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(K)

もう隠さんでいいんじゃ
そう思ったら止められなくなった

言いたくて仕方なかった言葉を
のっちに浴びせる

のっちはまゆをハの字にしてゆかを見るけど
それにどういう意味が込められてるのかは分からないけど


ゆかは、感情を抑えることができなくなっていた


「もう、好きしか言えん…」
そう呟いたが最後、
ゆかを見つめてたのっちは、
目線を下に落としてしまった


やっぱり困るよねこんなん…


落とした目線はそのままで
のっちは口を開いた


「…のっちは、ゆかちゃんに何をしてあげれるんかな、?」


「なんかしたいこと、ある?」
その言葉にびっくりして、
のっちの頭のてっぺんを見たまま一時停止してしまう

したい、こと…?
のっちは、何を言い出したんじゃろ
そんなん、いっぱいあるよ
でもそれは…


「なんか、ない?」
ぱっと顔をあげたのっちと目が合う
大きな瞳にはゆかがうつる


したいこと…
欲にまみれたものしか出ない自分に嫌気がさす
けど、


「……手、繋ぎたい」
「うん」
「だ、抱きしめて欲しい」
「うん」
「…キス、した…い」
「……うん」

最後のを言った後、
急に恥ずかしくなって後悔する

ゆか、何言ってんの
そんな事までできる訳、
「わかった、しよ?」

のっちの言葉に耳を疑った


「え…?」
「ゆかちゃんのしたいこと…全部しようよ」

一気に体温が上がる
この人何言ってんの!

「全部って、」
「全部だよ。さっき言ったの全部。」


…なんで…?


「…なんでよ、なんでそこまでしてくれんの…?」


のっちはちょっと困ったような顔をして、言う


「…大事じゃけえ」


「のっちでゆかちゃんが満たされてくれるんなら、
どんな事でもやりたい」


ダメだよのっち
そんな事言ったら…だめ

分かってる。のっちはゆかのことを
恋愛対象としては見ていない

その証拠に、のっちは1度も
…好きだとは言ってない


仲間だから、親友だから、大事なんだ


だからこんなに優しいんだ


わかってるよそんなこと
のっちのこの言葉に従ってしまったらダメだって

でも

「本気なん…?」
「…うん、」

ずっと、ずっと大好きな人

ずっと、触れ合いたくてしょうがなかった人


ゆかは、このチャンスを逃す方法を知らないふりして
のっちとの距離をつめた


「手…繋ごっか」
そう言って手を出すのっち

嘘みたいに思う
この手は今、ゆかのために開かれてるんだ

自分の手が汗ばんでいるのに気付いて
服の袖でさっと拭った

それを見たのっちは、
拭かんでもいいじゃんって、ふふっと笑った



そっと、重ねるとぎゅっと握りしめてくれる
同時にゆかの心臓も、バカみたいにきつくなる


伝わる体温が、
もっともっとって欲張りにさせる


「指…」
「え?」
「指絡めるやつ、していい…?」
「…いいよ」

のっちの手に少し力が入るのがわかった


(N)


うわぁ…っ、


指と指の間が擦れ合う
ゆかちゃんの指が
のっちの指の間に入り込む

なんかすごいくすぐったい

するする滑って、がっちりと合わさりあう
…さっきのと、全然違う
やばいこれ

手は今まで何度も繋いだ事がある

けど、状況と空気が違うだけでこんなに違うんだ…


「…」
「…」
つい無言になってしまうと

ゆかちゃんの親指が、のっちの親指のつけね辺りをなでてきた


思わずにぎる手に力が入る


「…のっち?」
「はっはい!」
「手、あったかいね」

下をむいて、恥ずかしそうに言うゆかちゃんに


ガンっと、頭を殴られたみたいな衝撃が走った


…だめだ、やばい、だめだ


「ゆかちゃん…!」
気付けばのっちは、空いてる右腕で
強引にゆかちゃんを抱き寄せていた


(K)

繋いだ手は絡んだままで
ゆかはのっちの腕の中にいた


「…」
何も言わずゆかを抱きしめてるのっち

突然のことに、頭が上手く働いてくれない


今ゆかは、のっちに抱きしめられてるんだ


その事実だけが頭ん中をいっぱいにする


「ゆかちゃん」


「ごめん、のっちおかしいかも…」
そう言ってまた無言になるのっち


のっちをこんな風にした原因はゆかにあるんだ
と思ったら、泣きそうになった


そろそろと、空いてる左腕を
のっちの背中に回した


服をくしゃっとにぎりしめると、
それに応えるみたいに、のっちの腕も強くなる


「…のっちぃ」
「…ごめん」
「なんで謝んの?」
「…知らん、分からん」
「ふふっ何それっ」
「…」
「のっち…いい匂いするんだね」
「…!も、そんなんいいから、」

ぱっと体を離されてしまってから、自分の言葉に後悔した
もっとずっと、くっついてたいよ


「ゆかちゃんも…いい匂い、する、じゃん」


まゆをハの字にしたのっちは
泣きそうな顔でそう呟いた

その姿に、その声に、
気持ちが一気に高まる


ありえないほどの心臓の乱れは
そのままゆか自身の乱れにも繋がってしまった…
最終更新:2009年02月12日 14:06