k-side
突然のことに
コトバがでてこない。
なんで
なんで
なんで
のっちがいる。
鼓動が狂いだす。
昨夜の出来事が
フラッシュバックする。
あんなことしておいて
どんな顔をすれば、いい?
カラダは自然と逃げることを選んだ。
n-side
不確かな確信をもって向かった
その場所、に
ゆかちゃんはいた。
声をかけると
黒目がちな瞳が
のっちを捉え
そして
時間が止まった。
ん?
そう思った瞬間
ゆかちゃんが
逃げ出すそうとするから
すかさず
腕をつかんで、確保。
逃がさないよ?
ゆかちゃんはしばらく
どうにかのっちから逃れようと
じたばたしていたけど
観念したようにおとなしくなった。
「…座って、話そ?」
ゆかちゃんは、俯いたまま
コクリと頷いた。
並んで腰をおろす。
目の前に広がる海原は
きらきらと光ってまぶしいくらいだ。
「…な、、んで・・?」
今にも消え入りそうな声でゆかちゃんが呟く。
「ん?」
「…ここ・・に・・・」
「あぁ、、なんとなく、直感?
ゆかちゃん、ここの風景好きじゃん?
二人でも、何度か来たよね。
それって決まって、なにかあるときだったな、って」
ツライことがあっても
ここにくると、全部飲み込んでくれるような気がする。
きみがふと、
漏らしたことがあるセリフ。
ゆかちゃんにとって
きっと、大切な場所。
そして、のっちにとっても・・
この場所で、きみと過ごした時間。
どれだけのことに気付かされただろう。
ねぇ、ほら、、、今だって。
自分のキモチははっきりとしてる。
でも、ゆかちゃんのキモチがみえない。
どうしたら、ココロのうちを
見せてくれるのだろう。。。
k-side
「・・・なんか、あった?」
そう問われても
あたしには、紡ぎだせるコトバが見つからない。
「・・・昨日、泣いて、た、よね?
それに…、ころして・・って?・・・」
二人の間を
波の音が通り過ぎていく。
なにか、言わなきゃ。
でも、なにを?
取り繕う、、か?
それとも、、、、本心?
揺れるココロは
寄せては引いていく
波のようだ。
でも、のっちへの想いは
引くことを忘れたかのように・・・
うぅん、
引くことなんて知らないように
どんどんと
満ちてくるばかりだ。
そっか
こんなにも苦しいのは
のっちへの想いに
溺れているから、だ。
んー・・・
変な唸り声をあげるのっち。
おそるおそる、顔を上げて
のっちのほうを見ると
眉をハにして
頭をくしゃくしゃしてる姿があった。
普段、コトバが少なめなのっちが
懸命に、コトバを選んでるときの表情。
ゆかのお気に入りの
のっちの一面。
「・・のっち、そんなに、、、頼りにならんかな?」
えっ?
「うん、ま、、、そうかもしれんけど・・・
それでも、のっちは、いつでも
誰よりも、ゆかちゃんの味方じゃけぇ。
できる限り、力になりたいと思ってる」
「なにが、できるかなんてわからんけど・・
なんも話してくれんのは、、、悲しいよ」
ダメ、、、
ダメだよ、のっち・・
「頼れる存在だなんて、、、思ってないけど
のっちは、ゆかちゃんのためなら、
なんだってするけぇ。
なんかあるなら、言って、、、よ?」
もう昨日を繰り返させないでよ。
ゆかを、もう
コントロール不能にさせないで・・・
—ダメだって!
さっきから、何度も自分に言い聞かせる。
けど
涙が溢れ出てきて
さっきまで耳に響いていた波の音も
どっかにいってしまった。
えっ?
のっちのあったかな手が
ゆかの髪を撫で
「泣かんでよ」
やさしい声が、耳へ
そして
頭ん中に響いて
最後の砦は
いとも簡単に崩されてしまった。
「・・・のっちぃ、、、、好き、、なの・・・・」
とうとう吐き出してしまった一言。
決して伝えることはないと決めていた想い。
あたしの髪を撫でるのっちの手が止まる。
思い出したかのように
規則的な波音が
耳に響き始めた。
怖くて、顔を上げられないあたし。
もう後戻りできなくなった。
「…ゆかは、のっちのことが、、、好き」
精一杯の声を振り絞り
乗せても乗り切らない想いを乗せ
“好き”と呟いた。
すると
のっちの手が
髪をつたい、肩をなで
あたしの、震えた指先にたどり着く。
えっ?
ぎゅっと握り締められる感覚に
戸惑い、顔を上げた瞬間−
あの日と同じ場所に
ゆかの頬に
あの日よりもやさしく
のっちの唇が落とされた。
再び波音が遠くに消えていく。
「のっちも、ゆかちゃんが好きだよ」
のっちしか見えなくなった。
「ゆかちゃん、、、のっちと付き合ってよ」
一瞬、あの日の夢を見てるんじゃないかって思った。
でも違う。
あの日、のっちは
“好き”だとは言ってくれなかった。
けど、今ははっきりと
“好き”
そう言ってくれた。
のっちが、、、、ゆかのことを、、好き?
うそだ、、、そんなの絶対ありえない。
「うぅ・・・・っ、んで、そんなこと、、言うん・・」
「なんでって・・」
「…信じんもん、、、そんなコトバ・・・」
「・・ほんとに、好きだよ?」
うそだ。
だって、ゆかの手を握る
のっちの、その指には
意地悪く光る指輪。
涙で歪む視界でも
それは、憎いほどはっきりと見える。
「っ、ゆかは、、本気のほんとに、っ・・
のっちが、好き・・・じゃけぇ・・・」
どんどん溢れる涙とは対象に
ノドにひっかかって、うまくでてこないコトバ。
「トクベツ、じゃ、、なきゃ、、、ヤ、なの—
っ!?
のっちの唇がゆかのに重ねられる。
二度目はないと思っていたキス。
昨日よりもリアルに感じるのっちの体温。
そっと離れる唇。
あまりの衝撃で
涙が止まったゆかの瞳を覗き込む
のっちの真剣な眼差し。
「ゆかちゃんは、のっちのトクベツ、じゃ」
本気の表情だ。
うぅん。
そもそも、のっちは嘘をつくような人じゃない。
でも、、、、
「じゃぁ、、、これは、、、どうするん?
てか、なんなん・・・」
わけがわからなくなって
思わず、指輪を指差して
戸惑いが口からこぼれた。
すると、のっちは
あぁ、、これのせいかって
ナゾが解けた子どものような表情を浮かべ
「これはね、そんなんじゃないんだ」
そして
“賭け”をしてたんだよね
と呟いた。
最終更新:2009年01月25日 18:36