちゃん大慌て。

「ちょちょっ、ゆかちゃぁん!」
「へへ♪あ〜ちゃんて気持ちいぃね。」
「ゆ、ゆかちゃ〜ん…。」
見えないけど、きっと困り顔してるんだろうな。

それでも。『もう…。』なんて言いながら抱きしめてくれる。

あたしの温かい、可愛い光。
自分が閉ざさない限りずっと照らしてくれてるって、解ったから。
やっぱり、あたしの居場所はココなんだ。
だから、これからずっと、側にいさせてね?

それから、のっちにもちゃんとゴメンとありがとう言わなきゃだね。


———数日後。

「なんか、いいね〜。見てて微笑ましいわぁ。」
腕組みをしながら、うんうんと頷きながらのっちが言う。

あれから、あたしは、時間さえあればあ〜ちゃんの隣に行って、ちょいちょい、ちょっかいを出している。
そんな、あたし達を見て茶化してくるのっち。

「別に、そんなことないじゃろ…。」
あ〜ちゃんは、茶化されるのは苦手みたいで、そっけない返事をする。
なんだけど、やっぱり照れるみたいで、ほんのり顔を赤くする。

「ぃんや。幸せオーラが漂っとるよ。」

それから、あ〜ちゃんも好きだって解ってから、自分でも驚くくらい甘えてしまうのを発見した。
「へへぇ。良いじゃろ〜。」
だから、今もあ〜ちゃんの腕に絡み付いちゃったりして。
また、顔を赤くするあ〜ちゃん。

「ひ、人前はダメ言うとるじゃろぅ?」
はは。照れてる照れてる。

かと思えば…。
「二人ん時に、いっぱいしよ?」
なんて、のっちに聞こえないように、耳元でぼそっと言われて。今度はあたしが真っ赤になる。

「なぁに、二人して赤くなっちゃってぇ。よそでやってくれんかねぇ。まったく〜。」
頭の後ろに手を組みながら、半分呆れたように言ってくるのっち。

のっちにも早く春が来るといいね。って言ったら。
「目の前の春が温かいけぇ、まだしばらくはえぇかな〜。」
だって。

そんなこと言ってたら、ずっと来ないよ?
だって、あ〜ちゃんとあたしはずっと春なんだから…。

なんて、恥ずかしくて、言えないけどね。


<居場所>fin






最終更新:2009年01月13日 11:40