「——で?」
「え?」
「え?じゃなくて。なんなんよ?わざわざオフの日にこんなとこ呼び出して」
「あ、いや、その、あの、ですね」
「たいした話じゃなかったら…わかるよね?」
ゆかちゃん、ニコニコ微笑んでるけど目が笑ってないですから!
なんか黒いオーラとか色々出ちゃってますから!!
いや、まぁそれは置いておいて。
今日は久しぶりのオフ。
普段なら昼過ぎまで寝て、起きてからも自宅に引きこもってゲームと漫画に没頭するのっちだけれど、今日は珍しく真っ昼間から雑誌に載ってそうなちょっとお洒落なカフェにいた。
向かいには先ほどから黒い笑みを浮かべたゆかちゃんがじっとこちらを見詰めている。
ひぃっ!こ、恐いよ〜。
何故ゆかちゃんがここにいるのかと言うと、…あたしが呼び出したんだけど。
ゆかちゃんが言った通り、毎日仕事で会ってるにもかかわらず、貴重なオフにわざわざ彼女をこんなとこに呼び出したのには理由がある。
そう、今日はゆかちゃんに大事な相談があるんだ。
「ゆかちゃん、あのね?」
「うん?」
「実は相談があるんよ」
「相談?なによ改まって?」
「どうしてもゆかちゃんにしか話せんことなんよ」
「なに、照れるじゃんwで、なんなん?その相談って」
一つ深呼吸をしてから、のっちは再び話し始めた。
「どうやったらあ〜ちゃんはのっちにもっとデレてくr「のっち?」
「へ?」
「ゆか言ったよね?たいした話じゃなかったら…」
「ご、ごめんなさいっごめんなさいっ」
先ほどとは比べものにならないくらいどす黒い空気を放つゆかちゃんの笑顔を直視してしまったら、ヘタレのっちはもう何も言えんけぇ…。
ゆかちゃん恐し!!
「ゆかにしか話せんって言うからなにかと思えば………ハァ」
そ、そんなあからさまな溜め息吐かんでよ〜。
流石ののっちもヘコんじゃうよ〜??
眉を八の字にしてしょぼくれていると、ゆかちゃんは「反則じゃろ」と苦笑い。
「それで?ゆかにどうして欲しいんよ?」
のっちの表情がパッと明るくなる。
「聞いてくれるの??」
「あんたのその眉には敵わんわ、もぉ…可愛過ぎ」
「ん?なんか言った?」
「なんも言っとらんよ。ゆかは何をすれば良いん?アドバイスとか出来んよ?」
「えっとね、それはまぁ良いんだ」
本当はアドバイスもして欲しかったけどね。
「実はあ〜ちゃんをデレッデレにする作戦はもう考えてきたんよ」
「へぇ〜、どんな??」
あ、ゆかちゃんノッてくれてるみたい。
思い付いた悪戯を実行する前の子供みたいに楽しそうだ。
単に面白がってるだけのようにも見えるけど。
煩そうにしていても、なんだかんだでこうして協力してくれるゆかちゃん。
「やっぱゆかちゃん大好きじゃぁ!」
「は!?もう…あんたはなんでそんな恥ずかしいこと平気で言うんよ」
だって今この瞬間、本当に大好きだなぁって思ったんだもん。
「…そんなん言うんだったらもう協力してあげんけぇ」
「ぅえ!?なんでっ??のっちなんかした!!?」
「もぉ知らん」
そう言ってプイッとそっぽを向くゆかちゃん。
「えぇっ?ちょ…ゆかちゃんってば〜」
「知らんったら知らん」
何度名前を呼んでみてもこっちを向いてくれない。
いきなりワケわからんよぉ。
「のっちのアホぅ…」
そう呟くゆかちゃんの頬は何故かほんのり紅く染まっていた。
(続く)
最終更新:2009年01月28日 20:45