Side N
寝ぼけながら電話をとると、あ〜ちゃんの爽やかな声。幸せな朝だけど、やっぱりまだ眠い。
『お早ぅ。のっち。一時間前だよ?』
「ん・・。ぅ〜ん。…オハヨ。」
『ちょっと、大丈夫?ちゃんと起きてる?』
「うん、大丈夫。起きてる…。」
とは言うものの、目は閉じたまま。
『…のっち?』
「ふぅん?」
返事と共に、あ〜ちゃんが大きく息を吸い込んだかと思ったら。
『こりゃぁあ!!!!』
ぅおっ!!!!!
思いっきり耳元で叫ばれて、さすがにガバっと飛び起きた。
『にへ。起きた?』
どこか満足そうなあ〜ちゃんの声。
はい、確かに起きましたともさ。でも…。
「あ、あ〜ちゃん…、それは反則でしょぅ…。」
『ごめんごめんw。だって、のっち二度寝しそうだったんだもん。』
「うぐっ。何も言えません。」
痛い所をつかれた。ごもっとも。
『ふふっ。じゃあ、また後でね。』
そう言うあ〜ちゃんに返事をして、電話を切る。
よ〜し。じゃあ、準備して出かけますか。
仕度も整って、ちょうど良い時間。
公園には、すでにあ〜ちゃんの姿があって。
公園に来ていた子供たちに混ざって遊んでいた。
あたしに気付いたあ〜ちゃんが、立とうとするのを止めて、あたしは携帯を出す。
「あ、待って待って?ちょっと撮っても良い?」
「うん!ほら、あのお姉ちゃんが、写真撮ってくれるって。」
隣にいる子たちにも声を掛けて、ポーズをとる。
「良いよ〜。」
「んじゃ、いくよ〜。」
声をかけてから、撮影ボタンを押すあたし。
ん〜ん。あ〜ちゃん、イイ顔してるわ。
撮り終わると、「次、変な顔で撮ろ?」っていう男の子。
その提案に、「え〜?」と言いながらも、すぐに賛成してるあ〜ちゃん。
こういう気取らないとこも良いよね。
「じゃ、皆好きな顔するんだよ?」
「は〜い。」
「のっち、合図ヨロシク。」
「はいは〜い。」
言われたように、掛け声をすると一斉に変な顔をして、思わず吹きそうになりながらボタンを押す。
終わると、わさわさとあたしの周りに集まってきて、「見せて見せて。」と子供たちがせがんでくる。
「はいはい。ちょっと待ってね〜。」
とりあえず、保存してと…。
改めて、表示してから、子供たちが見やすいようにしゃがみ込む。
「はい。どーぞ〜。」
携帯を渡すと、自分たちの顔に笑いながら、ケタケタ言ってる。
「ねぇ、ねぇ。あ〜ちゃんにも見せて〜。」
後ろから覗き込んできた〜ちゃんに、ドキッとした。
だって、近いよ!
隣にしゃがむあ〜ちゃんに、あたしの携帯を見せてくる子供たち。
「うははw。皆、良い顔してるねぇ〜。」
楽しそうに笑うあ〜ちゃん。うんうん。こっちもイイ顔してるよ。
かと、思ったら。「あ。」と言って、時計を確認するあ〜ちゃん。
「やば!のっち遅れちゃうよ!」
ん?あ!そうだよ!
カラオケ行くんじゃん、あたし達。
「ごぉめんね〜。皆〜。あ〜ちゃんたち、行かなきゃ。」
「え〜、行っちゃうの?もっと遊びたーい。」
「また今度。ね?」
パンと顔の前で手を合わせて、子供たちにお願いしてる。
「じゃあ、また今度ね?」
「うん。ありがとう!えへへ♪」
あ〜ちゃんは名残惜しいみたいで、見送ってくれる子供たちに、何度も手を振って公園を後にする。
「やっぱり、ちっちゃい子って可愛いね〜。」
「うん。それに面白い。」
「変顔は良かったわ。あ、のっち、アレ後で頂戴ね?」
「うん。」
ちょっと、公園に長居してしまったので、後半は少し走る破目になってしまったけど。
何してても、ずっと楽しそうなあ〜ちゃんが見れて、あたし的には満足かな。
Side K
ついに、来ちゃった。やっぱり、少し緊張するよ。
カラオケの場所に着くと、見覚えのある子達がいた。
いつもあ〜ちゃんと一緒にいる子達だ。二人は私に気が付いて声を掛けてくれる。
「あの、樫野さんですよね?」
「あ、はい。」
「もしかして、今日は大本さんと一緒ですか?」
「うん。そうだよ?」
そう言うとなんだか嬉しそうな二人。
あ〜ちゃんとのっちはまだなんだぁ。
家近いって言ってたから、一緒にくるかな。
まさか、のっち寝坊してるとか…。ま、あ〜ちゃんいるから大丈夫だろうけど。
と、向こうから走って来る二人の姿を見つける。やっぱり一緒だ。
あ〜ちゃんが後ろののっちに手招きして、『ほらほら、皆来てる。』なんて言ってるんだろうな。
のっちは『もう疲れた。』みたいな感じで付いてくる。でもどこか嬉しそうで。
いつの間にやら、仲良くなってるみたいで、のっち良かったね。
あ〜ちゃんは、友達のほうへ近づいて。
「おまたせぇ〜。ギリギリ?まだギリギリ遅れてない?」
「「セ〜〜フ。」」
振り付きで、さっきの二人が返事する。
「ふぁ〜、何か疲れたよ〜。」
フラフラと私の方へやって来るのっち。
「のっち寝坊?」
「してないよぉ。」
「めっずらし〜。もしかして、あ〜ちゃんに起こしてもらったとか?」
「え?何で知ってるの?」
「…私、聞いただけなんだけど。」
あ。って顔をして、赤くなるのっち。
もう、のっちのこういう反応可愛いんだよね。
「じゃあ、何で走ってきたのよ?」
「えっと、公園で待ち合わせして、そこに居た子供たちとちょっと戯れてたら、遅くなっちゃって。」
まだ照れた顔で答えてくる。
「ふ〜ん。そっか。あ〜ちゃんちっちゃい子好きだもんね。」
ホント、変ってないんだね。ほんの数ヶ月なのに、そんな風に思ってホッと安心する。
「お〜ふた〜りさん?」
あ〜ちゃんがピョンとやってくる。
「ぁ、あたし、先行ってるよ。…うん。」
気を遣ったのか、ぎこちない表情でのっちは先に二人と中に入って行ってしまい。
私は、あ〜ちゃんと二人になった。
—つづく—
最終更新:2009年01月24日 20:58