◇A-side◇
今日はのっちの誕生日。
夕方、ゆかちゃんと二人でのっちの家に向かう予定。夜中の12時ちょうどにお誕生日おめでとうメールをしたら、すぐに返事が返ってきた。
『ありがとう、夜楽しみにしてるね』
凄く簡潔でのっちらしいメール。のっちは夜行われる誕生日パーティーを楽しみにしてるんだ。
なんとか二人で材料を持ち寄り、完成したシンプルな苺のショートケーキ。生地が薄いから、大量の生クリームでカバー…出来てんのかな?
まぁちょっとアレだけど美味しいケーキが出来た。きっとのっちも喜んで食べてくれるはず。
◇N-side◇
そろそろ二人が来る頃だ!
今日は朝からテンションが高くて、珍しく部屋をピッカピカに掃除してみたり。夜行われるパーティー?用のジュースとお菓子を買いに行ったり。
——ピンポーン、
チャイムが鳴った。
「キターッ!」
のっちは階段を駈け降りる。バタバタとスリッパの音がうるさいけどどうだって良い。
扉を開けると、二人が笑顔で立っていた。
「「誕生日おめでとうー!」」
パーンと鳴り響くクラッカーの音にビックリして、のっちは尻餅を付いた。
◇K-side◇
のっちの部屋でハッピーバースデーを歌って、オレンジジュースで乾杯して、ケーキをお披露目。
「うわー凄い!美味しそう!」
本当のプレゼントはゆか達だけど、さすがに手ぶらで行くのは不味いだろうと言うあ〜ちゃんの提案で、今朝、急遽ケーキを作る事になった。
生クリームたっぷりの苺のショートケーキに、のっちは大喜びだ。
「二人共ありがとうね、のっちの為に」
のっちは満面の笑みでゆか達にそう言った。あ、可愛い。
あ〜ちゃんが綺麗にケーキを切り分け、のっちは切り分けられたソレを口に運んだ。
「うめぇ!」
美味しそうにパクパク食べるのっちを見て、こっちも嬉しくなった。あ〜ちゃんと目を見合わせて微笑んだ。良かったね、って。
さてと、そろそろ本題に入るとするか…。
「のっち、誕生日プレゼントなんじゃけど」
ゆかがそう言うと、あ〜ちゃんは「まだ早いじゃろ」とゆかにしか聞こえない声で呟いた。
あ〜ちゃんの顔を見ると、真っ赤で涙目。まだ早いとか言って、本当はあ〜ちゃん恥ずかしいからちょっと嫌なんだ。
そんな奥手なあ〜ちゃんを、ゆかがリードしてあげなきゃね。
◇N-side◇
プレゼント何かな?
二人が選んでくれた物だったら何だって嬉しいな。ドキドキワクワクが止まらない。
にっこり微笑むゆかちゃん、あ〜ちゃんはさっきからモジモジしてる。どうしたのかな?
「プレゼントは、ゆか達だよ」
……え??
大きな苺が、ケーキの上から滑り落ちた。それがやけにスローモーションに感じた。
「ゆか達って…それって、つまり…」
フォークを持つ手がカタカタ震える。ゆかちゃん今、とんでもない事を言い放ったよね?
ちょっとエッチな漫画でそーゆーのあったよ。超羨ましいなと思ったよ。二人してくんないかなぁと妄想してニヤニヤしてたよ。
だけど、そんな妄想が今、現実になろうとしている。
うぅ…ううぅ…。
のっち…今なら死ねる…!!いやまだ死んじゃダメか…!!
◇A-side◇
あぁ…ゆかちゃん言っちゃった…。
ゆかちゃんの言葉を聞いたのっちは放心気味。のっちの事だ、これに託つけてエッチな事をたくさんしてくるに違いない。
ゆかちゃん、それを分かってて言ったんじゃろ?やっぱり、ゆかちゃんはエッチじゃ…。
のっちもエッチでゆかちゃんもエッチ…なんかあ〜ちゃんだけ仲間外れ?
「すー…はー…」
のっちの顔が赤い。そんな真っ赤な顔をしたのっちは深呼吸を繰り返す。
「のっち、プレゼント、いらないの?」
ゆかちゃんの挑発的な発言に、のっちはビクッと反応して、大きな目をさらに大きく見開いた。
「い、いるに決まっとるじゃろ!」
そう叫んだのっちの眉毛は綺麗なハの字。これは冗談なんかじゃない、真剣な時の表情。
「じゃあ、」
ゆかちゃんの手が、あ〜ちゃんの肩に回された。そして抱き寄せられる。
ゆかちゃんの細い腕の中に収まったあ〜ちゃんは、のっちとゆかちゃんを交互に見た。
のっちはもう既に興奮している。そんなのっちを見つめるゆかちゃんは、まるで誘っているみたいな表情。
ゆかちゃんは小悪魔だ。こんな駆け引きなんて、ゆかちゃんには容易いのだろう。
「ゆか達を受け取って?」
「は、はいっ!」
激しく頷くのっちは、まるでゆかちゃんの飼い犬みたい。あ〜ちゃんにも、こんな駆け引きが出来たらなぁ。
「頂きます」
あ〜ちゃん達の前に来たのっちは、合掌してそう呟いた。
甘い甘い生クリームの香りが、鼻をくすぐった。
◇2-17:End◇
最終更新:2009年01月24日 21:47