高二の頃、ゆかちゃんに写真のモデルを頼まれた。
どうやら文化祭に出展する作品らしい。
恥ずかしいから嫌だって断ったけど、ゆかちゃんの押しが強すぎて渋々受けることに。
モデルなんて恥ずかしいよ・・・。
とりあえず放課後を利用して撮影。
場所は校庭。
校庭ではソフトボール部が練習中。
ベンチがあったのでそこに座って言われたから素直にゆかちゃんの言うことを聞いて座った。
ゆかちゃんに
「何すればいいん?」
って聞いた。
「ん〜、とりあえずソフト部の練習でも見てて」
え〜・・・あ〜ちゃんソフトは興味ないんよって言いたかったけど、ゆかちゃんが怒りそうなのでお口チャック。
ボーっと見てたら遠くからジャージ姿の先生。
ドキっとした。
んん?
なんで先生見ただけでドキっとするんだ?って自問自答してたら
「おぉ、何やってるんですか?」
って声掛けてきた。
しかもめずらしく噛んでない。
「文化祭に出展する作品撮ってるんよ」
と、ゆかちゃん。
「ふぇ〜。そうなんですかぁ〜」
なんて気の抜けた声なんよ・・・。
「そうだ。のっちも撮ってあげる」
えっ!ゆかちゃん、あんた何言っとるん!?
「えっ。マジでぇ!撮って撮って」
えっ・・・先生ノリノリなん?
「んじゃ、のっち、あ〜ちゃんの隣に座って」
えぇっ!ゆかちゃん、あんた何言っとるん!?
「おーけー」
って言って先生はあたしの隣にチョコンと座った。
「なんかポーズとかした方がいいんれすか?」
あっやっぱり噛んだ。
「んー、どうしよっかな?のっちはなんかいい案あんの?」
「ふ〜ん・・・。西脇さんは何かないですか?」
「へ!?」
突然呼ばれたからビックリした。
「あ〜ちゃん?どした?大丈夫?やっぱ嫌だった?」
「ううん。ちょっとボケっとしとっただけじゃけ」
隣で先生がケロケロ笑とる。
ちょっと悔しいけど、なんだか嬉しい。
んんん?
なんで先生が笑うと嬉しいん?
順調に撮影が進行してた時、
突然、
—あぶなーーーーーい!!!!
大声が聞こえた。
驚いて声の方向を見たら、目の前にボールが!!
ぶつかる!!!!
って思って反射的に目を瞑り身を縮めた。
あれ?
痛くない?
何で?
ってそりゃそうじゃ・・・。
だって見たら、先生が身を挺してあたしをかばってくれていた。
「いでで・・・。」
「あっ・・・せん・・せい?」
「西脇さん、大丈夫?怪我してない?」
「あっ・・・は・・・い」
「へへへ。よかった・・・。」
「のっち!!おでこから血出とる!!」
ゆかちゃんの叫び声で、先生が怪我をしてることに気付いた。
「あらま。ほんと」
先生はケロっと何もなかったように右手で自分のおでこをさわって出血を確認した。
「先生・・・。ごめんなさい!!あたしのせいで・・・怪我・・・させちゃって・・・」
ボロボロ涙がこぼれてく。
涙をこらえようとしても、止め方がわからない。
どんどん出てくるよ。
ビービー泣いてるあたしの頬に先生の左手が伸びてきた。
伸びてきた左手は止め方がわからない涙をぬぐってくれた。
「西脇さん、泣かんでええよ。先生は西脇さんに怪我がなくてホッしたんだから」
って言ってあたしの顔を覗き込み、いつものハノ字眉の先生の顔が見えた。
その顔を見た瞬間わかった。
あたしだけ何で「先生」って呼ぶのか?
ファンクラブの子達にモヤモヤするのか?
先生の姿を見ただけでドキっとするのか?
先生が笑うと嬉しいのか?
やっとわかった。
あたしは先生のことが好きなんだ。
たぶん、きっと入学式で見た時から好きだったんだ。
最終更新:2009年02月12日 15:41