今日は、あーちゃんが風邪でお休み。
体育が終わって、私たち2人は歩いて売店へ向かう。
コーヒー牛乳は1つしかなかった。
そのままゆっくり、屋上へ向かう。
「コーヒー牛乳、はんぶんこね」
と、のっち。
「もちろん」
「これであーちゃんがおったら大変じゃ、独り占めされとるよ」
「あーちゃん大丈夫かね、2日も休んどるけど」
「意外と病弱じゃけんね、あの子は」
「意外とって」
2人は顔を見合せて笑う。
屋上についた。くもり空で何となくじめっとした空気。
「そろそろ梅雨じゃねぇ」
のっちは体育座りをする。その隣に座りながら、
「そしたら、ここにもあんま来れんようなるよ」
そう私が言うと、のっちは、
「やだやだぁ」
と、私に寄りかかってくる。
ほんのりとシャンプーのにおい。
なだめるように、私はのっちの頭をなでる。
のっちは私の肩に頭をのせたまま、
「ずっとさ……」
と、何かしゃべりかけてやめた。
「ん?」
私はのっちの頭に、自分の頭をくっつける。
いつもより元気がないのは、あーちゃんがいないからかな?
そんなことを思っていると、のっちは言葉を続けた。
「ずっと、こうしていたい」
私は少し驚いて、その心の揺れが体を通じてのっちにも伝わったみたい。
のっちは頭を離した。
最近よく、のっちと目が合うなぁと思っていた。
私自身、のっちのことが好きでたまらない時期があって、つい見つめていたことが
あったけど、そのときみたいにのっちとよく目が合った。
気のせいかな、と思っていたけれど、どことなく、抑えていた熱いものが
こぼれはじめているような気がしていた。
一瞬の間に、いろんな思いが心を駆け巡って、無言になる。
のっちも、黙ってる。
お互いに何かを感じて、何かを抑えている。
のっちと目が合う。
永遠かと思われるほど長く見つめあう。
押さえつけていた熱い想いが言葉となって、口から出てしまいそう。
苦しい……。
限界に達しそうになったそのとき、
私の手がコーヒー牛乳の紙パックにふれた。
ひんやりとした感触が、私の体温を奪い去る。
私は自分から目をそらした。
立ち上がってストローをさしながら、金網のそばまで歩く。
後ろからのっちの視線を、感じる。
コーヒー牛乳を一口飲むと、気持ちが落ち着いた。
振り向いて、私は言った。
「ずっとずっと、私たち3人は、一緒だよ」
のっちは、とても複雑そうな顔をしていたけれど、しばらくしてうなずくと、
私のそばまで来て、コーヒー牛乳を飲んだ。
それからは、とりとめのない話をして、笑って、チャイムが鳴るのを待った。
最終更新:2008年10月10日 14:12