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今日ののっちは少し様子がおかしかった。

ボケーっとしてるのはいつものことなんだけど、
いつも以上に心ここにあらずというか。。


「今日ののっち、なんか変じゃない?」
「そうじゃねぇ・・・」


それはゆかちゃんも感じていたようで。


当ののっちは楽屋の隅っこで漫画を読んでいる。

だけど、いつもみたいに読みふけっているのではなく、
何か違うことを考えているみたいにページをめくる手は遅い。


「やっぱり変じゃ・・・」



その後の仕事ものっちは上の空で、

人の話は聞いてないわ、噛みまくるわ、
挙句の果てには自分の名前まで間違いよった。

これで何度目だと思っとるん?

もう、ありえんわ。


*****


「お疲れ様ー」
「お疲れ様でーす」


スタジオを出て、いつもの車に乗り込む。

いつものっちが座る後部座席には荷物が積んであり、
のっち、あ〜ちゃん、ゆかちゃん順に3人並んで座ることになった。


「のっちぃ、今日はどうしたん?」

様子がおかしい原因を探ろうと、のっちの方を見ると
すでに静かに寝息をたてていた。

「うっそー。もう寝とるよ、この子は」
「最近、忙しかったけぇ・・・疲れとったんじゃねぇ」

そういうゆかちゃんもなんだか眠そうだ。

いつもより少し長い移動距離と溜まった疲れもあってか
私もゆかちゃんも話しているうちにだんだん眠気に身を任すように
いつの間にか眠ってしまっていた。


*****


肩にかかる重みを感じてぼんやりと意識が戻ってきた。

右肩にかかる重みの正体は熟睡中ののっちの頭だ。


左側にいるゆかちゃんも熟睡中。


珍しいなと思う。

いつも窓側に寄りかかって寝てしまうのに、
こうして頭を預けてくれるのはなんだか嬉しい。


状況を把握すると、近すぎる距離に胸が高鳴る。

形のいい丸い頭にサラサラな短い髪。
間近で見るのっちの顔はやはり整っている。
大きな瞳は今は閉じていて、長いまつげが影を作っていた。


黙っとれば美人さんなんじゃけどねぇ。。


そっと頬に触れたくなるけど、少し我慢。

これ以上触れてしまったら、この想いがどうにかなってしまいそう。


『好き』


言葉にしてしまえばたった2文字なのに、
溢れてしまいそうなくらいに大きくなる気持ち。

だからこそ言葉にできない気持ち。



子どもみたいな寝顔が愛おしくて、
触れたい欲求に負けた私は起こさないようにそっと髪を撫でた。

短い髪がサラサラと指から逃げていく。



ゆかちゃんもそうだけど、
のっちも一人で抱え込まないで話してくれればいいのに。

弱いところも見せてくれていいんだよ?

ぜんぶ私が守ってあげるから。


普段は少し頼りなくて、優しすぎるくらい優しくて、
そんなのっちが大好きなんよ。



本当はいくら一緒にいたって物足りない。

ずっとずっとあなたと笑っていたいよ。


ぜんぶ私のものにしたいなんて思うのは欲張りかな?


だけど、こうして一番近くであなたの呼吸を感じていられることで、
ああ、いま私幸せだなと感じる。

だから、お願い。

あと少し。
あと少しだけこのままでいさせて。



見えない角度でそっとのっちの左手を握り、
少しだけのっちに寄り添った。


ああ、もうドキドキして寝つけないかもしれん。。




ねぇ、のっち

「好き」

なんてあ〜ちゃんが言ったらちゃんと受け止めてくれる?



  • end -






最終更新:2009年02月12日 14:59