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  • side K-


『………。』

眠りから目を覚ますと、天井の真っ白が視界にぼんやりと広がった。

…?


昨夜目覚めた時同様、自分の右手が誰かに繋がれているのに気づいて、ゆっくりゆっくり視線を辿る。

繋がれている指先…
細い手首…
引き締まった腕…
少し広い肩…

大きな…瞳…。


『っ……!』


  • side N-

家を飛び出し、私が向かったのはゆかちゃんの病院だった。
病室を教えてもらい、廊下をズンズン進む。

………。

ふと立ち止まる。

…会ってどうしたい?
ゆかちゃんは、誰のせいで意識を失っているの?

何も考えず無我夢中で病院にやってきた。
ゆかちゃんを目の前にする直前で、突然冷静になる私の頭。


『…のっち!』

その時、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。

『こんな朝から…来てくれてありがとね。』

ゆかちゃんのお母さんだった。

「いえ…。」

疲れきったおばさんの顔を見て、来てはいけなかったという気持ちがさらに強くなった。

『一応今日の夕方退院するから。ほんとに…一体何が何やら…っ…。』

え…?
ゆかちゃん、意識…なくなったんじゃないの?

『こんな大切な時期に…ふたりに迷惑かけて本当にごめんね…。』

「…いえ……。」

『ゆか…まだ眠ってるんだけど…顔見てってあげて?こっちこっち…入って。』

私はおばさんに言われるがまま、病室へと入った。

「………。」

眠りについているゆかちゃんを目にする。

『私まだご飯食べてなくて。良かったらゆかについててあげてくれないかな?』

ゆかちゃんのお母さんはそう言って病室をあとにした。


ベッドの隣にあるイスに座る。

『ゆかちゃん…また意識なくなったんよ…。』

あ〜ちゃん…嘘ついたんだね。
胸がキュッと締め付けられた。

『ん…んん…。』

ゆかちゃんがかすかに声を出し、顔を私の方に向ける。
私は思わず手を握りしめていた。


  • side K-

私の手を握りしめていたのは


のっちだった…。


愛しい人を見つけ、私の目はみるみる涙が溢れる。

『はっ…はぁ…はぁ…。』

胸が熱い。
うまく…息ができない。

そんな私を、のっちは何も言わず優しい目で見つめていた。


『…はぁ…、っち…はぁ…。』

私は体を起こし、手を引き寄せのっちを抱きしめる。
そしてそこにのっちがいるということを確かめるかのように、
頭、頬を撫でた。

『のっ…ち…のっちぃ…はぁ…。』

鼓動がどんどん早くなる。
体中が熱を帯びる。

『ん……んん…。』

私はのっちにキスをした。
舌で唇をつつくと素直に薄く開かれ、自分の舌をのっちの舌に絡ませようとする。

『んん…。』

でも、その舌はうまく絡まってはくれない。
いや、のっちは舌を絡ましてはくれない。
一瞬キスをやめ、のっちの顔覗き込む。

…とてもとても優しい目をしていた。


何で…
何でよ…

『ん…はぁ…。』

私は再びキスを再開させる。
舌を入れ、のっちの口内を私でいっぱいにさせる。

でもどんなに私でいっぱいにしても、のっちは顔色ひとつ変えない。

ねぇ何でよ…
のっち…
…あの目でゆかを見て…。
あの冷たい視線を、ゆかにちょうだいよ…

『んっ…はぁ…はぁ…。』

私はのっちの耳を甘噛みし、そのまま首筋に吸い付いた。

のっちは私にされるがまま。
甘い吐息ひとつも漏らしてはくれない。


ねぇのっち…
ゆかをいじめてよ…


私はベッドからおり、そのままのっちをベッドに押し倒した。

『のっち…のっちぃ…はぁ…はぁ…。』

胸を揉み、キスをする。
のっちは相変わらず優しい目のまま、私を見つめるだけ。

『何でっ…何で…はぁ…はぁ…。』

ねぇのっち…
ゆかをめちゃくちゃにしてよ…

だけどのっちは抵抗もしなければ、私を求めてくることもしない。

『はぁ…のっちぃ…。』

私は自分の両足でのっちの太ももを挟み、一番感じるところをこすりつけ快感を得ていった。

『あっ…、はぁん…んん…のっち…。』

のっちの首筋に何かが垂れる。
…私のよだれだった。


ゆかは……
今のゆかは…
人間ではない…。

『あぁぁ…はぁっ…。』

のっちがほしくてたまらない。

『んっ…のっち…好きぃ…あぁっ…。』

ねぇのっち…
足りないよぉ…

その時、ドアが開く音がした。

「ちょ、ちょっと…!」

聞き慣れた声だった。

『あぁっ…のっち…のっちぃ…。』

だけど…今の私にはのっちしか見えない。

「…ちょっとゆかちゃん!やめなよ!!!」

私はその声の主に、のっちから引き剥がされた。

「何…してんのよ…。」


  • side A-

朝起きて、私はまず病院に向かった。

お願いのっち…来ていて…。
そんな思いで、私はゆかちゃんの病室のドアを開いた。

『はぁ…のっちぃ…。』

私の目に飛び込んできたのは、とんでもない光景だった。

「ちょ、ちょっと…!」

私が制止しても、ゆかちゃんの耳には全く入らない。

「やめなよ…!」

私は思わず力を入れてゆかちゃんをのっちから引き剥がした。

『はぁ…はぁ…。』

体を離してもなお、息を荒げたままのっちを見つめるゆかちゃん。

「………。」

初めて見るゆかちゃんの表情に私は言葉を失った。

のっちは体を起こしベッドに座る体勢になり、乱れた服を直す。
ゆかちゃんは、まだ頬を赤くしはぁはぁとそんなのっちを見つめていた。


もしかして…狂っているのは…
本当はのっちではなく、ゆかちゃんなの…?


(続く)






最終更新:2009年01月28日 20:38