のっちの隣から聞こえてくるのはぐすぐすと鼻を啜る音。
今日は雨だから家で映画でも見ようか、なんて提案したのが悪かったのか。
(…どうしたらいいんよ)
さっきからあ〜ちゃんは引っ切り無しに涙を零してはティッシュを手に取り、鼻を啜ってはティッシュを手に取り。
…なんでDVDを選ぶ時根負けしちゃったかなぁ。あ〜ちゃんには悪いけど、のっちには韓流映画の良さというものがイマイチ理解できない。
『君を離したくないんだ…僕の傍にずっと居て欲しい』
なんてキザな台詞なんだろう。歯が浮くとはこういう事なんだなぁ、なんてぼんやり考えた。
ふと、服の裾が引っ張られる。見ると、あ〜ちゃんの手が裾を掴んでいた。
(…な、いきなり何!?)
急に心臓が早鐘をうつ。なんという不意打ち。
なんて、ドキドキしながらあ〜ちゃんを見た。
あ〜ちゃんは相変わらず涙の筋を幾つも頬に作りながら、でも真剣に画面に見入っている。
その横顔が綺麗で、なりふり構わず抱きしめてしまった。
…もし、のっちがさっきの台詞を言ったとしたら。
ねぇ、あ〜ちゃんはそうやって涙を零してくれるのかな?それとも絶交じゃけぇなんて言って、のっちの事嫌いになるのかな?
「…のっ、ち?」
「あ〜ちゃん…」
腕の中であ〜ちゃんが固まってる。
そりゃそうだ。だって前触れもなくこんな急に抱きしめられたら、誰だって困惑するよね。
でもね、伝えたい事があるんだよ。あ〜ちゃんにたくさん、言葉にならない伝えたい事があるんだ。
言葉にしたって、想ってる事の何分の一…いや、何十分の一だって伝わるかどうか分からないけど。
「…ずっと隣にいさせて下さい」
韓流映画みたくキザな台詞を顔を見て言えないし、照れ臭いから愛してるなんて到底言葉にできないけど、あ〜ちゃんを誰よりも一番に想ってるよ。
腕の中で頬を赤く染めたあ〜ちゃんに、この気持ちが痛いくらい鳴ってる鼓動で少しでも伝わってますように。
END
最終更新:2009年01月28日 20:31